かばんちゃん、修理屋さんはじめました。

湯茶人

第1話 ていでんしたジャパリカフェ(1)

~~~~~~~~~~~~~~


「よ~こそ~、ジャパリカフェへ~今日も待ってたよ~」

今日もジャパリカフェにはアルパカ・スリののんきな声が響きます。

「今日も紅茶をいただけるかしら。」「また寄ったわよ」

トキたちももうすっかりここの常連です。

「どうぞどうぞ、ゆっくり待っててね~」

アルパカは電気温水器をひねり、いつものように紅茶を入れましたが…


「つめたっ、アルパカ、何よこれ?」ショウジョウトキが叫びました。

「あれ?…ど~したの??」

「これ、お湯じゃなくて水で淹れたの?味が薄いし冷たいけど」トキも首をかしげます。

「そんなこと…ああっ、お湯が、お湯が沸かないよう~~…困ったねえ…」

「ええっ?ココを回したのよね?」ショウジョウトキも見てみますが、さっぱりわかりません。


「どうしよう、せっかく来てもらったのに、ごめんねえ…」

「気にしないで、でもどうしましょう…博士かかばんちゃんに聞いてこようかしら?」

「ありがとう、助かるよう。お湯が使えるようになったらたくさんサービスするからねえ…」

「気にしなくていいわ、友達だもの。」「わ、私もお茶が飲めなくなったら困るから、手を貸すわよ。」

素直なトキとツンツンしたショウジョウトキ、2羽とも力を貸してくれるようです。


~~~~~~~~~~~~~~


「ここに書いてある、電気ってなんだろう?」

「もっとも、使いやすい、エネルギーの、仲間だよ。僕やジャパリバス、ジャパリカフェは、これで、動いて、いるんだ」

かばんちゃんは図書館でラッキービースト(ボス)と一緒に今日も調べものをしています。

「エネルギーってなんですか?」

「ものを、持ち上げたり、温めたり、といった、『仕事』ができる、源のことだよ。」

「わたしたちのジャパリまん、みたいなものかなあ?」久しぶりに遊びに来たサーバルは頭をひねります。

「そうなんですか?」

「まちがってはいないね」

「もう、なんで私には直接しゃべってくれないの~!」サーバルはちょっとぷいっとしています。


「わたしは~トキ~~♪なかまを、さがして、る~~~~♪」

「わあ~」「あわわ、あわ…」突然聞こえてきたトキの歌の不意打ちに固まるサーバルとボス

「ひさしぶりね、かばん」

「トキさん、お久しぶりです!どうしたんですか?」

「ジャパリカフェのお湯が出なくなっちゃったの。なんとか直せないかしら」

「ちょっと難しそうだけど…」


かばんちゃんは頭をひねります。

「あの高い山の上だし、いくつか先にお湯を作る方法を考えておかないと…あの「火」を使ってみようかな。」

「ええ~っ、火、こわいよう…」サーバルはさっと身をすくめます。

「ジャパリカフェ、は、木造だし、もともと、オール電化、の、設計だから、防火上、お勧め、できないよ」ボスも付け加えます。

「うう~ん…そうだ!図書館の裏にあった、あれを使ってみよう。」


~~~~~~~~~~~~~~


「よ~こそ!まってたよ~~!お茶は出せないけど、このお水で一息どうぞ~。」

「ありがとうございます、アルパカさん」

「やっぱり足がぱんぱんだよう…」

ジャパリバスとサーバルが漕ぐ人力ロープウェーで、ようやくかばんちゃんは山頂にやってきました。


コップに入ったお水を飲んで、さっそく原因を調べ始めます。

「まえはここをひねるとお湯が出たんだけんど、どうしてかでなくなってしまったんだ~。」

「おかしいですね。確かに『HOT』って書いてあるけど。」

「急になに言い出すの?」ショウジョウトキは怪訝な顔。

「かばんちゃんはね、ふしぎな形の集まりの意味が分かるんだって!すっご~いよね!」


「このパイプがここにつながって…」

蛇口の先は電気温水器につながっています。

「『電気温水器 KMFR-221B-500』『POWER』…説明書…あ、このくらいの大きさの、紙の束はありますか?」

「もしかしてこれかなあ~?」アルパカが台所の奥から説明書を持ってきます。

「あ、これです!『取扱説明書…目次…困ったときは…電源ランプがつかない…電源ケーブルが…』」

真剣に説明書を読むかばんちゃんに、みんな驚きと感動と、そしてちょっと引いているような空気が流れる中…


「あった!『電源が入っていません』どうも電気が来ていないみたい。でもどうしてだろう?」

「電気、というのがこの紐のようなものを流れてるはずなんですが…」

たどっていくと、そこには四角い箱にレバーがつきだしたものがあります。

「あれ、ココの表示が「OFF」になってる。これかな。」

「ちょっとまって、僕もちょっと、調べてみるね…」ボスのお腹に高速で文字が流れます。


=========================

JAPARI PARK infrastructure maintenance mode

>MOUNTAIN AREA JAPARI CAFE INFRASTRUCTURE

>>POWER SYSTEM JPRP-MA-JC-SPS

>>>SOLAR CELL ARRAY checking...

>>>>ARRAY No.1,2,3,4,5,6 OK

>>>SOLAR POWER CONDITIONER UNIT checking...

>>>>Filter OK

>>>>DC/DC Converter …OK

>>>>DC/AC Inverter …OK

>>>POWER DISTRUBUTION UNIT checking…

>>>>Circuit Breaker :tripping


「かばん、離れて!」

「どうしたんですか?ラッキーさん」

「遮断器が、作動、しているよ。電気が、漏れた、恐れがあるよ」

「そうなると、どうなるんですか?」恐れるかばんちゃん。

「電気は、雷、みたいなものだよ。火事や、体がびりびりして、死んでしまうこともあるよ」

「雷!こわい!!」フレンズたちも急に怖くなりました。

「僕が、状況を、確認、するから、いったん、離れて、いてね。」

「わかりました。」


~~~~~~~~~~~~~~


「あああ~もしお湯がもう使えなくなったら、どうしよう…。」

さんさんと日が照るカフェ前の広場、アルパカはがっかりしています。

「アルパカさん、一つ、試してみたいことがあるんですけど…」

「??」

(続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る