第七十三話 続チートな手袋

 スマホを確認してみると、メールなどは来てなかったが期待通りにバスターベアを倒した事でやっとスマホのレベルが30まで上げれるようになっていた。


 おぉぉぉ! スマホのレベルがやっと30に! いや~30まで長かったな。って、あまり強い魔物を狩って無かったから当たり前か。メールとか来てなかったし、とにかくまずはスマホのレベル上げる、か、な……ん、メール? ――あーーーっ! そう言えば最近リュースにメールしてなかった! 完全に忘れてたな、レベル上げて内容確認したらメール出しとかないとな。 


 リュースに拗ねられるかもしれないと思いつつスマホのレベルを30に上げ、追加アプリなどの確認をする事にした。


 現在のポイント交換特典。


  ・ウェアラブル端末タクティカルグローブ(右)の獲得。(P10)

  ・ウェアラブル端末タクティカルグローブ(右)のスマホとのリンク。(P5)

  ・追加可能アプリ。タイマーアプリ・ミニゲームアプリ。(P5)

  ・ランダム獲得。(P5)


 ミニゲームアプリって、もしかしてリバーシとか作ってたから追加されたんだろうか? とにかくタクティカルグローブ関連のは全部取るとして、他は別に欲しいとは思わないしとりあえずまだ貯めとくか。


 ウェアラブル端末『タクティカルグローブ(右)』見た目は、手の甲の部分にプロテクターがついた黒の革手袋と、左手用の物と見た目は同じだった。


 ・デザインは左手用の物と同じですので違和感なく装着できます。

 ・このグローブを装着していてもスマホの操作は問題なくできる。

 ・このグローブを装着し魔力を流すと(スマホとのリンクが必要)このグローブで持った物の重さをスマホのレベルx1㎏軽減させることができる。ただし重さは-にはならない。

 ・手の平の部分から魔力弾を放つことができる。射程と威力はスマホのレベル依存。

 ・魔力弾機能について、発動のためのキーワードなどをスマホで設定してからお使いください。

 ・特殊機能として、魔力放出能力がある。これは今回の使用者が魔力を持たないという事で、例として照明などの魔道具のスイッチを入れる事ができないための措置です。


 防御型の左に対してら右は攻撃型って感じだな。説明からはそれほど強いって感じはしないから攻撃特化と言うほどではないっぽいけど、実際試してみればわかるだろう。


 昨日宴会だったため学習教室は休講、雪もそれほど積もって無いので除雪作業も無いし急いで何かをしなければいけないという事も無かったのでラウを連れて村の外へ新しい右手のタクティカルグローブの機能を検証しに行くことにした。そして、リュースへメールする事をすっかり忘れていたりする。


「ラウ~、ちょっと村の外まで修行に付き合ってくれ」

「ん~、分かったぜ」


 周囲に魔物などがいないことを確認してからまずは重量軽減の能力を検証する事にした。


 まず『倉庫アプリ』からショートソードを出して重量軽減機能を使った状態の右手で持ってみると、持っている感触はあるのだが重さを感じなかった。次に左手に持ち右手は重量軽減を使ってショートソードに触れるだけにしてみると重量の変化は感じなかった。


 重量軽減機能は触れた物体事態の重さを消してしまうわけじゃないみたいだな。次はスマホレベルが30だから30kより重い物で試したいんだけど、なんかいい物あったかな?


 『倉庫アプリ』の中を探したが中々丁度いいものが見つからなかったのでどうしようかと考えていたら『具現化アプリ』で40kくらいのダンベルでも具現化してしまえばいいと気が付いたので早速具現化し、比較するためにまずは重量軽減の機能を使わずに持ってみる事にした。


「お、重い! 無理無理! こんなの持つだけで精いっぱいだ! この状態で肩の所まで持ち上げるなんて俺には無理!」

「ん? 兄貴、その小さいのそんなに重いのか?」

「持ってみるか?」


 ラウは初めは持つのがやっとだったが魔力で身体強化をすると上まで持ち上げる事ができていた。


 いいなー、身体強化。魔力の無い俺には絶対できないからな~。


 具現化時間も残りわずかとなったので次に重量軽減の機能を使って持ってみると、重くはあったが先ほどよりかなり軽く感じ、今度は肩の所まで上げる事ができた。


 よし、ちゃんと重量が減ってるように感じるな。


 『倉庫アプリ』から木製の盾を出してラウに持たせそれを殴ってみる事にした。


「ラウ、盾をしっかり構えとけよ」

「おう、いつでも来いだぜ!」


 まずは重量軽減機能なしで軽く押すような感じで殴ってみた次に重量軽減機能を使って同じように殴ってみてからラウに盾で受けた感じで違いがあったかなどの感想を聞いてみる事にした。


「二回目のの方が強く感じたぜ」

「もうちょっと具体的に言えないか?」

「んー、盾に当たった時は両方とも同じぐらいの衝撃だったんだけど、二回目の時の方はその後押されてる感じがしたぜ」


 パンチ力自体はほぼ変わって無いけど押す力が上がってる感じなのかな? 俺のもともとの力はたいしたことないんだから結構力入れて殴ってもラウなら問題なく耐えれそうだしやってみるか。


「ラウ、悪いけど今度はちょっと強めに殴るから身体強化して盾を構えててくれ」

「おう!」


 今回は初めから重量減少機能を使って全力で殴ってみたのだが。


「痛っーーーーー!」

「あ、兄貴。大丈夫か?」


 結果は、自分の拳を痛めただけだった。どうやら骨折してるっぽかったので痛めた拳を『魔法アプリ』を使って治し手を握ったり開いたりして問題ないか状態を確認した。 


 こっちから殴ったりする場合の衝撃は軽減してくれないのかよ! よく考えたら初めに重量軽減機能を使って殴った時に普通に殴った衝撃があったんだからこうなる事も考えておくべきだったな。


