帰宅競技部の日常
ヒマノヶ丘
第1話 帰宅競技部
西日が窓から差し込む教室の春の夕方。この季節、まだまだ日も長くはなくて16時半を回ったくらいなのだが、空は赤色、橙色、山吹色と美しいグラデーションを奏でていた。
運動部に所属する生徒の掛け声が静寂な教室によく響く。つまり室内には俺しかいないわけだ。部活動がある生徒は部活動へ、ない生徒は帰宅という時間帯である。
俺は帰宅部に所属している。もともと今まで何かにのめり込んだり一生懸命になったり、そういう経験をしないで呑気に生きてきた俺に高校に入ってまで部活動をする気にもならなかった。
だからあの日、部活動への入部用紙が配られたあの日、俺は迷わず「帰宅部」の欄にチェックをつけた。それなのに、だ。
「坂道くん。部活、いこ」
「...今行くよ」
俺は何故か部活動に参加していた。あるはずもない帰宅部としての部活動に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます