ボッチのボマー青年
@ndaihachi
第一章 ボッチ、超能力を手に入れる
プロローグ
「チート」って知ってる?本来は「ズル」「イカサマ」「騙す」の英単語らしいけど、僕の言う「チート」はネットスラングの方の「チート」だ。
凄い能力を持ってる。例えば、空が飛べたり瞬間移動的なものが出来たり。人間なら一度は願った事がある……かもしれないもの。
もしそんな「チート」が使えたならもはや人生はバラ色かもしれない。世界の……いや、宇宙の頂点に立てるのも夢じゃないんだ!!
……うん……回りくどくなってきたかもしれないから言うよ。そう、僕はその「チート」能力を手に入れたんだ!空だって飛べるし、何にでもできる!!
……でも、人生は甘くない。「チート」で世界が上手くいくなんてあくまで「創作」の話なんだって僕が気づいたのは――
――既に「後の祭り」だったんだ――
――――――――――――――――――――――――
「――でさー、そいつらホントおかしくてさー。」
「ぎゃはははは!! マジか、チョーウケる!!!」
数人の男達が、ゲラゲラと笑っている。いずれも、チンピラのような風貌だ。
「それで…………うん?」
「ん? どうした?」
「いや……。何だ、あれ?」
一人の男が指した所に奇妙な人影がいた。それは全身黒いフードで覆われた人物だった。
「なんだアイツ……? 気色ワリィなぁ。」
「黒いフードなんざ被って、厨二病ってヤツか?」
「ぶっ飛ばしにいこうぜ! おい!!」
そうやって一人の男が近づいた。
「てめえ、何こっち見て…………?!」
その黒い人物が男に手をかざした。その瞬間――
―――ボンッ!!!!―――
「…………あ?」
近づいた男の頭が吹き飛んでいた。周りにはその肉塊が飛び散っていた。
「ひ……ひぃ!!!!」
「お、おいっ!! マジかよ!!!」
「こ、こいつまさか……!! ボッ……!!!」
黒い男が手をかざす。かざした場所はその男達の周り。
―――ドゴォォーーン!!!!!!!―――
さっきより大きな爆発音が響く。黒い男が手をかざした周りは――
――男たちの焦げた肉塊が大量に出来ていた――
――――――――――――――――――――――――
「昨日深夜、○○市で例の連続殺人が――」
リモコンのスイッチを押す。音もなく、目の前の画面が消える。ヘッドホンを外し横たわる。
僕はとあるネットカフェの個室にいる。目の前にはテレビ兼パソコンのモニター。ニュースを見たが、どれも昨日僕のやった事を報道していた。ネットニュースでも同じだ。
「はぁ~……。」
やや薄暗い個室で、僕はため息をついた。また、人を殺してきた。僕が「とある力」を持って「ある決断」をしてからの日課。
ああいうゴミは消さなくてはならない。社会に貢献しないだろう寄生虫共は。だから僕はあいつらを殺した。
(そうだ、僕は人の役に立つんだ……。そして、
――いずれ僕はこの世界の頂点に立つ!英雄になって力なき者を救うために!――
――――――――――――――――――――――――
――これは一人のボッチがチートの能力を手に入れたものの――
――そのせいで過酷な運命に振り回された、とても不幸で悲しい話――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます