第二十一話 やっぱりこのスマホはチートだ
デイジーたちを見送りギルドへ戻り、何かいい依頼が無いかなと探したがこれといって変わり映えのしない依頼しかなかったので、討伐依頼からロックリザードx3とワイルドコヨーテx5討伐の2つを受注しようと依頼板を取り受付へ向かった。
「おはようございます。この依頼の受注をお願いします」
「あ、リンさん、おはようございます。そういえば、本日シルバークラス昇級試験の実施がゴラウの町で告知されましたよ」
顔なじみとなっっていた受付職員に試験の日時などを聞いてみると、受験の応募期限は告知から一週間で、試験日はそれより五日後となっていて、人数が五人以上集まらなければ試験は実施されず、試験内容については当日まで秘密とされている。
「それで、シルバー昇級試験を受験なさいますか?」
「お願いします。それでゴラウの町はどんなこで、どこにあるんですか?」
「ゴラウの町はダンジョンのあることで有名な町で、ホラブの町より北に100km、乗り合い馬車ですと二日の距離にあります。こちらが受験用紙になりますのでご記入お願いします」
受付の職員から受験用紙を受け取り必要事項を記入して「よろしくお願いします」といって渡し、依頼にある魔物を狩りに行くことにした。
その日の狩りは、ロックリザードとスマホ無しでの戦闘をすることにし、これまで何度も戦っていたので腹や関節部などなら闘気を使えなくても剣が通る事は分かっていたので、スピードを生かしたヒット&アウェイの戦法で尻尾での攻撃に気をつけつつ徐々に体力を削って行き、時間はかかったけど無傷で倒すことができ、その後も依頼数分の二体を同じような戦い方で倒した。
最近やっとスマホ無しでもロックリザードを無傷で倒せるようにはなったけど、時間がかかりすぎるから一対一じゃないと危ないんだよな。魔法なら一撃で確殺なんだけどな。さて、後はワイルドコヨーテx3か。
ワイルドコヨーテというのは、見た目は体長3mくらいの大きいコヨーテで、その大きい体格の割に動きが素早く、しかも群れで行動していることの多い魔物だった。
すぐに5匹の群れを発見し、ハンドガン(CZ75Bサプレッサー)で倒すことにしたのだが、普通に倒しても修行にならないと思い、跳弾で倒すことにした。
普通なら跳弾を狙って当てるなんてまずできるはずがないのだが、以前魔物と戦っていたときに、ポインターの光線が岩壁で反射していたのを見て、これなら弾かれた先に的を合わせれば跳弾を当てることができるんじゃないかと思い何度か試し、跳弾を当てれるようになってきていた。
しかし、これは岩場など銃弾を弾くほど硬く平らになっている場所じゃなければ不可能だった。前に木に当てて跳弾射撃を狙った時には木に当たった瞬間に銃弾の威力によって木が抉れて軌道が変わり、狙ったところに飛ばなかったことがあったり、岩がもろすぎて見当違いのとこへ飛んで行ったりした。
今回は動きの速い魔物だったので、跳弾で狙うのも中々難しく、十発中四発しか当てることができず、一体仕留め損なったヤツがこっちに飛びかかってきたので、そいつは跳弾で狙う暇がなかったので直接狙って仕留めた。
この程度の動きの速さなら直接狙う分には十分動きに着いていけるんだけど、跳弾で狙うとなると中々どうして難しいんだよな~。とりあえず依頼分は終わったし、一旦町に戻るかな~昼も食べたいし。
何事もなく町に戻り、ギルドへ直行して依頼報告をし、帰ろうとしていたら職員に呼び止められた。
「あ、リンさん。ちょっと待ってください。ギルドマスターがお呼びです」
「え? ……分かりました」
俺にいったいなんの用事だろ?
