体育祭

体育祭


「ふぁあ。」

雲一つない空を見上げながら大きな欠伸をする菜都。

今日は体育祭なのに呑気なことだ。まぁ、私もそこまで興味はないんだけれど。


「体育祭って、つまらないよねぇ」

眠そうに、そう言う菜都に驚く。

「意外ね。好きそうなのに。」

小学生の時は、運動会が待てない感じの、運動大好きっ子だったのにね。人って変わるのね…。そんな事を思っていると、


「開会の言葉 教頭先生!お願いしますっ!」


妙にハキハキしている声が聞こえた。私達の学年主任だ。いつも青春だーとか騒いでるそこら辺にいそうな熱血教師。噂では、学生時代から彼女は居ないらしい。あくまで噂だけど…。足元に視線を落とし考える。


「えーと、次は校長先生!お願いしますっ!!」


校長先生と聞こえて、顔をあげた。ぴょこぴょこ走り、転びを繰り返す姿は、滑稽だ。仮にもうさぎのだろう、、、。あ、でもぬいぐるみか。


「段が高いです!!登れません!!」

「うぅ、校長せんせー可愛いよ~!」


目をキラキラさせながら、校長先生を見る菜都に、私は「だきしめに行っちゃ駄目だからね」と言った。不満そうな顔で、菜都が私を睨む。

睨まれても、私がどうにか出来ることじゃないんだけど…。


「えー、コホン。天気が良くて良かったですねっ!!校長先生も、運動会したいです!!

あ、体育祭でした…。まぁ同じですよね!!


ちょ、、、本当にここの校長は適当なんだから…。

もしかして、成人していないの?いや、そんな筈、、、運転免許とかどうなってるの!

そんな事考えていると、「なんか楽しそうだね!」と言われた。そんなにわかり易かっただろうか。


いつの間にか開会式は終わっていて、退場の音楽がかかる。この曲は、、、青春先生が好きそうな音楽だと、クスリと笑い走る。




今年は何組が優勝するのかな。


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