第2話 ツイキャス


SNSで、ラジオのように配信できる機能を発見し、遊ぶことを覚えた。


顔も見たことがないし、普段何をしているのかもわからない人ととりとめのないおしゃべりに講じる。


類は友を呼ぶのか、なぜか精神に疾患を抱えている人が多かった。


双極性障害やうつ病、適応障害など様々だがその多くはこのアプリに依存していた。

いずれの人も働いておらず、障害者年金や生活保護で暮らしているようだった。

いつも同じメンバーがほぼ一日中このアプリにログインしている。


どうやらインターネットにもアルコールや薬のように耐性がついたり、離脱症状などがあるらしい。


私も手持ち無沙汰になるとついこのアプリを開いてしまう。

仲良くなった双極性障害の友人の1人は、トラブルが起こるたびにアカウントを消しては、また新しいアカウントをつくっている。

アカウントが変わるごとに知らせてくれるのだが、たまにこの人は一体誰なんだろうと混乱し、寂しい気持ちになる。


ずっとログインし続けないと、埋まらない寂しさって、絆ってなんだろう。

繋がっているという安心感はどこから生まれるんだろう。


ネットにはいつでも人がたくさんいるのに、いつでも寂しさが転がっている。



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