ギルドマスターの部屋に入りレドラスの話を聞くことになった。
「おお、来たか。リン、おまえさんシルバークラス昇級試験を受けるそうじゃの」
「はい、デイジーたちも故郷に帰ったことですし、いい機会だから受けることにしました。そう言えば、今回の試験は開催されるんと思いますか?」
「ここ数ヶ月シルバーの昇級試験は開かれておらんかったから、たぶん大丈夫じゃろ。リンは試験を受けたらこの町に戻ってくるのかの?」
「いえ、ついでだからそのままいろいろ見て回り、そのまま旅にでて世界を見て回る旅とかもいいかなと思ってます」
「ふむ、旅とはの~、一人旅は盗賊なんかにも狙われやすく危険なんじゃが……ま、リン本人が決めた事じゃからとやかくは言わんほうが良いかの、とにかく気をつけて行くがよかろう」
「はい、今までお世話になりました。出立の日時が決まったら改めて挨拶にきます。では、失礼します」
ギルドをあとにして宿の食堂で昼食を食べ、部屋に戻ろうとカギの受け取りをしていたときにマーセルに宿泊期日が近い事を言われた。。
「リン、そういやそろそろ部屋の宿泊期間の一ヶ月が終わるけど、どうするんだい? 予約は入って無いから急ぎはしないけど」
あ~そうか、もう一ヶ月になるのか~。えーと確か今日で二十六日目だからでだから残り四日だったはずだな。う~ん試験受けに行く事だし延長しなくてもいいかもな~、予約とか入ってないならもう少し考えてからでもいいか。
「すみません。期日までに決めときます」
「あいよ。ま、焦って決めてもらわわなくても構やしないけどね」
部屋に戻り、今までスマホに頼りすぎないようにあえて上げていなかったスマホのレベルを上げていき、レベル12にした。
スマホ本体のレベルアップ効果は。
・念話入力が使用可能。
・魔力充填効率の向上。
・最大魔力量の増加
・最大アプリ登録数の増加。
・フォルダ容量の増加。
各アプリの方はレベル5の時とほとんど同じことが書かれているだけで、違ったのは二つ。
・魔力充填アプリが対象距離が増加
・倉庫アプリに能力複写の機能、直接装備の機能が追加
アプリで新しくなんかできるようになったな、充填の距離増加と『倉庫アプリ』の方の直接装備は何となく分かるけど、能力複写ってどういうものなんだ?
説明を開いて詳しく見てみると、能力複写は『倉庫アプリ』内にあるものに『能力』(例:魔力感知など)を持ったものがあった場合にスマホにコピーすることができ、対象とのレベル差が大きい場合は複写はできないらしかったが、説明だけだといまいちわかりにくかったので、『倉庫アプリ』内に残ってたアルミラージで試してみたが、何の能力も持っていなかったようで試す事が出来なかった。
『倉庫アプリ』限定か~、明日はできるだけ多くの種類の魔物を狩って『倉庫アプリ』に入れて試してみようかな?
現在のポイント交換特典。
・ウェアラブル端末シューティンググラスのスマホとのレベルリンク。(P5)
・新規アプリの追加。タイマーアプリ・錬金アプリ。(P5)
・ランダム獲得。(P5)
シューティンググラスのレベルリンク、これいいな~、『錬金アプリ』ってのも気になるな。説明とか見れないのかな?
――――説明、ないな。交換しないと見れないって事か……いいや、この二つ交換しちゃおう!
ポイントはあるんだしと気になった二つを交換し、早速どんなものか説明を見てみることにした。
シューティンググラスのレベルリンクはスマホのレベルと同じになるというもので、一気にレベルが12となり、シューティンググラスでも念話入力機能、マルチロック機能、予測線機能が追加された。
各機能について、念話機能はスマホと同じような機能で、マルチロックはマークを最大六つ付けれる機能、最後の予測線は相手からの殺気のこもった攻撃をレーザー光(青)として予測表示する機能。
おお! 念話とマルチロックも使いやすそうだけど、それより予測線……ちょっとした攻撃の未来予測だな。錬金の方はどうかな?
