君のために出来ること

新風学

第1話プロローグ

 みんなは過去に戻ってやり直したい行動や言動、どうしてあの時ああしてしまったんだろうと思ったことはないだろうか。


 自分の痴態が危ぶまれたりしたときにもっとうまく誤魔化せたのではないだろうかとか考えたことはないだろうか。


 俺にはそのような経験がない、と言ったら嘘になるがそんな失敗を恐れる必要がない。

 俺には過去に戻ってやり直すことが出来るからだ。


 俺にはほかの人にはない特殊な能力があるからだ。ただし、自分が好きな時好きな場所で戻れるかというとそういうわけでもない。


パラレルワールドをご存知だろうか。今の自分がいて、ほかの次元にも自分がいる。人生にはいろいろな分岐点がある。その分岐点の答えが二択である場合、「はい。」と答えるA軸、「いいえ。」と答えるB軸があるとすれば俺は今がA軸にいるときにその分岐点でやり直したいと思えばB軸に移動することが出来る。


ただしこれは、時間が巻き脅せるというわけではない。B軸の現在に移動出来るという話で、その分岐点から現在のB軸の間でどのような人生を送ってきたかのかは自分はしらない。なにか出来事があったのかもしれない。なにも出来事なんてなかったのかもしれない。それは自分にはわからないこと。すぐ間近の分岐点で移動するならばリスクは少なく、分岐点が遠い場所ならばリスクは高くなるということだけ。


 記憶も共有できるならばそれに越したことはないがそんなうまくいく話ではない。

ほかにも、一度行ったルートには戻れないというリスクがある。B軸からはA軸に戻れないということ。


これから始まる話は俺、登坂のぼりざか土岐人ときとがどんな人生を歩んでいくか。ただそんな話。

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