僕の嫁はオークの酋長! (こんな僕ですが、浮気心とNTRは絶対に許しません!)

かず斉入道

第74話 ブラック結婚生活? と、相変わらず辛い新婚生活 ! 更に集落で浮く僕です……。家出! 。正義の味方…… 何故か? 夫が帰ってない? 絶対絶命!!

(プロローグ)


「うご、うご、うご……うぐぐぐぐぐ……」

 意識が戻るとね、僕の口の中で、何かが激しく動いているよ。


「…………?」

 何であろうか、この柔らかい物は!?

 そう……初めて味わう、この感触と味覚とが僕の舌へと絡んでくるものだから……


 僕もね、ついついと釣られて絡めて行くよ━━。

 何だろうね、この舌触りはさぁ!?

 ……気にはなりながらも、徐々にだけど、目を開けて行くよ、僕は……


 意識がハッキリとしてくると、僕の目の前にはさぁ━━


 な、な、何とね……目を閉じた女性の顔がアップにさぁ、僕の目に写しだされたよ!


「━━━━━━」


 だ、だ、誰なんだ〜この女性はー?


「あが、だば、だが、でずご……(あなたは、誰なんですか……)もごもご……」


 彼女とね、唇重なっているから、言葉にならない僕なの……真っ赤な顔しながらね、彼女に尋ねてみたよ。


「あ、私か……?」


 唇を離してくれたよ、彼女。

「ふぅ……」と一息入れ、気を落ち着かすよ、僕はね……実際この状況が全く持って理解出来ないし。ここは何処なのか? と考えてしまうよ自分自身でね?

 その後は彼女に「はい!」と答えると、辺りを確認する、僕だよ……


「………………」


 た、多分ね? 何処かの密林かジャングルだとは、思うのよ。僕……?


 青々とした木々が生え並ぶのが……窓や入り口から僕の目には写るのよ。

 そんな原生林に囲まれた建物の中に、僕はいるのだと思うんだけどね……!?


 何故だか解らないけれど?

 僕の目の前には、美しい女性がいるの……


 さ、先程まで、ぼ、僕と、キ、キ、キスをしていた女性なのだけれどね。

 ━━でもね、彼女の容姿を見た僕は、思わず仰天してしまったよ。

 漆黒の黒髪に真っ赤な目。笹のような尖った耳。ニヤニヤと笑う、つり上がった口の端からは、左右牙のような八重歯が出ているし……


 背丈は僕よりも高く、戦士のようなしっかりとした体型……そのわりには、ウエスとは細く、胸も爆乳で、たうんたうんな優艷な容姿をしている女性なんだよ……


 そして最大の特徴はね、肌が緑、緑色なのだよー!

 服装にしてもそうだけど、まるでビキニ姿にパレオを腰に巻いたようなお姿をしているの、彼女……


 だから僕は、彼女の容姿を見てね。何なんだこのお姉さんは……?


 と、思ってしまったよ。

 それにさぁ、そんな彼女をね僕は、生唾を飲みながらマジマジと見ていたの……


 するとね、彼女は……


「私の名はアイカ……君の奥さんになる女性だー!」


 僕の気持ちなどお構い無しにね、アイカと言う名の女性は、あっさりと奥さんだと述べてきたんだよ。僕に……


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……! 僕の奥さんだってー?」


 だからね、僕……アイカさんに大変に大きいな声を発して、ビックリしてしまったよ!


「そうだぞ。……私では不服か?」


 う、うう……アイカさん、男の僕が一番返答しにくい事をあっさりと尋ねてくるよ……


 するとね、周りからはさぁ、新たな声が聞えてきた!?


「長、召喚したのは良いが、まだまた子供じゃないか……大丈夫なのか?」


「うわ〜本当だ〜。可愛いね僕」


「長、子作り出来るのこの子」


「小さい、小さい、可愛い〜。この子いらないなら頂戴、長」


 あちらこちらから聞こえるよ、僕を愚弄する言葉がね……よくよく見ると、複数の女性達がアイカさんを取り巻いていたよ。


「━━━━━━」


 う、ううう……じわり、じわりと、僕に近寄り、囲いを始めるよ、お姉さま方━━


 ……ま、マジで僕恥ずかしいよ……


 特にさぁ、お姉さま達を見てもね、やはり肌が緑で━━その上いつでもね、海辺でバカンスできそうなビキニ姿にパレオといった格好なの……


 だから、僕ね……目のやり場に困るの、だから恥ずかしいのさぁ……


 それにさぁ、お姉さま達を見てるとさぁ、もしかして、ここに住む女性達は、見せたがり、なの?と、思ってしまったよ。


 まあ、そんな事を思いながらね、僕……お姉さん達を再確認すると、やはりお美しいんだよ。

 それにボンキュボンといった言葉が、お似合いそうな女性達ばかりなの。


「………………」


 だから俯くよ僕、恥ずかしいの……


 たってね、お美しい、お姉さま達に囲まれる事など、生まれて初めての経験だからさぁ、大変に緊張してきたよ。

 それにさぁ、先程にしてもそうだけど、僕のファーストキスはね、アイカさんに奪われてしまったよ……


 そ、それにね……アイカさん僕の嫁だと言ってくるし……


 僕何が何やら解らないよ……?

 どうしたら良いのか……?

 それより、ここ何処なんだよー?

 僕家に帰りたいよー?


 そんな事ばかり考えているから、泣きそうなの僕は……でもねアイカさん……


 僕の目の前でひょいと座り込むとね。僕の履いているズボンの、ベルトとチャックをリズム良く、テキパキと外し始めたの……


「やめてー!やめてください!恥ずかしいので、やめてください!」


 僕さぁ、大きな声を出しながらね、力一杯抵抗したよ。本当に……でもさぁ、力の差は歴然だったよ……


 僕あっさりと脱がされたよ……


 う、ぅぅぅぅぅ……涙ながしながらね、貞操を守ろうと前を前を隠して抵抗したよ……


 でもね、無駄だったよ……


「そら見てみろ、大きいのが付いてるぞ!嫌だ嫌だと言うわりには元気がいいな〜」


 アイカさんの声……凄い事を言っているよ……


 だからね、僕恥ずかしいし……回りのお姉さま達からも、声漏れてきたよ……


「あ! 本当だー!」

「いや〜ん、初初しい〜」

「可愛い顔してるのに立派な物が付いてますね」

「長ー! それいらないなら頂戴ー!」


 周りのお姉さま達からも、更に僕に対して諌めの声がしてきたよ……


 だからね僕、またまた慌てて前を隠し。そして真っ赤な顔になるよ……


 マジで恥ずかしいし……死にたいぐらいだよ……


 でもね、そんな独り事を愚痴る僕にさぁ、アイカさんは容赦のない行動をしてくるよ……


「おい、行くぞ婿殿、子作りだ!」


 アイカさん何も気にしてない顔をしながらね。言葉を発っするさぁ、僕の片足を掴んで奥の部屋へとズルズルと引きずり出したよ……


 だからね僕……


「ちょ、ちょ、ちょっと、待って下さい僕、子作りなど経験ないですから、駄目です。出来ません」


 掴まれていない方の片足をね、床にバタつかせながら大騒ぎをして抵抗してみたよ。僕は……


 でもね、先程からそうなんだけど、アイカさんは全く気にもしない顔をしているよ……それでね僕を奥へ奥へと運んで行くよ……


 奥の部屋と着いた僕。アイカさんに寝台へと放り投げられたよ……


『いたたたたた……ここは何処だよ……』


 僕そんな事を思いながら、周りをキョロキョロして確認した……


 その後は、後ずさりを始める僕だよ!まるで乙女のようにね……


 だって、初めての事だし、僕の純情な恋愛感情など、お構い無しだよ。アイカさんは……何だかね僕、涙出そうだよ……


 そんな乙女仕様の怯える僕に、ワシワシと両手でしながら迫り来るアイカさん━━どっちが男なのか解らない状態だよ。

 そんなアイカさんにね、僕……再度説得を試みたの……


「本当に無理なんですよ、僕。経験ないし、恥ずかしです……だから許してください……」


 とにかく嘆願を繰り返したよ僕……アイカさんにね……


「大丈夫だ婿どの、私も交わる経験など一度もない……だからお互いさまだ。丈夫で元気の良い子を作ろう……」


 アイカさん、頬をほんのり赤く染め、乙女の顔をしたの……


 その後は……僕に覆い被さってきた……


 だから、僕……「うわ~助けて誰か~!」と、乙女のような、叫びを上げました……


 その後は……う、ぅぅぅぅぅぅ……僕の貞操が~~~~~~!と、思いながら、涙を流す僕なのでした……




◇◇◇◇◇





「起きて〜! 起きて〜! 起きてよ〜! アイカさん!」


 とても涼やかな気持ちの良い朝だよ。

 朝食の準備も終わり僕はね。寝床で大の字になって睡眠している奥さまの、アイカさんを起こしている最中なのだよ。


 でもね、中々起きてくれないの、アイカさんはね。

 ……だから、あぁあ、困ったよなぁ……?

 と、思う僕なのね。


 そんな困っている僕をね、押さえ込み寝技にを掛けて来たの、アイカさんは「スウスウ……」と寝息をたてて、大変に気持ち良さそうに寝ているのに。


 羽交い絞め、抱き枕━━そんな状態の僕なのだよ。

 ……で、でもね、何とか脱出したよ、抱き枕の僕は……


 その後はさぁ、気持ち良さそうに寝ているね。アイカさんを起こすのは、大変に忍び難い僕だけどさぁ……


 このまま放置してるとね、奥さまのアイカさんは、お昼までは、起きないのよ。いつも、いつもね。


 朝食や部屋の片付け等も、しないといけない僕だから、本当に困るんだよね。いつまでも、寝られと……。


 だから僕は「はぁ」と、溜め息漏らしたよ……


 溜め息漏らしながらも、根気良く、彼女の背中を押しながら、起こしているの、僕はね……


 アイカさん、毎度の事なんだけれどもさぁ……これがまた中々起きてくれないの……


 だから毎日困っている僕、何だけれどもね。

 ……さてさてと、どうしましょうか今日は?

 アイカさんの事をね?

 色々と考えてみる僕だけど……


 よ~し、試してみるかな、アイカさんに、アレをさぁ……?


 ドキドキするけどね。

 ではでは、初めてみましょうか、アイカさんに……?


 行くぞ〜! そ〜れ! そ〜れ! それそれ……


 クチュウ、クチュウ、クチュウと、クチュウ、クチュウ……


 と、くすぐるを始めるよ。アイカさんにね━━


 その後は「アイカさん起きて!起きてよー!」と、くすぐる事を繰り返し、起こす事を試してみる僕だよ……


 するとさぁ、いきなりだけど……僕の首には、アイカさんの手が周り、ヘッドロックが入ってきたよ……


 だから「う、ううううう……苦しい……助けて……」と、声を漏らす僕だよ……


「どうした。健太、朝から発情か? しょうがないなぁ……そら、こっちにこい」


 するとさぁ、アイカさん。またまた僕を抱き枕のように抱えこんだのよ。

 で、でもね、今度はさぁ、先程とは違って意識がある、アイカさんだよ……


 だからさぁ、先程とは違い、力が入るのアイカさんは……だから苦しい僕なの……


 足をバタつかせて暴れ、もがいた、苦しいからね……


「うぐぐぐぐ、苦しいよ……」


 僕の顔、良くあるラブコメの主人公みたいに、アイカさんの爆乳に埋もれて「ウゴウゴ」仕様になっているの……


 だって本当にビックリするぐらい大きいんだよ……アイカさんのオッパイ、僕が持て余す程にね……


 そんな事を思いながら、ジタバタを何度も繰り返す僕なの……でもね直ぐに苦しさが遠のいてしまう僕だよ……


 その後は意識が無いの……だからどうなったかは、全く覚えのない僕だよ……


 今日もこんな感じで騒がしい、僕の異世界生活が始まるのです……


 ◇◇◇◇◇


「いただきま〜す」と、元気な女性の声に──

「どうぞ〜」と、言葉を返す僕の名は山田健太。年は15歳だよ!

 来年高校生入試を控えている僕は、高みの高校を目指し日夜学校が終わるとね、塾通いを繰り返していたんだよ。


 でもね、そんなある日の僕にさぁ、いきなり闇の中から一筋の雷光のような光が落ちてきたの……


 ド、ド〜ン! ド、ド〜ン!と、ね━━


 その後はさぁ「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」と、絶叫を上げた、僕だよ──


「………………」


 う、うううううううう……僕は死んだのかな……?


 あああ、仕方がないなぁ……まだまだ恥も恥じらう15歳なのに……


 切ない……本当に切ない僕だよ……


 だって、勉強ばかりの人生だったよ。僕……


 一度は結婚ぐらいはしたかったなぁ……


 と、後悔……そして死ぬ前に僕の子供ぐらいは、見てみたかった、僕だよ……


 う、うううううううう……切ない、切ないよ。僕……


 沢山、沢山ね……将来の為にと勉強してきた、僕なのに……


 それでね、来年にはさぁ、第一志望である有名進学高校に進んでね──その後は日本最高である某国立大学へと進学するの、僕──

 それからね。在学中にさぁ、彼女を作って、卒業と同時に結婚と一流企業への就職とを手に入れる。

 それがね。僕のさぁ、将来設計の筈だったのに……


 本当に、悔しい……悔しいなぁ、僕……


 幼少の頃からの努力が、走馬灯のように脳裏に流れて来るよ。僕の過去がね……


「………………ん?」


 あれ? あれ? ……あれあれ……?


 可笑しいな……?


 この、うぐうぐうぐ……と、くる唇に伝わる柔らかい感触と、舌を絡めて来る感触とで、僕は目が開いたよ──

 そこにね居たのはさぁ、ニッコリと微笑む、緑色の肌した美しい女性……


 そう、そうなのです……僕の奥さまはね。オークの女性……


 それもさぁ、首長さんなのですよ……


 まあ、そんな訳だから、僕は集落の皆の為に、少しでも役に経たないと、いけないの……


 だから僕、食事の準備もした訳だしね……


 その後、食べ終わるとさぁ、今度は片付けをしないといけないの!

 そんな訳で、中々体を休む事も無く、働きアリのように働かないと、いけないの……


 そんな訳だから、集落の皆が食べ終わってくれないとね。僕は食事が出来ないんだよ。

 だからさぁ、ひたすらね。集落の皆が食べ終わるのを待っているの、僕は……


 何だかね、僕の扱い……まるでさぁ、執事かメイドさんみたいなんだよ。この集落の人達のね……


「ごちそうさまぁ」


「ごちー」


「ごちそうさん」


「うまかったぁ……」


「満腹満腹……」


「ありがとう……」


 ふぅ……やっと、食べ終わってくれたよ。集落の人達……


 だから集落のみなさん──僕への感謝の言葉を述べてくるよ──

 僕の目の前……周りにいる人達だけどさぁ……


 ざっと、見ただけでも、数十人の老若男女がいるよ。辺りには……


 まさにね今、大人数の共同朝食をしている最中なの……


 そうまるでね。ここはさぁ、学校の寮か部活の合宿のような感じ、何だよ……


 そんな一族若しくはね。集落単位の朝昼晩の食事の準備をさぁ、僕は先程も述べたけど……ここにきてからね。数十日間、毎日のように繰り返してきたの……


 だから僕、ここに来てからはね。ほとんど、休む暇もなく、ただひたすら、働きアリのように働いているの……


 そんな訳だから、僕……勉強など此方の世界来てからは、してないね。


 それにさぁ、皆が席を立ち、この場にいなくなると。思わず、あ、ああ……と、言葉が漏れるの……


 だってこの人数分の片付けを、しないといけない僕だから……


 だから嫌気がさし、溜め息漏れてしまうのよ。本当に僕は……


 そんな訳で、僕。先程からさぁ、ただただひたすらね。愚痴が止まらないし。

 この世界に召喚された頃の事をね。走馬灯のように、度々思いだすの……


 本当に僕には辛い、この世界だからね……


 特にさぁ、この世界へと召喚された日から僕は……右も左も解らないのに、アイカさんからいきなり婿殿と呼ばれたの……


 でも婿殿と呼ばれたのだから、愚痴が出るのは、皆は可笑しいと、思うかも知れないけどさぁ……?


 そうはいかないのよ、僕……長の婿なのに、チビで体も華奢で貧弱……


 その上、幼少のころから将来の為にとガリ勉で、勉強ばかりしていたから、体力も武力も無い訳なのです。

 だからまずは、狩りや戦等には使えない男なのです。僕はね……


 それにさぁ、長の夫である僕が役に立つ事といえばね。夜の奉公が出来て、アイカさんの抱き枕になる事ぐらいにしか、この集落で役に立つことなど、無いの……


 だから使えない、どうしようもない男だと、召喚されたその日から奥様や集落の人達に、最低のレッテルが貼られている、立場がない僕なのね……


 と、まあ、そんな訳もあるからさぁ、食事代が勿体ないからと、僕を食しょうといった意見も出たみたいなんだよ……大変に酷いと思うでしょ、みんなも……


 だから長の婿殿といった立場でも、とても微妙な立場でね、いつ処分されても、可笑しくない立場な訳なの……


 その上さぁ、集落からいつ放り出されてしまうかも、解らない身分の僕なのね……


 だからさぁ、僕は、奥さんの機嫌を取るだけではなくてね。この集落の人達全体の、機嫌も取らないといけない。弱い立場な訳なの……


 そんな集落最弱で、微妙な立場の僕にはね、祖国や家族、友人などのお別れと、離ればなれになった事などを悲しんでいる暇など無いの……


 この世界に来た、その日からね、僕……自分自身の命を守る為に精一杯なんだよ……


 だからこの世界に来た日から僕はね。生き残る為に最低限、自分自身が出来る事を積極的に、見つけてはね。皆に気に入られるように努めてきたよ。

 先ずは食事の準備から始まり。それが終わるとね、今度は部屋掃除。集落の皆が食べ終わるのを確認したら、片付けを始めるの……


 その後は日暮れに間に合わなくなるといけないからね。アイカさんに尋ね、機嫌取りをするために洗濯も始めるのよ……


 ……ふう、これで一息付いたと思うかも知れないが?

