五十猛乱写事件――ブリッジカメラの逆襲
FZ100
プロローグ――五十猛、実験する
よく晴れた秋空の下、裏路地の一角にコーラの空き瓶が何本か無造作に揃えられている。
僕は愛用するデジカメ――ポタックス
シャッターを半押ししてピントを合わせる。
シャッターを深くプッシュした瞬間、ピッという電子音と共に一本の空き瓶がピンと弾けて転げた。
平衡を失った空き瓶はそのまま周囲の空き瓶を巻き込みながら倒れていく。
ボーリングならストライク。並べられていた空き瓶が全て巻き込まれた。瓶の口がろくろの様に楕円形を描きながら回転し、やがてゆっくりと倒れていく。
「…………」
その有様を目の当たりにした僕はゆったりと満足そうな笑みを浮かべた。
実験は成功。後は何が必要だろう? そうだ、できれば試し斬りしたい。でも、それはさすがに無理だ。案山子がせいぜいだろうか。いや、それで構わない。何も対人実験する必要などないのだ。
それよりもじっくりと計画を練らねばならない。焦りは禁物だ。あらゆる事態に備えて万全の準備が必要だ。
相手は自分より格上のカメラを使っている。レスポンスなら自分のZX300を上回る。しかも、複数の人物を同時に相手とせねばならないだろう。
そうだ、彼らには弱点があった。そう、その弱点はむしろ自分のZX300が得意としていることでもある。
レスポンス対策は万全。考えがそこに至って、ようやく僕は決断を下した。計画は決行。先手必勝だ。相手に考える隙を与えず、各個撃破していけばいい。
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