『錬金アプリ』はスマホ内もしくは各種アプリ内で合成・分解・調合ができるアプリとしか説明がなかった。
……説明足りなすぎだろ! この後また魔物相手に修行しに行こうかと思ってたけど、今日は修行を止めて『錬金アプリ』を試してみることにするか。
『錬金アプリ』を色々と試した結果は。
まず『魔法アプリ』、『魔法アプリ』内に錬金アプリアイコンがあり、まず『ウィンド』と打ち込んで決定をタップしてからドラッグし錬金アプリアイコンでドロップ。次に『ファイア』と打ち込んで同じことをしてから『錬金アプリ』の項目から錬成を選んで実行をタップすると『ファイアストーム』ができた。
これは、合成魔法ってやつになるのかな? 組み合わせ次第で色々できそうではあるな。
次に『倉庫アプリ』、中に入っていたアルミラージドラッグし、錬金アプリアイコンでドロップ『錬金アプリ』の項目から分解を選んで実行をタップするとアルミラージの解体がいろいろできた。(肉・皮などに分けるなど)
他に、倉庫アプリ内にあった薬草、水を調合で治療薬のようなものができないか試したが失敗となり、薬草、水、スマホの魔力を調合で治療薬でもある初級ポーションの作成に成功した。
『錬金アプリ』すげーー! めっちゃチートじゃないかよ! なんか他にも色々できそうだな~。あ、そういえば最近、自分のステータス見てなかったな、何レベルになったか見てみるか。
スマホで自撮りして自分を鑑定してみた。
【 名 前 】 リン・クスノキ
【 種 族 】 人間族(異世界)
【 性 別 】 男
【 年 齢 】 15
【 身 長 】 173cm
【 体 重 】 67kg
【 レベル 】 12
【 体 力 】 125
【 魔 力 】
【 能 力 】 無
【 魔 法 】 無
【 称 号 】 落ち人・ガンナー
え……がんなー? ガンナーって! そりゃ銃を結構使ってたけど、まさか『ガンナー』なんて称号が出るとは……ま、なんか聞かれたら遠距離攻撃の称号だとでも言ってごまかすか。
その後もアプリの確認などをしてあれこれと試していたら、いつの間にか夕日が沈みかけ部屋が薄暗くなってきていた。
あれ、もうこんな時間か……そんなに腹減ってないから夕食は軽く済まして早めに寝るか。
朝起きて身支度をしていたとき、そう言えば『倉庫アプリ』に直接装備の機能が追加されていたことを思い出し『倉庫アプリ』内をまずソートで整理して装備品を小分けにし、そこから革鎧一式を直接装備の機能で出してみた。すると体に光がまとわりつき、光が収まると革鎧が装備されていた。
いや~、これ一々着替えなくていいのは楽でいいな。革鎧を着るのって地味に面倒だったんだよね。
その後、ギルドで適当に魔物討伐の依頼を受注し、魔物を槍で狩りまくって、途中で見つけた薬草もついでに『倉庫アプリ』に入れギルドに報告する前に、能力複写機能を使ったのだが得れた能力はたまたま見つけたワイルドコヨーテの特殊個体の『咆哮』だけだった。薬草は初級ポーションにし、道具屋で小瓶を買って詰てギルドに一個買だけ買取に出してみたら2500ギリクになった。
う~ん、もっと上のランクの魔物じゃないと能力を持ってないのかもしれないな。ポーションって結構儲かるな……さて、依頼報告ついでにゴラウに行くような依頼がないか見てみるか。
依頼報告をし、ブロンズランクとアイアンランクの依頼でゴラウに関係するものはないかと探したが見つからず、一応ランクフリーの所も見ていると、目当ての依頼が出ているのを見つけた。
輸送依頼
・ランク:不問
・報 酬:銀貨四~(持てる量次第)
・内 容:商隊に荷運びとして同行
・場 所:ホラブからゴラウまで
・日 時:三日後、朝九時出発
・期 間:二日間
・依頼主:バルデス商会ベガル商隊ベガル
・備 考:要面接、必ずアイテムボックス持ちである事
『倉庫アプリ』にいっぱい荷物が入るからこの依頼なんてよさそうだな、ちょっと早く着くことにはなるけど宿の宿泊期限も三日後だしちょうどいいな。けど、面接あるのか~……あ! 依頼主、シャルディアのとこと同じバルデス商会か、ならシャルディアに貰ったメダルあれば面接に通りやすくなるかもしれないな。よし、これを受けよう。
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