第2話 ニュース

3月18日土曜日。夜中にずっと小説の中盤部分の構想に頭を抱えていた山田 花子は、気づけばそのまま朝を迎えていた。


行き詰まりと感じ気分転換にテレビをつけると、そこには今世間、というか都内で話題沸騰中の事件の情報が、若いニュースキャスターの口から告げられていた。


「続いて、今朝のニュースです。昨晩、池袋で高校三年生の女子生徒が失踪する事件が起こりました。これで東京都内での失踪者の数は、一週間で十人を超え、警察はこれらの事件すべてが繋がっている可能性を考慮し、捜査を進めている模様。事件が起こったとされる数々の現場には、共通してMというアルファベットの文字がどこかしらに刻まれており、筆跡がバラバラなことから集団的犯行の恐れもあるため、夜はなるべく一人で行動しないことを心掛けてほしいとのことです。続いて、次のニュースです」


この事件はニュースの後の番組でも毎日取り上げられている。狂気の殺人者だの連続誘拐犯だの宗教絡みの陰謀論だの、有名なコメンテイターやお笑い芸人が議論を沸騰させている。


時刻は七時半。今日は12時からファミレスで担当と今後の打ち合わせがあるが、それまでの時間はかなり暇だ。


現在渋谷のアパートにいる


図書館(英語の本を焦ってたら食屍鬼に関する本を見つける)

本屋(新刊のとある本を見つける)

公園(若いイケメンな青年が女子高生と談笑する光景を見かける)

家でまったり(ネットのスレッドで、ある記事を見かける)


そこに行き。時間をつぶすことになる。

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