 そうはいかないの……


 洗濯終わるとね、今度は夜の食事の方も準備をするようにと、アイカさんから指示をされてしまったよ。この世界に来た日からね……


 だから「えぇぇぇぇぇぇ……!」と内心思じゃない?

 だって僕はアイカさんの主人の筈だから……


 だから少しばかりは、不服の顔もするよね。男だし、夫だからさぁ……

 するとね「何か不服か、婿殿?」と、アイカさんにジロリと睨まれるの━━

 そのお顔がさぁ、大変に怖くてね。僕……背筋も凍るのよ。身の危険も感じるしさぁ……


 だから「いえいえ、何でもありません」と、言ってね。冷や汗をかきながらさぁ、慌ててブルブルと頭を振る、情けない僕なの……


 だ、だって~アイカさん、女性だけど。この集落長だからね。大変に強いらしいの……


 だからみなさんは、僕の事を情けない男だと、思うかも知れないけれど?

 多分ね、この集落最強だと思うよ。僕の奥さまは……


 そんな訳だから、怖くて逆らえないよ。僕は……


 先ずは夫婦喧嘩と、いったレベルではないとは思うよ。ただただ、僕が一方的に、殴り殺されだけだと思うよ。アイカさんにはね……


 まあ、そんな感じで、本当にアイカさんの事怖いし、機嫌を損ねたくないの……それにさぁ、奥さんに別の意味で食されるのなら良いけどさぁ、本当に食されるのは嫌だと思う、僕だよ……


 だから、まあ、その後はさぁ、大袈裟な程の作り笑いをしたよ。アイカさんの事が怖いから──

 その後は「喜んで━━!」と、大きい声出してね、やる気がある所を彼女に見せたよ。本当に……


 するとねアイカさん、大変に満足で嬉しそう。

 その後は「そうかそうか」と、頷きながら、僕の頭を撫でてくれた──その後は、ハグだよハグをね……


 そんなアイカさんの僕に対する行動を見てね。僕は──

 ふぅ……とさぁ、一息付いたし、何とか機嫌をね損わなくてすんだ。だから死なずに済んだと、安堵したよ……


 と、まあ、それくらい、奥さまに怯えている。僕なのね……


 毎日顔色ばかり伺っているよ……奥さまの事をさぁ……


 生きた心地がしないぐらいにね……


 でもまあ、夫婦共働きなのだと考えれば、良いか、良いかと、自分自身に言い聞かせて、納得する事にも決めているよ。

 僕、自分自身の立場を解っている。賢い子だからね。

 ……で、でもね僕……更にさぁ、この先の新婚生活がね。更に大変に厳しくなる等、この時は全く持って、気付く事すら出来なかった訳だよ……



 ◇◇◇◇◇



 さ〜て夜の食事の準備を始めるかなぁ〜?


 ━━トントントン……ガシャガシャガシャ……とね、夕飯の準備を始める僕達だよ!

 今度はね夕飯の準備だよ。

 ……先程とは違い、夕飯の準備は応援来てくれた、高齢者の男女の方達がね。

 実はさぁ、この人達。僕がねこの集落に来るまではさぁ、朝昼晩とこの人達が作っていたみたいなの、食事をね……


 でもさぁ、僕来が来てからは、力仕事などが全く持って、役に立たない僕がしているの……


 流石にさぁ、朝と昼の食事は僕が一人で作っているからさぁ、夜まで一人で作らすのは可哀そうだと、アイカさんが気を利かして?高齢者の人達に手伝ってやれと指示を出してくれたの……


 僕他にもね、洗濯や掃除などもしているからね。

 だけどね、う、ぅぅぅぅぅ……悲しいなぁ……と、思う僕だよ……


 だってまだ僕は、ピチピチの十五歳なのに、朝やお昼の作業では高齢者の人達よりも、役に立たないと、思われているみたいなんだよ……


 そんな事を思いながら、ブツブツ言いつつも作業をしているとね……


「おーい! おーい! 婿どの?」


 アイカさんの僕を呼ぶ声が聞こえてくるよ?


「どうかしましたか?」


 何かと思い。アイカさんに尋ねる僕たよ。

 良く見ると彼女、複数の女性達を引き連れてぞろぞろと、僕が夕飯の支度をしている場所へとやって来たのね━━

 だから僕何だろうと思っていると?


「後で良いから、水浴びの手伝いをお願い出来ないか?」


 僕に水浴びを手伝えと、言ってきたよ。まあ、いつも事……僕の仕事の一部だから、気にはしないけどさぁ……


 何で今さら、改まって言って来るのかと。ふと、疑問に思う僕だよ……?


「……まあ、別にかまいませんよ」と答える僕に━━

「じゃ後で宜しくお願いね!」と、答えてこの場を後にする、アイカさんだよ……


 その後ろ姿を見送り終えると、慌てて夕飯の下ごしらえの準備だは、手伝い終えるとね。

 後の作業は残りの人達にお願いして、慌てて僕達の屋敷へと戻ったよ。早くしないと機嫌損ねると怖いからね……


 屋敷に着くと僕、戸を開け「只今帰りました」と、言って慌てて部屋に入ったよ。

 そこにはね、先程アイカさんを含め、台所に来たメンバー達が雑談をしていたよ……


「おおお……帰ってきたか婿殿、よ〜し、では水浴びをしてくるか……」


 片膝を付きながら、横になった状態で、皆の話しを聞いているアイカさん。僕と目が合うと立ち上がり、周りにいる女性達に水浴びして来ると告げたよ。

 それにさぁ、良い事あったのかな……?


 機嫌も良いし、僕の作業も早く切り上げてくれたから。


「お、行ってらっしゃい」


「どうぞどうぞ」


「行ってらっしゃいませ」


「いいな〜長……」


 複数の女性の声がアイカさんへと集まるよ━━

 そんな中アイカさんは、部屋を退室した……取り巻きの女性達へと、手を振りながら後にするよ……


 その後は僕いつものように、後ろに付いて歩いたよ━━我が家の水場にね。

 するとさぁ、僕の目の前には、大変に大きな壺があるのよ!

 それも、人一人が楽に入れそうなぐらいの、大きな壺がね……


 どうも、アイカさん。僕の話しを聞いて用意してくれたみたいだよ!

 ━━大きな壺をね……それにさぁ、此れを見て思ったね。僕は……


 アイカさんの機嫌良いのは、此が原因なんだとね……


「……健太、一緒に入ろうか?」


 僕に声を掛けて、誘ってくれたよ。アイカさん……


 僕が日本での生活みたいに、お風呂に入りたいなぁ〜!

 と、言ったの覚えていて、用意してくれたみたいだよ。


「うん、入る!」


 僕慌てて服を脱ぎ始めるよ━━パンツ一丁だけどね。

 脱ぎ終えると、慌てて入ったよ。簡単仕様の湯殿だけど、嬉しいね。

 アイカさん、もしかしたら。もう僕がいないと、駄目仕様になったのか?

 そう思うとさぁ、何だか嬉しくなるよ。僕……


 今日の疲労も皆飛んで生きそうだよ!

 それにさぁ、アイカさん……服を脱ぎ終えると、入ってきたよ。

 顔を見るとさぁ、何だか嬉しそうだし……今日はいつもと違い、しおらしく見えるね。

 それにさあ、湯に浸かりきると、僕にしなだれてきたよ。


「どうだ、健太。気持ち良いか?」


 僕の肩に頭を載せて尋ねてきたよ?

 お風呂はどうかとね……


「うん、ありがとう。気持ちいいよ……」


 僕お礼の言葉をアイカさんに、述べたよ……


 その後は、男らしく、アイカさんの肩に手を掛けた━━

 そしてもっと、体が触れあうように、もっと自分自身へと寄せたよ。


「そうか、それは良かった……」


 するとさぁ、更にしなだれ掛かり、甘えてくるね、アイカさんは……


「あ、愛しているよ。アイカさん……」


「……そうか……私も愛しているよ。貴方……」


 だから、僕……男らしい台詞を言ったよ。アイカさんに、愛しているとね。

 するとさぁ、アイカさん初めて言ってくれた、貴方とね……


 それを聞き僕、今日の疲れが、全部吹き飛んだし。

 アイカさん……この集落の長は、僕の物で、お嫁さんなのだと、初めて実感したよ。

 だから嬉しくなり、僕も彼女に寄りかかり、甘えた……


 そして、この集落に来て初めて、良かった思った。

 その上大変に良い日だったよ。今日はね……と、思う僕だったよ……



 ◇◇◇◇◇



「今日もせいがでるね」


「お、これも頼むわ」


「うちのお願い!」


「あ、ならわしも頼むわ」


「……あああ、はい……」


 集落の中を歩いているとね、あちらこちらから声が掛かるの人気物の僕はね……?