 次に魔力弾を試してみるべく、スマホのウェアラブルに関するアプリを開きタクティカルグローブ(右)をタップして選択し、魔力弾を使用するためのキーワードを設定する事にしたが、魔力弾を試す的とかあった方がいいかと思い『具現化アプリ』で適当に的でも作ろうかと思ったが、ラウが暇そうだったので設定している間に的となる物を作って貰う事にした。


「あ、ラウ。ちょっと1m位の雪玉を何個か作っといてくれるか?」

「おう! 作っとく」


 的作りはラウに任せたしキーワード設定しちゃうか、と言ってもどんなのがいいかな? あんまり恥ずかしいのだと言う時に自分が困るし、長すぎるのも言うのが大変になるから短めでイメージしやすい感じと言うと『魔弾』でいいか。お、連射もできるのか、キーワードはどうすっかな? 魔弾の連射だから魔連弾……何か語呂悪いから『連弾』でいいか。


「さて、ラウ。雪玉はできた、って! またずいぶん作ったな」

「まだまだいけるぜ!」

「いやいや、もう十分だから。ありがとな」


 とりあえず3個もあればいいかと思っていたら、この短時間にどうやったのかは知らないけど10個もの雪玉を作り上げていた。


 先に個数を指定しておくんだったな……ま、喜んで作ってたみたいだからいいか。それより並べてある程度離れた所から撃ってみよう。


 ラウに等間隔に並べさせて、とりあえず20mほど離れた場所からちゃんと当てれるようにシューティンググラスの補助でよく狙ってから撃ってみる事にした。


「兄貴~、こんなもんでいいか?」

「いいぞ、それと危ないかも知れないから少し離れて見ててくれ「おう!」んじゃ、行くぞ。『魔弾』」


 放たれた魔力弾は真っ直ぐに目標の雪玉へと飛んで行き雪玉を貫通する事も破壊させる事も無く深々と突き刺さった所で消えた。


 あれ? なんか思ってたより威力が無いな、今度は魔力をもっと込めるようにイメージして撃ってみるか。


 その後、射程と威力の検証した結果、距離は30mが限界で威力は距離が離れても変わらず、最大でも雪玉を貫通する程度の威力しかなかった。ちなみに、魔弾の威力を弱めて撃っても最大射程距離は変わらなかった。


 こんなものなのか? 何と言うか……思ってたよりしょぼいな。もっとこう、あのくらいの雪玉なら吹き飛ばしてしまうとか、当たったら爆発するとかするのかと思ってたんだけど。

 まぁ、無い物ねだりしてもしょうがないし、今度は硬いものにも撃ってみるか。


「ラウ~、ちょっと硬い物にも撃ち込んでみたいからここら辺に手ごろな大きさの岩とかないかな?」 

「兄貴、ちょっと待っててくれ。確かあそこら辺に……」


 ラウに頼んですぐに『具現化アプリ』で的になる物を出せばいいという事に気が付き辺りを探してしていたラウに声をかけようとしたら、ちょっと山になってる場所を掘り始めるとすぐに結構大きい岩が見えた。


「兄貴~、これでいいか?」

「OK~、それでいよ。ありがとなラウ」


 まずは先程と同じ様に20mほど離れた場所から撃ってみると魔弾の形にちょっとだけ削れていた。次に半分の10mまで近づいてから岩に向かって撃ってみると初弾と同じく魔弾の形に削れただけで割れたりひびが入ったりする事は無かった。


 距離で威力に変化はないのか、これなら頭にでも当たらない限り即死させることはできなそうだな。高ランクの魔物なんかでは頭に当てても倒せそうにないけど……まぁ、一々アプリを起動してタップする必要もないから瞬時に発動できるし、牽制や足止めくらいには使えるだろうからそれなりに使える機能だろ。


 その後も色々と試し、最後に普通の槍を右手で思いっきり振ったが何も持たず素手の状態で振ってる程度の反動しか体に感じなかった、


 これなら重い大剣や槍でも軽々と右手で扱えそうだから接近戦でも戦えるかもな……でも、右手だけ身体強化しているようなものだから、俺自身は素早く動くとか防御を上げるなんてことができないんだし、やっぱり接近戦は危険かな?

遠距離ならどうだろう? 重さや反動が少なくなるならでアンチマテリアルライフルとか右手一本で撃てるんじゃないか? でも、銃は発砲音が大きいから半端な距離だとこっちの居場所がすぐばれちゃうんだよな。魔物は銃声でこっちに群がってきそうだし、はっきり言って『魔法アプリ』の魔法の方が便利なんだよな~。実際、最近『魔法アプリ』ばかりで銃は使ってないしな。


 それからもどんなことができるか機能を把握するため色々試し、ラウと組手などしていたら結構な時間になっていたので村へ戻る事にした。 


 いや~、ラウと戦って改めてもっと強くならないといけないと思い知らされたな……ん、あれ? そう言えば、俺はなっで強くなろうとしてたんだっけ……ラウやルカがいつの間にか強くなってたからだっけ? な~んか違う様な……う~ん、頭の中がモヤっとするな。

 なんか強くならないといけない大切な理由があったような気もするんだけど……なんだっけな~? 他にもなんか忘れてるような……。


 何やら色々忘れてる気がしたが、考えても分からなかったのでとりあえず村へ帰る事にした。

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