*——他——*
遊)No.46「没落する日本人」(2)
タイのユルイ空気は人に安らぎと癒しを呉れると同時に、人をダメにすることもある———。
日本の世知辛い世の中でもまれ傷ついた人にとってはタイは絶好の癒しの国であることは昔も今も変わることはない。
日本は規範や規則に煩く、毎日肩を凝らせ神経をすり減らして生きている人々が多い。ずっと日本に居るならそれが普通なんだと思うのだろうけど、一度タイや他の国の緩さに振れてしまうと、日本の異常?さを知ることになる。
別にそれが悪いとは言わない。そのお陰で日本は世界有数の先進国になれたわけなのだから。勤勉で真面目、そして努力家な日本人。
そんな日本人がタイにやって来て最初に戸惑うのがこの国のいい意味でのユルさである。日本人的にはありえないことが、この国では普通であったり。まぁ、所謂、日本の常識は世界では非常識——みたいなとこである。
そんなであるから、真面目な日本人は「気が狂う」のだ。どうしていいのかわからない。勢い、日本流をタイ人に押し付けようとする。そして結果、それが無駄なことと知り、ますます深みにはまっていくのだ。
小生はもともと「ええ加減」な人間なんで、さほどでもなかった。これは幸いなことだった(笑)くそ真面目な日本人ならとっくの昔に「うつ病」に陥ってしまうに違いないところを、まっこんなもんでしょ、しゃーないしゃーない、と乗り切れたのだ。(こんな小生でも当初は悩みブチ切れ、うつになりかけたもんですけどね)
さて、こんなユルに国ですから、使いようによってはなんとも快適な場所となる。日本人の悠々自適な年金生活者にとってタイは絶好の「老後」を過ごす場所として選ばれる。マレーシアやフィリピンもそうだ。
しかし、やっぱり金を持ってない日本人がタイにいけば「なんとかなるだろう」という発想でくる場合は概ね悲惨な末路が待っている。
少しばかりの小銭を抱えて、もしくは退職金全額持ってタイにやってきて(以前、タイで働いていたものに多いパターン)チェンマイとかイサーンの田舎でのんびり暮らしたいと当初は意気揚々なのだが、気がつけば無一文、乞食同然の暮らしをしている日本人が地方には結構居る。
それはほとんどの場合、騙され(女や博打で)てケツの毛まで抜かれて日本に帰るチケット代もなくなり物乞いのような生活に陥るのだ。
そういう日本人は老いだけではなく若もまた同じだ。結果、彼らは「悪」に手を染める。
日本人相手の詐欺や物乞い、悪くすると麻薬の密売や運搬に手を貸してしまう。
今、タイの刑務所には日本では知られてはないが、「日本人没落者」が結構服役しているのだ。同じ日本人としては見るに忍びない、、、というか情けない。
日本人はタイや東南アジアの国の人々にとっては「憧れ」の存在であり、「憧れの国」だったはずなのに———。
今、タイは猛烈な物価高で悩まされている。人件費の高騰でインフレが続いているのだ。であるから、日本人の「年金生活者」にとってタイはもはや「物価の安い住みやすい国」ではなくなっている。
十年前、私がこの国にやって来た頃からすると、人件費は五割以上は高騰している。もはや日本にとってタイはさほど魅力のある国ではなくなったのだ。よってベトナムやミヤンマー、バングラデシュへの移行が始まっている。
夢々、タイは住みやすくユルイ国だとは思うべからず————。
タイは、今となっては「遊び」にくるとこであって、「老後」暮らしたり、安い賃金を求めて工場や会社を設立する国はもう、昔の話となった——、と今私は冷静にそう思っている。
【駐在員心得】
いくらユルイ国に慣れきっても、日本に帰った際に日本で適応できるように自分のスキルの日々研鑽に努めること。
そして、ダメならまたタイに戻ってくればいいや、などと絶対考えるべからず。それは日本人の破綻の第一歩だから。
んじゃ、今日は、この辺で
|..............λ by ピエ太
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