 ふと気付くとさぁ、大きな竹細工の籠はね、洗濯物……それも洗い物で一杯だよ……


 それを見てね。はぁ……と、溜め息ばかり漏らす僕だよ……


 最初の数日間ぐらいは、集落の人達に食されたらどうしようかとドキドキもしたし、緊張もしたよ。

 でもここつい最近はアイカさんとの夫婦中も良く、キュンキュンした新婚生活を送っていた僕なんだけど……


 でも……そろそろ日にちも経つし、アイカさん僕に飽きてきたのか?

 だから倦怠期かなと、ふと思う僕だよ……


 個人的にはね、アイカさん。僕にあれしてくれ、これしてくれとは、言わなくなったよ……


 そして更に日にちが経つとさぁ、ほぼ何も言わなくなったよ本当に……


 そんなアイカさんの様子を見て僕は……これって絶対に倦怠期?という奴だねと確信したよ……


 だからやばいよ。初めてこの世界──集落にきた頃の事を思い出すよ。僕は……


 またまた、緊迫した、夫婦生活を送らないと、いけなくなるかも……


 そう思うとさぁ、う、ぅぅぅぅ……マジで不安になってくるし、嫌だね……


 するとさぁ、今度はねアイカさんの代わりに、今迄は何も言わなかった集落の人達が、僕に次々と用事を頼んでくるようになりだしたの……


 今まではアイカさんの目もあるからだったのかな……?


 家族意外の洗濯物までは、する事は無かったのにね……


 だから更に作業量も増え……ますます、休む間もない大変な僕なんだよ……


 そんな辛い事ばかり、考えながら大量の洗濯をしている。僕だよ……


「お〜い、健太! 今からマッサージを頼むよ〜」


 ……あれ?


 アイカさんの僕を呼ぶ声が聞こえてくるね?


 ……だから何処だろ?


 辺りを見渡し確認したよ。僕はね……


 するとさぁ、アイカさん。僕に向けて手を振っているよ。それも笑顔でさぁ……


「は〜い! 今いきます!」


 僕返答を返すとね。洗濯を辞めて、慌ててアイカさんの待つ、僕達夫婦の屋敷へと帰参したよ。

 その後はいつものように、マッサージをアイカさんに行っているよ。僕はね……


 するとさぁ、いつもアイカと一緒いるお姉さま達がね。


「いいな長は、健太優しいから、何でもしてくれるし」


「うん、いいよね健太。可愛いし」


「いいな、いいな長は、私も健太みたいな旦那さまが欲しい……」


 と、声を揃えて言い始めたんだよ。僕みたいな旦那さまが欲しいとね。

 だから僕、大変に照れてしまったし。もしかして、もしかすると、生まれて初めての人生最大のモテ期が来たのかも知れないね?

 そう考えるとさぁ、僕かなり嬉しいんだけどね。


 ……で、でも……僕は既に結婚しているし、アイカさんの所有物だからね。

「あ、はははは……」と、苦笑いをして、彼女達の言葉を聞き流したよ。アイカさんが機嫌悪くなったらどうしようかとも、思うしね……


「……そんなに健太がいいなら、いいよ。私達の共通所有にしよう。お前達も健太に嫁に貰ってもらえばいいさ」


「え、いいの長?」


「うん、いいよ」


「やったよ─!」


「健太~次私もお願い~」


「え、ええええええええええええええええええええええええええええええええええええ……嘘?」


 ぼ、僕、思わず大きな声を出してしまったよ。だ、だって嘘だろうと思うじゃない。普通はさぁ……?


 だってそうでしょ。僕はねアイカさんの旦那さまの訳だから。こ、これって浮気に入らないのかな?

 この調子だと僕、本当にハーレムになっちゃうよ……それでいいのかな、アイカさんは……?


 そんな事を考えながら、僕はね。恐る恐るとアイカさんを見てみたのね──

 するとさぁ、全く持って気にもしていない素振りだね。アイカさんは……


 それどころか、ここにいるお姉さま達にさぁ……


「よ~し、今から皆でみんなでお風呂に行こうか、健太~?」


「え、あ、は、はい。で、でも……」


「サラへのマッサージは後でいいからさぁ、先にお風呂にいこう……それでいいよね。サラ?」


「うん、それでいいよ。お風呂から出た後で……「


「そ、そうですか、すいません。サラさん……」


「ううん、別にいいよ、健太。気にしなくても……それよりね、食事の準備も片付けも手伝うからね。貴方……」


 サラさん僕に言葉を告げるとね、大変に甘えてきたよ。

 ──それに彼女に貴方と言われ呼ばれたね……その後は僕に、スリスリしてきたね……


 だから僕本当に良いのかなぁ~?

 と、思ってしまったよ。

 でもさぁ、この流れはもう止まらないみたいだね。

 僕ずるずると引かれて行くのお風呂へと、彼女達に……


 その後はまたまた、お嫁さんが増えた僕だよ!

 とにかくこの世界に来てからは、頭を鍛えるよりも体力を付けないと、体が持たない僕だよ……




 ◇◇◇◇◇


 先日からアイカさんを含めてね、四天王のお姉さま達の旦那さまなったよ。僕……


 だから洗濯物の量が増えたし、お風呂での毛づくろい。それにマッサージに、その他もろもろ、増えたの……


 だからさぁ、日にちが経てば経つほど辛いし。疲れが溜まる一方で、全然リフレッシュしないの……


 だからもうくたくたで、本当にしんどい。僕なのですよ……


 でもねそれだけなら良いのだけれど。今度はね男性陣達……


 僕をね目の敵にするの、本当だよ……


 特にさぁ、この集落はね。そうでなくても、人数も少ない数十人単位の小さな集落なんだよ。

 ──そんな小さな、閉鎖的の集落だから、男性皆にはお嫁さんが均等に回る訳ではないの……


 だからね、奥さんがいない。若い男性達も大変も多いいの……


 そんな女日照りの状況下にある、この集落の若くて綺麗な女性を四人も、嫁にして独占している他種族の僕だからね……


 嫉妬の的になっているのよ。本当に……


 だから作業から作業への移動の最中などは、男性陣の集まりなどの横を通るとね。親切心?

 で僕へと声を掛けてくれるの、有り難い事にさぁ……


「お、健太! 今から相撲をしないか?」


 ニヤニヤ笑いながら言ってくるの彼達はね。でもねぼく嫌だから断るの。


「いえいえ、まだ洗濯や掃除など、作業が残っているので御遠慮します」


 とね……度々冷や汗をかきながら、笑って誤魔化すの僕はね、彼らにわ──


 それでもさぁ、彼らは「いいからいいから」と、僕の手を引くのね……嫌がっていると解っていても…


 直ぐにさぁ、「鍛えてやるよ」と、如何にも面倒をみてやっているのだと。

 親切心で面倒をみてやっていると、いった感じで僕を無理に誘うの……嫌がっていると解っていてもさぁ……


 だってね、僕も体格もあまり変わらず、同じ人種の方達なら少しはしても良いかな?

 とも思うけど……相手はオークの男性達だよ、熱血アニメの主人公みたいに奇跡は起きないよ……


 まあ、そんな感じの、体格差もある僕だから。ただひたすら、起き上がれば投げられるの、繰り返しばかりなんだよ。だからさぁ、本当に痛くて辛い、僕なんだよ……


 初めの頃はアイカさんの姿が映れば、慌てて辞めてはくれていた男性達も。

 アイカさんが何も言わないと解るとね。つい最近ではアイカさんが目の前通ってもね、知らぬ顔して相撲という名の嫌がらせを永遠に始めるの……


 だから僕、自分の奥さんの目の前でも、容赦なく投げ飛ばされているの、本当に…

 いつも、いてててて……まじで情けないなぁ、と、僕は思うのね……


「あんた達何してるの、また健太を苛めて!」


 たまにね、目に余る程、殴る蹴るを繰り返されてる事あるの、本当に……


 そうなると、もう相撲ではないよね……


 だからかな?誰かが呼びに行ってくれる事もあるの、僕が死んだらいけないからね……


 するとさぁ、奥さま達が助けに来てくれるの、慌ててね……


 追い払うとさぁ、「大丈夫?」と、優しく声をかけてくれるの、奥さま達……


 するとさぁ、僕。涙が止まらない……ポロポロと流れ止まらないね……


 本当に情けない、男だよ僕はね……自分の奥さま達の目の前で虐められて、何度泣いた事だか……?


 だから僕、本当にここでの生活が辛くてしんどいよ。本当に死にたいと何度思った事か、解らないよ。本当に……


 それにさぁ、僕に対しての扱いは、これだけでは済まないんだよ……


 オークの男性達と比べて小さく華奢な僕はね。オーク男性達から見ても大変に可愛く見えるみたいでね。

 気を抜いて歩いてると、連れ込まれそうになる事も度々あるのよ。本当に怖いでしょ?

