毒
もぐもぐもぐもぐ……。
今日もまた先輩は、おぞましいほどの速度でお菓子の空き袋を大量に生成している。
「先輩。いくらなんでもそれは食べ過ぎでは?」
「何言ってんのさ。手前が食べたいだけ食べて、一体何が悪いってんだい」
「それはそうですけど。食べ過ぎは身体に毒ですよ」
「身体に毒? 面白いことを言うじゃないか。食べ物が毒だって? もし本当に毒だってんなら、それはもう食べ物とは呼べないだろうね」
「腹八分目ってやつですよ。過ぎたるは及ばざるが如しというように、多いよりは少ない方が良いに決まっています。ある程度までは食べ物だとしても、超過した分は毒と呼べるかもしれません」
「そうかねぇ」
「そうですよ。水だって一度に飲み過ぎたら『水毒病』になって死んじゃうって言うじゃないですか」
もぐもぐもぐもぐ……。
「って、先輩。私の話、ちゃんと聞いてますか?」
「聞いてるよ。何だって摂り過ぎれば毒になるから気を付けろってこったろ? 忠告は感謝しておくよ。だがね、あたしゃ食べるのをやめる気は無いよ。絶対にね」
もぐもぐもぐもぐ……。
どんな返答が返ってくるのも恐ろしいが、かといって訊ねないわけにもいかない。
「ど、どうしてですか?」
「だってほらお前、昔から言うじゃないか。『我慢は身体に毒』ってな」
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