信長の魔防



「ふいー。やっと終わったぜー」


「お、ついに完成した?戦国国取りゲーム。文化祭に間に合って良かったな」


「ちょいと見てくれや」


「いいぜ。俺こうゆーの大好きなんだよ。

 主人公はもちろん信長、と……あれ?」


「どうした」


「いやよ、ステータス見たら魔攻、魔防って欄があるじゃねえか。バグだろこれ?」


「いや仕様だ」


「はあ?ファンタジーじゃねえんだから」


「信長って大六天魔王って言うだろ?魔王がいるくらいだからあの時代の人はみんな魔法使えたんだよ、たぶん。高松城の水攻めだって、黒田官兵衛のダイタルウェイブだからねあれ。しんねーけど」


「なんだよその適当な感じ……まあいいわ。それでこのゲームではどうやって魔法使うんだ?」


「それがな……時間がなくて各武将に魔法を実装出来なかったんだ。光秀にファイアーストームとかつけてあげたかったんだが……。それで泣く泣くだが一つだけ魔法の要素を取り入れることにした」


「信長ファンとしては助かったがな。それで、何の魔法にしたんだ?」


「テンプテーション」


「は?」


「寝返り、引き抜き、降伏勧告、謀略関係は全て武将が魅惑の魔法を使うことにした」


「なんだよそのドロドロの戦国史」


「ありがとう。俺が作りたかったのは血みどろの戦いを繰り広げる戦国シュミレーションだ」


「そうじゃなくて腐ってドロドロになってるって言ってんだよ!もうこれ史実とかけ離れ過ぎてて、歴史研究会のやつとかに激怒されるんじゃねえか?」


「大丈夫、ちゃんと史実は押さえてある。森蘭丸の魔攻は98。戦国最強だ」


「もはや蘭丸の野望じゃねえか!」

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