100人殺しゲーム

ちびまるフォイ

10人目の協力者

倉庫につくと、人間がぎっしりと立っていた。


『1日以内にここにいる人間たち全員を殺してください。

 殺しきれたら賞金100億円が与えられます。

 費用はいくらかかってもかまいません』


足元にはブラックカードが置かれていた。

残高に関しては心配なさそうだ。


「なんだてめぇ、コラ!!」

「降りてこい! ぶっ殺してやる!!」

「何見てやがんだオラァ!!」


人間たちはごうごうと声を上げている。

この人間たちを生身で殺すのは大変そうだ。


「そうだ! 銃で一斉に撃てばいい!」


幸いお金に関しては心配することはない。

それよりも時間が1日しかないのが問題だ。


銃を取り寄せると、ひしめき合う人間たちに向けて一気に撃った。


ババババババッ。

銃弾が雨のように浴びせられ人間たちはバタバタと倒れる。

これならあっという間に終わりそうだ。


「う……うう……」

「あぁ……い、痛い……」


「こ、こいつら死んでない!」


銃の選択は失敗だった。

人間たちは大量にいるため、致命傷になってない人間もいる。

中には死んだふりをしているやつもいるだろう。


「これじゃ逆に非効率だ。いちいち生死確認しなきゃならない」


人混みの中に入れば復讐されるかもしれないので危険だ。

別の方法を試すしかない。


今度はダンプカーを取り寄せた。

勢いよく走らせると人間の中につっこんだ。


稲刈りのように人間が刈り取られていく。


「よし! これなら人垣に入らずに安全に殺せるぞ!」


念を入れて倒れている人間をなんども踏みつけていく。

日が落ちるころにはすべての人間を倒し終わった。


スマホに送られる処刑人数を確かめてみる。


処刑人数:88人。


「あれ!? ぜんぜん足りてない!?」


車で引く直前に、車の下や死角に隠れてた奴がいたんだ。

人間を殺す難しさと、人間の狡猾さを思い知る。


残り時間はあとわずか。


「まだ何か方法があるはず! きっとなにかあるはずなんだ!」


追い詰められた頭にとんでもない見落としがあった。

今まではすべて"自分の目"で見ていた。

だからこそ死角や隠れられてしまう。


ハイテク機器ならそうもいかないだろう。

時間ぎりぎりに人間を感知する防犯ロボットを取り寄せた。


ピピ――! ピピ――! ニンゲンヲカンチシマシタ!


「見つけた! この!」


車に乗りながら、窓から体を出して銃を撃つ。

ついに防犯ロボットが感知できなくなった。


「よっしゃ!! これで全員殺せたはず!」


1分後、日付が変わって1日の制限時間が終了した。

危なかった。本当にぎりぎりだった。



処刑人数:99人。



「はぁぁぁぁぁ!?」


取りこぼしがあった。結局賞金は受け取れずに終わった。

そして、友達にこのことを話した。


「悔しいなぁ。あと少しで賞金が手に入ったのに」


「ははは。それはお前のやり方が悪いんだよ」


友達は笑った。


「じゃあ、お前だったらどうするんだよ。あれ以上にいい方法なんて……」


「バカだなぁ。お前はたくさん軍資金を与えられたんだろ? それを使えよ」


「使うたって……」


「人間たちに言うんだよ。

 "この中で最後に生き残った人に賞金をくれてやる"って。

 そうすれば、お前が手をくださなくても、勝手に数を減らしてくれる」



「あ」


目からウロコだった。

ずっと自分の力で殺すことばかり考えていたけど、

軍資金を賞金にして殺し合わせれば最後の1人を殺すだけで済む。


99人で止まってしまった悔しさを味わうこともなかった。


「ちっくしょーー! その方法があったかぁ!

 というか、そんな方法よく思いついたな!」


「いや、実は僕も似たようなゲームを参加してたんだよ」


「へぇ、そうだったんだ。俺と同じ100人殺しか?」


「いや、僕のは1000人を1週間以内に殺せば賞金1兆円ってやつ」


「まじかよ!? で、どうだったんだ!?」


「あと少しのとこまで進んだよ」


「すげぇ!! どうやった!?」


友達は得意げに笑った。



「別の人間に"100人殺せば賞金"といって数を減らせたんだ。

 ちょうど10人目が仕事を終えたところなんだ」


「え……」


友達は隠していた銃を俺の眉間につきつけた。

最初から100人殺しの中に含まれていた100人目は……。




処刑人数:1000人


ゲーム終了、お疲れさまでした。

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