第3話 冗談だろ
霧生はローブの男とほんの少しだけ会話をし、理解した事が大まかに3つある。
1つは霧生のような異世界人はたくさんいて、その人達はそれぞれ異能の力を保持している。
その力に目をつけた召喚者が異世界人を召喚し殺し合わせ、どちらが生存するかに金を賭ける『異人賭博商法』というのを編み出し、それが爆発的ヒットを博したという事。
そして2つ目がこの異世界は何の危機にも貧しておらずただ自分は金儲けの為だけに召喚されたということ。
最後の3つ目が言語や書く文章、文化はほぼ同じという事。
「そんで、俺の異能とやらは何なんですか?ご主人様ー」
今の霧生は相当憎たらしい口調で物言いしたのだがローブの男は全く反応せず霧生はばつの悪い顔をした。
「うるさい。今確認してやる。頭を出せ」
霧生は言われた通り頭を出し、ローブの男はそこに手をかざし、淡い光を放った。
ーーその瞬間、霧生の頭の中でドクンっと脈動を打つような衝撃がはしる。
「ぐはっ」
その痛みは一瞬で霧生は意識が朦朧としながらもローブの男に今起きた詳細を尋ねる。
「ぐっ。お前今何した」
「お前の異能を確認した。......お前はただの闇属性能力だな。すぐ死ぬと思うが、精進しろ」
は?すぐ死ぬ?
「おいおい。すぐ死ぬってなんの冗談だよ。いきなり俺が誰かと戦うのか?」
「当たり前だろ。聞いていなかったのか?お前は金儲け道具だ」
霧生は衝撃の事実に背筋を震わせたが頭の冴え具合は相当よく、一つの疑問が生じる。
俺が殺される?殺されたくなければ殺せってことか?
「ちなみにさ殺されない場合のルートってあるの?」
「殺せ」
ローブの男の無慈悲な物言いと予想通りすぎる答えに今自分が置かれている最悪の状況を再確認する。
「その殺し合いはいつやるんだ?」
「今すぐにだ」ローブの男はさも当然のように言うが、
「はぁ!?どうやって戦うかも知らされてねーぞ。」
「ふん。運が良かったな。今日は新人戦という戦いでな。せいぜい頑張れよ」
ローブの男が言い終わった瞬間霧生は理由不明に意識が遠のいく。
「運よくねーだろ。冗談のつもりか?笑えねーよ」
「......」
そして意識を深い闇へと沈めた。
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