ボーイッシュな幼馴染がいる日常
水無月ナツキ
第1話「おっぱい」
セミの鳴き声がみんみんとうるさい夏。
今日も幼馴染の
夏海は黒髪をショートにしている。
服装は灰色のタンクトップに迷彩柄のハーフパンツ姿。
夏海は真っ平らな女の子ではあるが、タンクトップなので危うく感じてしまう。流石にノーブラというわけではないだろうけど、動くたびに胸元が見えそうになってやばい。何がやばいかって、もう下半身的に。
見慣れた姿であってもやっぱりエロい。
僕の悶々とした思いなど知らない夏海は、僕のベッドでごろごろしながら僕の漫画を読んでいた。もう自分の部屋にいるようにくつろいでいらっしゃる。
いや自分の部屋でくつろいでくれよ。気が気じゃないんだよ。あとで君の汗とか匂いがついたベッドシーツをスーハースーハーする僕の身にもなってくれ。キモいだろ。
すっと。突然、夏海が上半身を起こした。悶々とした思いと自分への嫌悪感を抱いていた僕を見た。
「ねえ、智樹」
「なに?」
「おっぱいは好き?」
「……はい?」
急になにを言い出すのかしら、この子。お母さん、困っちゃうわ。誰がお母さんやねん。
「あ、あの~夏海さんや。今なんと?」
「だからさ。
「いやまあ好きですけど?」
他に答えようがない。だって男の子だもの。
「ほうほう。やっぱり男はおっぱいが好きなんだね。赤ちゃんみたいだ」
「男はもれなくおっぱいの前では赤ちゃんになるのさ」
「……頭、大丈夫?」
「たぶん、もう手遅れ」
「だよねー」
「たぶん蹴ってくれたら」
「治るの?」
「うん、興奮する」
「ところでさ」
「スルーはやめて!」
ライフポイントが下がる。興奮しちゃう。
「キモいこと言うから、つい」
うん、そうだね、キモかったね。
いやでも好きな女の子にキモいって言われるとさ、こうね。やっぱり興奮しちゃうね。僕は変態か! 変態だったわ!
「と、というか。男にいきなりおっぱいが好きか聞いてくる女の子もどうかと思うよ。というかどうしてそんな話を」
「いや気になったことがあって」
「気になる?」
「そうそう。……やっぱり男っておっぱいが大きい女の子が好きなのかなって」
「僕としては大きいのもダメってわけじゃないけど、貧乳のが好きかな。夏海ちゃんのおっぱいとか最高」
「ん? それはわたしのおっぱいが小さいって言いたいのか、おいこら」
「ほ、ほら! 貧乳は感度がいいって言うからさ! そんなに悲観しないで! 殴らないで!」
「それはフォローのつもりか? ころすよ」
「ひぃ!」
三回蹴られた。
興奮した。そう言ったら追加で五回蹴られた。
「わたしはさ、おっぱいの大きさなんてどうでもいいと思うんだ。だからわたしは実はそれほど貧乳であることを気にしてない」
そう言った夏海は、けれど目尻に涙を浮かべいる気がした。可愛かった。抱きつきたくなった。だから抱きついた。殴られた。痛かった。興奮した。
「ねえ、夏海ちゃん」
殴られて床に転がったまま、僕は声をかけた。
「僕はね。正直に言うと大きすぎるのはあれだけど、おっぱいならなんでもいいんだよ。おっぱいが触れるなら大きさなんて関係ないんだよ! だからおっぱい触らせろよ!」
「しね」
背中を思いっきり蹴られた。
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