 僕本当に恐ろしい思いを何度もした事あるの。それは流石にアイカさんも怒ってくれるし。他のお姉さま達も僕の貞操を何とか守ってくれるのだけれどもね。

 精神的に辛いし……本当に気が休まる暇もないの。だから疲れがたまる一方で先程も述べたけど。何度も何度も死にたいと思った事が多々あるぐらいだよ……


 そんな訳だから、何故僕がこの世界に召喚されたのか、全く持って解らないし。恨みたくなるぐらいだよ……


 で、でもね僕は、その度に奥さんのアイカさんの顔を浮かべては、思い止まるの本当に……


 それにさぁ、もしかしたらというか、いつかは子供が出来ると思うし。そうなると家族も増えるよ。

 だから頑張ろう、堪えるんだと気力を湧かす僕なのだよ……



 ◇◇◇◇◇





「今日もせいがでるね」


「あああ、そうですね……」


「おっ、健太。これも頼むわ」


「うちのもお願い!」


「あっ、なら儂のも頼むわ」


「……えっ? ああ、はい……」


 僕がね、集落の仲を歩いていると、あちらこちらから声が掛かるの。だから僕は人気者でしょ?


 それにさぁ、ふと気づくと、僕が持ち歩いていた竹細工の籠がね、洗濯物──それも洗い物で一杯になっているんだよ。


 だから僕、それを見てね、『はぁ……』と、溜息を漏らすんだ。


 だってあれだよ?


 もうさぁ、この集落にきて日にちも経つのに。僕はね、相変わらずの奴隷のような扱いでね、


 こんな感じで、集落の人達の雑用を扱っているんだよ。この集落にきて最初の頃は、僕皆に食されたくないから、とにかく働いたよ、命が大事だから。


 でもここつい最近は、アイカさんとの夫婦の仲も良好だし、キュンキュンと、して生活を送っているよ。


 まあ、そんな訳だから、そろそろ長の夫だと、皆も認めてくれてもいいとは思うから。


 そろそろこんな奴隷のような扱いから、解放されたいと思うんだよ。


 でもまあ、こんな相変わらずの、この集落の人達。僕に対しての扱いに、不満ばかりがあるけれど。


 こればかりは改善される素振りもないから、僕半分以上は、諦めかけているけれどもね……。


 でもまあ、そんな事は待遇は今はどうでもいいんだよ!


 何かねここつい最近というか、まあ、先程は夫婦中慎ましいと言った僕だけど。昨日ぐらいからアイカさん、おかしんだよね?


 そろそろ僕がここにきてから、月日も経つし。奥さま倦怠期? 僕に飽きたのかな?


 何かね僕に、あれしてこれしてくれと、述べてこないし。それこそ命令もなくなったんだよ。それに今日の朝には、ほとんどと、いって良い程に、アイカさんは声すら掛けてくれなかった……。


 だから僕は、またまたここに来た頃の悪夢のような夜を思い出すよ。毎晩ねアイカさんが包丁を研いでいないかとドキドキしていたもんだよ。だっていつ食べられてしまうか分からないから、ドキドキして中々眠れずに、不眠症になりそうになったぐらいだった。


 あああ、またまた緊迫した日にちを過ごすのか……。


 そんな嫌な思い、考えていると、本当にこの集落から逃げ出したくなる訳だよ。


 本当に嫌だよねこの世界は、僕に全然優しくないし。それにさぁ、僕、ひたすら愚痴ばかりを言っていたら。ふと、気づくと水場に着いていたよ。


 だから今から洗濯を始めるね……。


 でも、この集落の人達薄着だからいいけれど。これが厚手の物だと、この人数の量だと、今日一日で終わらないとは思うんだ。


 それに、今朝辺りから、僕への集落の人達の用事量が増えてきている気がするんだよ?


 特に今朝、朝食の時もね、アイカさんとは一緒ではなかったし。その後からも僕は一人で黙々と作業をこなしていたから。



『ずぅ~っ』と、一人ぼっちだったせいもあるのかな?


 ここつい最近は、アイカさんの目もあり、酷い事や用事の方も余り頼まれたり、強制的に押し付けられたりしなかったのにね。


 またまた今朝から増えてきたような気がするよ?


 と、いうことは、これからは益々作業量が増え……休む間もなく僕は、牛馬の如く働き続けないといけないのかな?


 まあ、そんな辛い事ばかりを考えながら、僕は大量の洗濯物を洗っているのだよ。だから「はぁ……」と、本当に溜息しか漏れてこないし。相変わらず辛くて辛くて仕方がないここでの新婚生活なんだ。


「おぉ~い、健太。今からマッサージを頼むよ?」


『……ん? あれ?』


 アイカさんの僕を呼ぶ声が聞こえてくるね!?


 それも何だか久しぶりに聞いた奥様の、御機嫌の良いハツラツとした声のようだから。

 僕は何処にアイカさんがいるのか辺りを見て確認をしたよ──するとさ、奥様、やっぱり機嫌が良く僕に向かっ手を振っている。それも笑顔でね。


 まあ、そんな様子のアイカさんを見ると、先程まで僕が危惧していた夫婦の仲は、取り敢えずは大丈夫そうだよ。それに僕は奥様の特別の人で、お互いが最初の仲にもなるし。


 特に女性の場合は、最初の相手は特別な人で忘れられないとか?


 記載していたのを雑誌で見た事もあるから。僕達夫婦の仲は永遠に大丈夫そうだよね。


 僕は、そんな事を考えながら、アイカさんに、口を開いて返事を返す。


「はぁ~い、でも、まだ洗濯の最中だから、終わるまで、待ってて貰えますか?」


 僕はアイカさんにそう述べたんだよ、待って下さいと。取り敢えずは、笑顔を振り撒いたよ。本当にここ二 三日は、アイカさん夜床でも体に触れる事も嫌がるし、夫婦の仲良くも拒否をしてくるから。先程僕が述べた通り、倦怠期なのかな?


 と、僕は不安にもなり心配もしていた……だってさ、いきなり見ず知らずの世界と土地に召喚された僕だから。この世界の僕自身の安らぎと、心許せる本当の身内は、妻でもある、アイカさんしかいない訳なんだよ。


 だから奥様に相手にもされず、そっぽを向かれると僕は本当に辛いし、この先幸先不安にもなってしまうから。とにかく笑顔を振り撒いたよ、奥様に……嫌われたくもないし、彼女に捨てられて、この集落を追い出されると。僕はこの世界で生きる術を知らないから。野垂れ死にするしかないんだよ。


 まあ、そんな事を考えながら、笑顔を振り撒く僕に、アイカさんは。


「う~ん……まあ、いいか……」


「えっ?」


 あれあれ?


 どういう事だろうか?


 僕のが洗濯を終えるのをアイカさんは待てないと述べるつもりなのかな?



 と、なると、本当に寂しいな……やっと、奥様に甘えられると思っていたのにね……


「じゃ、健太、終わったら直ぐに、屋敷に戻ってきてくれるかな?」


 アイカさん、僕が洗濯を終えるのを待っててくれると述べてきたよ。だから僕は心の中で『やったー! やったー!』と、歓喜したよ、嬉しさの余り。だってさ、先程から何度も述べて皆さんに悪いとは思うけれど





「ふぅ、今日も、洗濯物終り──」


 達成感から僕は、思わず声を漏らしてしまったよ。


 この数日前からアイカさんを含めて、四天王のお姉さま達……と、いうか、アイカさんの姉妹の旦那様に僕はなったのだけど。


 まあ、そんな理由もあるからね。とにかく洗濯物の量が大変に増えたよ。それにお風呂での奥様達への毛づくろいとマッサージに……その他もろもろと増えた気がするよ。


 まあ、アイカさんの姉妹という事もあるから。奥様達 大変に綺麗でスタイルの方もアイカさんと比べても甲乙つけがたいから、ぼくちゃん大変に幸せなんだけれど。


 でもね、段々と日にちが経てば経つ程……疲れが溜まるというか、全然リフレッシュ出来てないというか。


 まあ、他人から見れば、大変に羨ましそうな、ハーレム生活だとは思われるかも知れないが……


 実はね、そうでもないんだよ。


 奥様達は確かに優しいし、如何にも新婚ホヤホヤといった感じで、僕も甘えさせてもらえるようにもなったし。奥様達からも暇さえあれば夫の僕に甘えてくるから本当に家の中では幸せだと思う。


 ……でもね、家の外を一歩出るとそんな理由にはいかないのだ。


 特にね。今度は若い男性陣達が……


 僕をね、目の敵にするんだよ。嫉妬心を剥き出しにして──本当に本当なんだよ。


 だから僕は、大変に辛いし、ストレスばかりが溜まる一方なんだ。


 特にこの集落はね。そうでなくても、男女合わせても百人程度の人数でね、とても小さな集落なんだよ。


 まあ、こんな小さな閉鎖的の集落だから、男性の人達皆にはお嫁さんが均等に回る訳ではないよね? どう考えてもさ。実際は僕もアイカさんが婿として召喚をしてくれたから奥さんが出来た訳だし。長の夫だから特別待遇?


