第2ボタンは売り切れた*

男の名前は神崎礼二

齢は18高校3年

名前を知らぬ女はおらぬ

この街一の有名人

眉目は秀麗文武は両道

全て完璧スーパーマン

涙涙の卒業式には

多くの女が駆けつけた


ところがどっこいこの男

意地汚さも天下は一品

己の遊ぶ金の欲しさに

第2ボタンを競りへと掛けた

悪逆非道の振る舞いなれど

所詮この世は顔、才、お金

1万2万3万4万

ボタンの値段は青天井


時は流れて数週間

町に流るは奇怪なウワサ

聞くに礼二のボタンを持つは

冴えない男の同級生

これはアヤシイすこぶるアヤシイ

オヒレハヒレはとどまることなく

虚言妄言いったりきたり


これはたまらん礼二のもとに

来たるは冴えない一人の男

曰く私の第2ボタンを

買わないかとの申し付け

5万6万7万8万

ボタンの値段は青天井


時は流れて数週間

礼二のもとには第2のボタン

どうかどうか私にくれよと

せがむ女に言うは一言

第2ボタンは売り切れた



*山野ねこ様の同名のショートからタイトルを頂きました。ありがとうございます。





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