豪傑ロボ バンガイナー

鐘辺完

第1話 制作者である祖父と操縦者になるその孫

「これが豪傑ロボ、バンガイナーだっ」

 うえさとる、六十八歳は叫んだ。

 孫の上木じょう、十七歳はぼんやりと巨大ロボを見上げた。

「これ、じいちゃんがつくったのか」

「そうだぞ。すごいだろ」

「こんなものひとりでつくれるわけないじゃないか」

「いや、そこはだな。わしは秘密結社なたあんにもぐりこんで、そこの資金と人材を利用してだな」

「その『ひなたーん』てなにするとこなんだよ」

「もちろん世界征服をもくろむ秘密結社だ。巨大ロボットを完成させたら、政府に宣戦布告するつもりだったそうだ」

「そんなもの奪ってきてだいじょうぶなのか」

「だからお前がこのバンガイナーに乗って、なたあんと戦うのだ。日本の明日を守るのだ」

「なんで俺なんだよ」

「巨大ロボットは制作者の身内がパイロットになるのがしきたりだ」

「そんなしきたり知らねぇって」

「まあとにかく乗ってみろ。巨大ロボは男の子の夢だ」

「俺は興味ねぇって。だいたい小学生までだってそんなので喜ぶのは」

「ほら、これがパイロットスーツだ。サイズは合わせてある。これから燃料を入れるから着替えとけ」

「乗るなんて言ってねぇぞ」

 といいながらもパイロットスーツを受け取ってしまう丈二。しぶしぶスーツに着替えた。

 バンガイナーのそばで燃料を補給している祖父をみつけた。燃料はオカラだった。

「そんなもので動くのか……」

 ものすごく心配ながらこのまま悪と戦うことになる丈二だった。

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