 で、お嫁さん新たに貰えた訳だけど……僕自身は全然稼げてないんだけど……


 まあ、家の収入……と、いうか、集落の食の収入減の殆んどは、アイカさん達奥様が稼いでくるんだけれどもね。


 はぁ、あああ……


 まあ、少し話しは飛んだけれども、実際あのまま日本に住んでいても、内気な僕だと現実的に将来君は、結婚出来たかな?


 と、問われると難しいかなぁ……と、僕自身も思うぐらいだからね。


 まあ、家うちのアイカさんの集落は、こんな感じだから、奥さんがいない若い男性達が多々いて、女日照りの状況下にあるのに。


 その中でも若くて綺麗な女性を四人も嫁にして、独占している状態の、他種族の僕だから。自然と嫉妬の的になっているんだよ。


 だから作業から作業への移動の最中などは、男性陣の集まりなどの横を通ると──親切心で? 僕へと声を掛けてくれるの、有り難い事に。


「おぉ~い! 健太! 今から相撲をしないか?」


「あああ、いいな、俺達が健太を鍛えてやるよ」


「おう、特訓だ、特訓──!」


「早く──こっちに来いよ! 遊んでやるから……」


 まあ、こんな感じでオークの男性達──『ニヤニヤ』と、笑いながら述べてくるの彼達は。でもね、僕はとても嫌だから断るのだよ。


「いえいえ、まだ家の洗濯や掃除など、作業が残っているので今日は御遠慮します」


 と、顔には冷や汗をかきながら、引き攣り笑って誤魔化すの彼らに。


 でもね、彼らは、どう見ても嫌がっているようにしか見えない僕を。「いいから、いいから、来いよ、健太……」と、しつこく手を引くんだよ。


 だから僕は、いつものように、彼らの手を振り払いあしらって──そのまま先へと進むのだけど……


 今日はいつもと違うんだよ。ここまで彼らもする事は無かったのに。


 だって嫌がっている僕を無理矢理 担いで、そのまま、男性陣の円陣の群れの中に放り込むんだよ。


 その後は皆さんの考えている通りだよ。


 僕自身、痛くて目を瞑っているから何をされているのか全く解らないけれど。


 彼等の声だけは、しっかりと聞こえてくるんだよ。


 他種族、力も体力もない劣等種族の人種の癖に、お前は生意気なんだよ、長以外に三人も嫁に貰いやがって──」


「おう! そうだー! そうだー! やっちまえー!」


「あああ、このクソガキ、生意気なんだよ──」


「「「オラオラ──」」」


「「「死んでしまえよ、健太──」」」


 まあ、遠のいて行く──意識の中で聞くことが多々あるから、余りハッキリとは覚えていないけれど。大体こんな感じだと思うよ……


 でもね、こんな状況が続くのなら、『やり返してやれよ!』と、皆さんは思うかもしれないけれど。


 僕もね、何度もそんな事を思ったから、やり返した事も多々あるんだ。でもね、先程彼等が述べてた『体力も武力も無い劣等種族の人種癖に』の通りだら。こんな体力勝負のジャングルのサバイバル生活には向かないの。それにさ、僕自身も余り体格もあまり変わらない種族や同じ人種の方達なら、少しは勝負になるかもだけど。


 相手はね、みんな大男で、身長も二メートル以上もある、筋肉ムキムキのオークの男達だよ。先ずね、熱血アニメの主人公みたいに奇跡は起きない……


 だから反抗して抵抗しても、相手に全然効かないんだよ。ただひたすら、起き上がれば投げられるの、繰り返しを僕は受けるだけで。抵抗するだけ無駄だと分かれば只やられっぱなしで我慢をしているから、僕は本当に痛くて辛い……


 初めの頃はね、集落を見回りしているアイカさんの姿が映れば。慌てて彼等も辞めてはくれていたけれど。


 長としての立場もあるから、こんな小競り合いで注意も出来ないし、オークの男性陣が何に不満を持っているのかも解っているから注意が出来ないんだよ。


 僕は、アイカさんの夫と言っても、あくまでも人種で、オークではないからね。


 だから、アイカさんも度々注意が出来ない訳で……奥さんが何も言わないと解ると。もうつい最近では、長のアイカさんが目の前通ってもね、知らぬ顔して相撲という名の嫌がらせを永遠に僕に行うの……


 まあ、そんな感じだから、僕は自分の奥さんの目の前でも、格好悪く投げ飛ばされの、それも容赦無く本当に……その度に僕は、涙を浮かべながら、いつも、「いてててて……」と、マジで情けないなぁ、と思う……


「あんた達何してるの、また健太を苛めて──!」


『あれ? ……誰かの声がするね? う~ん、誰だろう? 女性の声?』


 だと思うけど……僕の大事な、唯一この世界の奥さん達家族が駆けつけてくれたのかな?


 まあ、意識が薄れて行く僕だけど……たまにね、余りもに男性陣の人達が殴る蹴るの度を越す事が多々あるの。そうなるとさ、目に余るし、もう相撲でもないし、プロレスとか、僕自身を鍛えるでもないからね。只単に他種族気に入らないからと、僕に暴力を振るっているだけだから。


 そうなると、誰だか解らないけれど。奥さん達を呼びに行ってくれる事もあるの、僕が死んだらいけないからとね……


 するとさ、今みたいな感じで、奥様達が慌てて僕を助けに来てくれるの……


 追い払うとさ、奥様達「大丈夫? 大丈夫? 健太──」と、エリエさんかな?


 僕に力強く声を掛けてくれるよ。


「あなた、あなた、しっかりして、しっかり」


 この甘えるような淡い声色は、プラウムさんかな?


「プラウム姉──おとうちゃんに、回復魔法を早くー! 早くー!」


 ……ん?


 慌てて僕に回復魔法を掛けるようにと急かしているのは、アイカさん姉妹の末っ子で甘えん坊のサラかな?


 とにかくね、こんな感じの日常生活が多々あるんだよ。その度にね、僕の奥様達……優しく声を掛けて看病をしてくれるんだ。


 でもね僕は薄れて行く意識の中でも涙が止まらない……もうね『ポロポロ』と次から次へと流れ出て止まらないよ。


 だって僕自身 本当に情けないと思うんだ……自分の奥様達の目の前で何度も……それこそ、結婚前から考えると奥様達の目の前で虐められて、何度泣いた事だろうか。


 僕はいつもこんな様子だから、本当にここでの生活が辛くてしんどいよ。何度本当に死にたいと思った事か解らないぐらい……


 特に僕の容姿はオークの男性達と比べても小さくて華奢だから。彼等から見ると大変に可愛くて素敵に見えるみたいなんだ。


 だから『ぼぉ~』として、気を抜いて歩いてると、いきなり建物陰に連れ込まれそうになった事も多々あるんだよ。やはり閉鎖的でお嫁さん足りていない集落だから、衆道に走る方や趣味の方も多々いるみたいで……


 でも、僕もその度に大騒ぎをして抵抗するのだけど。相手は本当に大男のオークの男性だから一度抑え込まれると、本当に抵抗出来なくなるから。


「やっ、やめて──! やめて、ください──!」


「うっ、うるさい! 黙れ健太ー!」


「た、頼むから、離してください──!」


「えええぇ~い、静かにしろ! 黙れ! (ガツン!)」


「うぎゃ、あああああああああああああああっ! いっ、痛いよぉ、おおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 まあ、こんな感じで、殴られたりもするから、苦痛な声で大きな声を出して大騒ぎをして助けを呼ぶの。


「あんた──家うちの主人に何をしているの! 本当にぶち殺すわよ──! (ドガン──!)」


 すると家うちの奥さん達が慌てて、こんな感じで助けてくれし。相手の男達を追い返してくれるから、何とか僕の貞操は保たれているけれど。本当に恐ろしい思いを僕は何度もした事があるよ。


 それには流石にアイカさんも、この件だけは度々相手を呼んでは怒ってくれるのだけれど。それでも中々……収まらないよ、閉鎖的な集落だから……


 もう本当に僕は、こんな感じの毎日だから、精神的に辛いし……本当に気が休まる暇もないの。


 だから本当に疲れが溜まる一方で先程も述べたけど……何度も何度も死にたいと思った事が多々あるぐらいだから。


 まあ、そんな訳だからね、僕が何故この世界に召喚されたのか、全く持って解らないし。恨みたくなるぐらいだよ。


 ……で、でもね僕は、その度に奥さんのアイカさんの顔を浮かべては、思い止まるの本当に……


 それにさ、僕達夫婦に子供が出来れば、集落の人達も僕を仲間と認めてくれるかもしれないし。又そう思いながら只ひたすら頑張ってはいるんだけど。


 本当に辛いな……と、思うことが、多々あるよ……




 ◇◇◇◇◇





「只今帰りました……」


「お帰り〜」


「お疲れさま〜」


「……すう……すう……すう…」


 午前中の家事も終え、高床式の丸太を組んだ、風通しの良い、我が家に帰ってきたよ僕──

 ジャングル仕様のこれといった服装もないので、上半身裸でパンツ一丁のままなの。

 そんな僕が部屋に入るとね。あれ?アイカさんいないんだよ……


狩りか果樹取りにでも、いかれたのかな?と、アイカさんが珍しく家にいないので、僕思わず思ってしまったよ。

 丁度ね今屋敷にいるのはね。つい最近僕のお嫁さんになったばかりの。この集落の四天王のお姉さま達なの……


そんな四天王のお姉さま達……皆思い思いの格好で寛いでいるよ。


 最初に僕の目に入った女性はね、只今弓の手入れをしている最中のエリエさん。ネイビーブルーの髪色に、ロングの髪型が特徴的な大変に活動的なお姉さまなの。

その隣で竹細工をしているのがプラウムさん。ポニーテールのように髪を結んでいて、大変に落ち着いた大人の女性というのが僕の印象かな?

