episode7
「みなさん!ようこそ、ふれあいコーナーへ!みなさんにはここにいるウサギさんに触って餌をあげて欲しいと思います」
元気なお姉さんがふれあいコーナーについて説明していてちびっ子達も元気なお姉さんを見てか同じようなテンション「はーい」と返事をしている
この時私は、今自分に起こってる事に理解が追いつかなく呆然とその様子をみていた
「ウサギと触れ合いか!ふわふわしてそうだよね、奈緒ちゃん」
聡良君に話しかけられてハッとした
変な汗が出る中下手くそな作り笑いして彼に聞いた
「触れ...合い...?」
「そうだよ、今から俺たちはウサギと触れ合うんだよ」
「あはは良いね、触れ合い 、凄く...良いね...」
私は本気で逃げ出したいと思った
動物に触れ合うって私からしたら拷問だ
なんとかしてここから抜け出さないとっ!!
「聡良君!あのね、私今気分悪くてーーー」
「本当にフワフワだね、ウサギ。気持ち良い」
聡良君がもう触れ合ってだ...と...?
しかもウサギめっちゃこっち見てるじゃん
触って貰いたいって目で訴えてる
やめて、そんな目で私を見ないでっっ!!
「奈緒ちゃん」
ハッ...ま、まさか...
「はい、次は奈緒ちゃんの番だよ。優しく持ってね」
もう無理だ、これは逃げられない
さようなら...私
「は、はい」
私はウサギの感触の記憶がない
笑顔は保ったが頭の中は無にしたい為、ずっと円周率を唱えていた
ふれあいコーナーから離れて歩いてる今も上の空な私だった
「...色々まわって疲れただろうしそこのベンチに座っていようか」
「う、うん」
やっと精神的に楽になれる
「ちょっと待っててすぐ戻ってくるから」
ベンチに座ってる私を残して聡良君はどこかに行った
「はぁぁ...今日一日凄く疲れたぁぁ」
今思えば、お父さんに自分の高校に通って生徒達の監視役になれと言われ、挙げ句の果てにイケメン婚約者もついて、その婚約者と苦手な動物園でデート...なんて濃い一日なんだろう
毎日こんな濃い事が起きるって考えると胃が痛くなるよ
それにまだ私は今の状況に納得してない
お父さんの高校に行く事も監視役も婚約者も
聡良君は強引な所もあるけどイケメンだし優しいし何も取り柄のない私には勿体無いくらいの人間だ
でも仮にその聡良君と結婚する事になっても好きでもない人と一緒に人生を共に歩む事は私の幸せになるのだろか...
私も一応女だから将来は普通に好きな人と共にしたい
やっぱり...私は普通で自由が良い
誰かに言われた人生を歩むのに抵抗がある
だからと言って抵抗して色々言っても何も変わらない
もしかしたら、抵抗しない方が楽なのかもしれない
私はどうしたら良いのかな
「奈緒ちゃん、はい」
「え...」
見上げたら聡良君が目の前にいた
そして飲み物を渡してくれた
中身が見えない容器だから試しに飲んでみた
「オレンジジュース...」
「好きでしょ、オレンジジュース」
え、なんで私がオレンジジュースが好きって知ってるの
「なんで知ってるのかって顔してるね。君の事は理事長から聞いてる大抵の事はわかる」
「お父さんに...?」
聡良君は私の隣に座って今までの柔らかかった表情が変わって真面目な顔して話す
「うん、君がオレンジジュースを好きな事もそして...動物が嫌いな事も全部」
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