金)No.57 「タイの物価」(2017年度版)

筆者もここに来て、早、十年以上になるが、常々想うことは


——これといって変わらぬのは、タイのいいところ


 そりゃ細いことを言えば、当然いろいろ変わってはいるのだが、相対的にタイという国は————変わり映えしない。

 まぁー、それは良い意味でも悪い意味でも、だ。


そんな中で、タイにも「物価上昇」の波は先進国日本に比べれば著しい上昇率であることは、経済学的にも当然のことだ。

 後進国が中流国に成長していく過程では当たり前の事なのだ。高い経済成長率を達成すれば当然ながら「賃金水準」も上がるから、それに応じて物価が上がり、インフレとなる。


 現在の日本が、日銀主導で「インフレ率2%上昇」に血眼になって取り組んでいるがその達成は難しい。

 なぜなら、著しい「賃金上昇」が望めないからだ。一部、大企業は順調に利益を上げ、給料もアップさせている。しかし、多くの日本企業は正社員の数を減らし、非正規社員を雇い入れることで、業績悪化の際の調整弁としてそれを促進させてきたもんだから、当然、全体の「賃金上昇」は望めず、むしろ、「可処分所得」は下がっている。

 それは先進国の宿命なのだ。

 今後、いくら頑張ってもインフレにはならないだろう。

安い賃金を求めて、アジア、中国と生産拠点を移し、そこも賃金が上がり出すと、今度は南米、その先は、インド、アフリカ———ってことになり、日本国内の日本人の賃金はこの海外の安い賃金をベースに戦うことになり、「賃金上昇」はほぼ望めないのが経済学的メカニズムでも明らかなのです。


 さて、話を戻し————

今の、タイは「中流国」から「先進国」へと脱皮しようとしているが、その実現は難しい。なぜなら、タイにはオリジナル産業、イノベーションが無い。中国も同じなのだが、先進国の「下請け国」である限り、所謂———「中流国の罠」にハマってそこからは抜け出せないのだ。


 日本が抜け出せたのは自動車、半導体、基礎基幹素材、先進医療など様々な分野で「新商品」を開発してきたからだ。そこには高い技術力を生み出す教育システムと、勤勉な国民性があったことは否めないが。


 ただ、タイもここまでは順調に「賃金」上昇してきたので、当然十年以上も前からすれば、物価は上がった。


 一杯20バーツのラーメンが30バーツに。

高卒男子の初任給が7000バーツから9000バーツに。


 概ね、十年で30%〜40%「賃金」は上昇し、物価も上がった。ただ、タイの場合は食費の上昇率はさほどでもないが、やはり「不動産」の上昇は著しい。

 アパート家賃は確実に30〜40%は上がっている。

 庶民の足である、バイクタクシーやタクシーも確実に20〜30%は上がった。


「物価上昇」はある意味、「経済成長」のバロメーターみたいなもんで、経済成長の望めない国は、当然ながら「物価上昇率」も低い。


 今後、タイは「中流国の罠」から抜け出れるのかが焦点となっているが、中国ですら四苦八苦しているわけであるから、このタイでは………(笑)


 昨今では、バーミーナーム(タイラーメン)の大盛りやトッピング追加のピセー(特注)は40バーツの時代。


 さすがの筆者も、この40バーツには、時代の流れを感じます———。


ああぁー、それと変わった事がもうひとつ。

現在の軍事政権が強力に推し進めた「屋台排除」だ。


 タイ名物———「屋台」が、道端から消えていく。


あれって、確かに景観的、衛生的には悪いけど、ある意味「タイらしい」かったのにねー、これを残念に想うのは「先進国」のエゴなのかもしれませんがね————。


 屋台のない、どやがやしてない、、、タイって———やっぱないわー(笑


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 併せて、ご愛読いただければ幸いです。


【古都水没】

“微笑みの国”——タイ王国で2011年に発生した巨大洪水と戦った日本人たちの100日の記録

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884330435     

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