最後はサラさんだけど、只今睡眠中なのよ。僕がね男の人達に虐められていると、いつも慌てて駆けつけて助けてくれるの。

それにさぁ、僕がこの世界、集落に来た時から、いつも気に掛けてくれてる、女性だと思うよ。

だから大変に面倒見の良い女性だとばかり思っていたのだけど、少し違ったみたいだね……


サラさんが僕に好意があるとは、全く持って気付きもしなかったよね……


だからサラさん起きているとね。本当に僕から離れないよ……


ほぼ、甘えているね。僕にさぁ……

 

 そんな三人のお美しい、お姉さま達の様子を見ている僕は、ここに転移して来てから、一月余りを過ぎてしまったけれど。

ふと気付くとさぁ、ハーレム仕様になっているみたいだね?

 良く解らないけど?どうも僕は、四人の共同財産になっているみたいなの……


だから本当に体力いるのね僕は、でもね自分でもびっくりしている事あるよ。

僕自分自身が思っていたよりも、タフで体力あるみたい。深夜遅くまで行っていた受験勉強や自主勉強。脳を使うという行為は、僕が考えていたよりも体力の消耗が激しかったみたいだよ。

だからね、僕。奥さんが沢山いてもさぁ、皆夫婦中は大変に良いのよ。

案外働き者だし僕、奥さん達にも良く尽くすからね。

 ──それにさぁ、彼女達だけど、皆アイカさんの腹違いの妹達なの。だからさぁ、アイカさんにも良く似ているし、大変に容姿も良い女性達ばかりなのよ……


そんな容姿の良い四天王のお姉さま達だから、最初僕のお嫁さんになりたいと、聞いた時には、本当にびっくりしたよ僕は……


でもね皆奥さま達優しから、僕を良く可愛がってくれるよ。

だからね、家事の方の負担もかなり楽になった僕だよ。奥さま達僕に甘えたから、作業も良く手伝いをしてくれるの、本当に……


まあ、そんな訳だから、楽にもなってきたし、男の人達も僕を余り虐めると、奥さま達出て来るから、虐めの方も数も減り、余りしてこなくなったの、本当に……


だから助かるよと思うの僕はね……だからお礼も兼ねて本当に良く尽くすよ。奥さま達に、愛情も込めてね……


でもね、アイカさんとは相変わらずだね……


不仲とは言わないけどさぁ、余り言葉も交わさなくなったよ。僕達二人は……


だからやはり、アイカさんは倦怠期なのかと、思ってしまう僕だよ……?



 ◇◇◇◇◇



「……はぁ……」


 くつろいでいる彼女達を横目で見ながらね、思わずため息漏らすよ。僕はさぁ……


 ここに転移してからの僕、いつもいつも思うのだけど、本当にオークの女性の人達って大雑把というかさぁ、本当に男性みたいで、家にいても何もしない。それこそ仕事後とか休日のお父さん達みたいにゴロゴロ寝てる事の方が多いのよ……


 思わずねこの家さぁ、僕がいないとどうするの? と本気で思う程なんだよ。


 それにさぁ、オークの女性はね男勝りで、戦にも出かけるし猟もするんだよ。

──その上さぁ、子供を産み子孫を残す事も可能ときてるから、男性達よりも集落での権限も強いし、女性が気に入らないとまずは男性達は、嫁も来ないし子孫も残す事も不可能なんだよ。

 それにさぁ、中にはね。それでも気に入った女性ができて、男性が夜這いなど掛けてもね、まず十中八九半殺しの目に遭うとお姉さま達に教えてもらったのだよ。

だから僕。何てオークの女性達は恐ろしんだと、心底思ったよ。僕はね……


そんな事を心底思ってしまったよ。僕はね……?


あああ、くわばら、くわばらだと、思ったよ……


 そんなオークの集落、代々長若しくは首長は女性がしているみたいで、僕たちの世界とは違い。女性が強い社会なのだと思ってしまったよ。

 そんな女性主義の社会だから、嫁が来た男性は文句も言わずに奥さんに尽くしまくる。そんな感じの社会みたいだよ。

 ──他の家庭を覗いてみても、やはり高齢者か男性、子供などが家事をしている事が多いい気がするね。

 だから我が家でもね、家事は僕がするの、四天王のお姉さま達は、まあ、こんな感じで好きな事をいつもしているし。

気が向けば暇な誰かが、狩りや果物などを取りに行っているって感じかな……?


 そんな感じのこの集落だから、今日は家にいないアイカさん。彼女が行ったのだと、ついついと僕は思ってしまった訳なの、狩りにね……?


 まあ、それは良いとして、さてさてこれから何をするかな?

 今日は珍しく、何故か家事も早く終わり。これといって何もする事もない僕だよ……


夕飯の準備やお風呂などには、まだまだ時間もあるねと、思う僕だよ…


 だから僕、少しばかり横になって、仮眠でもしようかと思い考えるよ。本当に……


休める時に休んでおかないと、本当に体力的に辛くなる、僕だよ……


何せ奥さま四人もいるからね、僕は!


 ……特につい最近は家事を終えるとね、横になり昼寝などをしている事が多いい僕なの……


するとね奥さま達。昔話や童話のように、大きな木の葉で仰ぎ、涼を入れてくれるの、本当に……


それにさぁ、労ってもくれるし、膝枕などもしてくれて、可愛がってくれるよ。僕の事をさぁ……


多分他の家の旦那様よりかは、可愛がって貰っていると思うよ。僕は……?


いつも、可愛い、可愛いと、言ってくれるの、奥さま達はね……


それにね、先ほどは何もしないと奥さま達の事を言ったけれど。この集落皆の食事……


半分以上は、僕の奥さま達が狩りして来て、用意をするよ!


だから本当にこの集落は、長の家で持っているような感じなの、だから集落の人達は、長であるアイカさんに敬意を払うし、命令は良く聞いて、まずは逆らわないね……


僕も最初の頃は苦痛でしかたのない、食事の準備だったけれども。つい最近は奥さま達見てたら、僕も出来る事で協力して、手伝わないといけないといけないと思いだしたよ。

だって、余りというか……ほぼ自覚がないぼくだけど……


どうも僕は長の夫で主人な訳で、唯一長を諫める事が可能な人物みたいだね……


でもね怖くて、アイカさんの事を怒る事など到底無理な僕だよ……


 そんな事ばかり考えながら僕……


エリエさんと、プラウムさんの間に転がったよ。お昼寝するためにさぁ……


「……健太お疲れさま」


エリエさん、僕の頭を撫でてくれるよ、優しくね。

──そのまま僕の頭を膝に載せてくれたよ。いつもね、いつもね、つい最近はこんな感じだよ。僕……


ハーレム仕様の王様みたいな感じの生活をしているよ。家の中ではね……


だからね、お昼寝も嬉しい僕なのよ。果物など有る時などはね「貴方あ~ん!」の世界だよ、本当に……


だから体も心も、初めの頃とは違い、癒されるようにはなった、僕だよ……


そんなエリエさんに甘えている僕に、プラウムさん。話し掛けて来たよ。甘え声を出しながら……


「貴方、甘酸っぱい果物が食べたい……だから取ってきて、お・ね・が・い……」


と、プラウムさん。竹細工の作業を止めてね、僕に甘え声でおねだりしてきたよ。果物を取ってきてくれとね。

──それを聞き僕は、奥さまのため、果物取ってくると決意を決めるよ!

特に僕もそうだよ、よその家の旦那さま達といっしょだよ。

……奥さま達には弱いからね……


だから僕、奥様の為に慌てて立ち上がり──プラウムさんに向けて敬礼をしたんだ!


