鼓動
「ゾウさんも ネコも ネズミも 心臓は
ドッキンドッキンドッキンと 20億回 打って止まる」
ねえ、君はそんな風に歌った生物学者がいるのを知っているかな?
彼の主張によれば、どんな哺乳類も生まれてから死ぬまでの間に心臓が脈打つ回数は決まっているんだって。大きい動物ほど長生きで小さい動物ほど短命なのは、大きい動物ほど鼓動がゆっくりで、小さい動物ほど鼓動が早いからなんだって。
でも、だよ。
もしそれが本当のことなんだとしたら、僕が君に会う度、君の瞳を見つめる度──僕の寿命はだんだんと短くなっていってることになるんだ。僕は僕の限りある人生を、少しでも長く君と一緒にいたいと願うのに……少しでも長く君と一緒にいることで、結果として僕の人生はますます限られたものになってしまうね。
そんな回りくどい愛の囁きの最後に添えられた「もちろん、それでも一緒にいたいけれど」というたったその一言で、あたしはその言葉の「誤り」を、身を以て実感してしまいました。
「恋のときめきで少しずつ寿命がすり減っていく? そんなの嘘よ。──だってあたし、今のあなたの一言で鼓動が早くなるどころか心臓が止まりそうになったんですもの!」
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