好きと言わせたい

好きです。


その一言が聞きたいのだ。

あの子から。


気持ちが籠ってなくてもいい。

ただその言葉だけで、僕はこのうだるような毎日を生きていけるだろう。



ある日。

「この漢字なんて読むかわかる?」


「えーと、くわ?」


うーん。残念。

だが、まだまだ諦めてなるものか。


次の日。

「クイズ!牛丼屋さんの名前を3つ挙げよ!」


「えーとね。吉野家、松屋。あとは・・。

神戸らんぷ亭!」


詳しすぎる。

君は仕事疲れたおっさんか。

関西風の告白を期待していた僕はほぞを噛んだ。


次の日。

もうアイデアが思い付かない。

机に座ってうんうんうなっていると、あの子が話しかけてきた。


「どうしたの?汗びっしょりだよ?」


「ちょっと宿題で分からないところがあるんだ。」

人の気もしらないで。


「じゃあ気分転換に問題出してあげる!こんな暑い日に食べたくなるものと言えば?」


「アイス?」


「ふふっ。私の勝ち!」


彼女はちょうどアイスを頬張っているかのような涼しい笑顔をしていた。

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