第2話

はるかside


とても眩しい光が見えた気がした。

眩しくて目を開けるのが億劫で。まだこの暗闇の中にいたい気がしていたの。

でもなんでかな。

分かっていたの。もう目を開けなくちゃ。


「はるか!」


この中の誰が言ったのだろう。

何だかふわふわしている。

5人の人がいる。

それだけは分かるの。

でも…


「ここは?」


「病院ですよ。気分はどうですか?痛むところはありませんか?」


優しそうなお姉さんがいる。

きっと看護師さんね。


じゃあ他の人は誰?


「あの…すいません。」


聞いてはいけない気がするの。

言えないの。


「私、花火っていうのよ。あなたは、はるかっていうのよ。」


もう頭がぐちゃぐちゃなの。

なんなのこの感覚は。

なんでそんな切ない顔してるの。

なんで

なんで

なんで



ふと目に止まった。私の右側に座った男の子。


「斎藤圭一」


「…」


ややあって自分の名前を名乗った男の子。

なんだか気になっているのは事実よ。


右手だけとても温かいの。

なぜかしらね。

ううん、その理由なら多分

気づいてる。


この人は私にとって…。

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