……その後は「はい、奥様! 行ってまいります!」と、高らかな声で言ったよね──

 するとさぁ、プラウムさん。大変に嬉しそうだよ──

僕はね、その笑顔に負けちゃった……


後は再度、プラウムさんの笑顔を確認すると、僕達の丸太の屋敷を出たよ──

そのまま集落の外へ出て、果物採取へと向かう僕だよ……



 ◇◇◇◇◇


「え〜と……何処だったけ?」


 ━━上を見上げなから歩いているよ。僕は……


プラウムさんに頼まれた甘酸っぱい果物を、上を見上げ探しているの……


だけどね。中々見当たらない僕だよ……


 つい先日ね。アイカさんに、この辺りにはマンゴーに良く似たモンゴーという甘酸っぱい果物がね。沢山成っていると教えて貰ったばかりなの。いざ探しに来てみるとさぁ、中々見当たらないのね、アイカさんの言った通りさぁ……!?


 それにさぁ、先日もアイカさんがね。マンゴーに良く似た甘酸っぱい果物、モンゴーをね。持ち帰りプラウムさんと二人で、仲良く食していたよ……


 特にね、ここつい最近は、アイカさんとプラウムさんの二人は、妙に酸っぱい物を欲しがったりとか、気分が悪いとね言っているの……


だからさぁ、少し心配で気になる、僕だけどさぁ……


日本でならね、病院に行っておいでと、言って上げる事、それが可能な僕だけどさぁ。

ここは日本では無い世界……そう異世界、それもジャングルの中で、病院などはない場合なのね……


だから朝起きるとね。心配で二人の寝顔を交互に見るよ━━それで確認をするの、とても心配で気になる僕だから……


でもさぁ、朝起きた二人にね。「調子はどう?」と、心配な顔をして尋ねる僕だけど……


「……ん?大丈夫だぞ健太!」


「……別にどこも、悪い所はないですよ、貴方……」


二人から返る言葉はこうだよ。だから大丈夫なのかな?と、思うね僕だけどね……


「……あああ、そうなんだ……」


と、余り気にした素振りもない、返事をする僕だけど……


で、でもね……気になるの、僕の大事な家族だからさぁ……


「……食べたい物があれば言って、出来るだけ用意するからね……」


と、優しい声だけは掛けたよ。僕……


まあ、そんな訳もあるから、奥さまに頼まれるとね。嫌だと断れないの、僕は……


だからプラウムさんにね。頼まれたモンゴーの実を夫として必ず持って帰らないといけないと思う、僕なのよ……


何せ彼女達の夫ですあり、主人だから……


威厳を保つためにも、必ず持って帰らないといけないと思う訳━━

更に決意を固めて、モンゴーの実、探索入るね……


確りと、空を眺めたよ━━

「 よーし!頑張るぞ!」と、思う僕だよ……


でも、中々ないものだね……


 先へ先へと進んでいる。僕……


奥様の為に探しに探すのだがやはり中々見当たらないよ……


 それにさぁ、上を見上げてばかりいるからね……マジで本当に、首が痛い僕だよ……


 だからね。心が折れ断念したくなる気持ちになる僕だよ……


でもね、フラウムさんの笑顔を思い出すとさぁ、もう少し頑張ってみようかと、気合を入れ更に森の奥へと進む僕なのだよ──



 ◇◇◇◇◇


「あ、あった! あった!」


 嬉しさの余り声が出そうになった僕。思っていたより集落から離れてしまったと、後ろを振り返るよ……


 この辺りまで来るとね。他の種族の人達とも鉢合わせする事もあるので周りには気を付けないといけないの。

 ……僕そんな事を考えながらね。モンゴーの実を採取するために先へと先へと進むの━━

 この辺りでもね、モンゴーの実が無い事は無いのだけれどもさぁ……


僕の背丈だと、どうしても手が届かない場所多いいの……


まあ、そんな訳だからね。僕木登りが得意なら良いのだけれでも。何せ勉強ばかりしてた青瓢単の僕だら、幼少期も上り棒が不得意でさぁ、中々登れずに、学校のクラスの人達に良く笑われたものさぁ……


 だからね僕、仕方がないから自分の身長━━身の丈の合う木を探すために更に奥へと進んだよ……



 ━━更に、更にと、先へと進んだ━━

……それでね頭上を見上げながら進んだよ、僕は……


「なぁ、いいだろ?」


「…………?」


 ……ん?あれ? 誰かいる?

 ……何処からともなく、男性の声が聞こえて来たね……?


 何処だろう……?


人の声を聞き取り、思わず立ち止まり生唾を飲む僕だよ……


マジ、どうしょう?

緊張しながら辺りを注意深く確認を取り始めるよ。僕は……


 ……どの辺りに人がいるのか、場所の特定できないけれど、確かに人の声がしたんだよ……


だから本当に不味いんだよ……他の集落の人達だったら、見付かれば、まず間違いなしに、僕は殺されてしまうよ……


だからどうしょう……?


 ……まあ、悩んでも仕方の無い僕だよ!

だから慌てて身を低く構えた。その後は地面に這わせた僕だよ……


特にね、この辺りはさぁ、もうアイカさんの集落の縄張り範囲外なの。

 だから他の種族の者達がいても可笑しくないんだよ。


 ……だから僕注意深く探るね辺りを……


 先程も述べたけどさぁ、もしも他種族か他のオークの集落の者達に見付かれば、ほぼ間違えなく僕は、殺されてしまうし。食されてしまうよ……


 だから僕、ゆっくりとゆっくりとだけど……息を殺し、音を立てないように、身を伏せ四つん場えのまま後ろにさがったよ!


 取り敢えずはこの場を去りたいしね……


 更に辺りを注意しながら……差し脚忍び足で後退を始める僕だよ。怖いからね……


「駄目よもうあの人がいるから……」


「…………ん?」


 あれ? 今女性の声がした気がするよ……?


人って二名いるのかな……?


 そんな事を思う僕だけど?

でも一名でも不味いと思っていた僕だから……新たにもう一名追加となると、更に危険度が増してくるね……


 ……だから僕、更にヤバイヤバイと思いながら、後ろにさがるよ……


するとね、更に男女の話し声が聞こえてきたよ……


 ……僕注意深く聞く耳立てるよ……


「いいじゃねぇかぁ、あんなチビ放置して別れてしまえ。お前だって俺の方はがいいだろ? ……だからさ、な、いいだろ……」


「……駄目だって、それに断ったのはあんただろ? あのエルフ女はどうしたのさ?」


「……あ、あれか、あのエルフ女、お前の所のチビを召喚した後に、壊れたから処分したさ……それにあんなチビの子を産む訳にはいかないだろう、お前も。それに旦那が出来てからお前色気が増していい女になっじゃないか……だから俺の女になれ、チビは俺が処分してやるから……」


……チビがどうのこうのと、言っているね……


それにさぁ、女性……何処かで聞き覚えのある声なの……


誰だったけ〜?と、考える僕だね……


更に二人の会話を聞く耳立てて聞いたよ……


まあ、何かさぁ……覗き見してるみたいで、良い気はしないけど……


僕自身を守らないといけないし……家に奥さま達いる僕だから……


「ん、んん、ンンン……駄目だって健太いるから、最後迄は無理。それに、エリエ、フラウム、サラがいるから無理だよ、健太を殺せないよ……」


「…………え?」


「健太?って……まさか僕……?」

 僕の名前と三人の奥さん達の名前が男女の会話に出てきた。

 それも男性の方は僕を処分しろといっている。

 それに今の会話を注意深く聞いてると、声の主はアイカさんなのかなぁ……?

 ━━それにアイカさんなら、喜悦な声迄漏らしていた気もするし……それに僕を殺す、殺さないとか言っていた気もするのだが……?


 ━━四つん場えでいた僕だが、訳け解らなくなり、動揺しながらも立ち上がると声がした方へと慌てて進んでいく。


 ━━━━


「ああ……ぁん、んんん……駄目よ、駄目だって……」

「……アイカかいいだろ、俺の嫁になってくれ……」

「……もう、無理、無理だってばぁ……最後は駄目だって」

 ━━更に聞こえてくるアイカさんの、声を殺すように途切れ途切れで聞こえてくる喘ぎ声。息使いも途切れ途切れだが、荒くなっているような気がする━━


 待ってよー! 待ってよー!

 これ以上は進まないで━━

 お願いだからアイカさん━━


 彼女への嘆願にも似た思い。

 先に進めば進む程━━二人に確実近付いている。

 アイカさんの甘い甘い途切れ途切れの声と、荒い荒い息き使いとが、更に僕の耳へと響いてくる━━


 ……毎晩のように夫婦の営みの最中に、彼女から何度も何度も、漏れてきた声だ━━先ずアイカさんで間違えない筈だー!


 僕以外の男性からの行為で、漏らしている声だー!

 思わず耳を塞いだくなる衝動に、僕は駈られてしまう。


「待てよー!待てよー!待ってくれぇえええええええええええええええええ……」

 駆け足で進む僕━━アイカさんへの嘆願の声が、辺りに響き渡る!

 ━━走れ! 走れ! 心臓が破れても良いからー!


 ━━━━


 更に更にと進む僕、人の形がぼんやりとだが目に写る!


 ……間に合った? 間に合わなかった? どうだろうか?


「……んん」

「……む、んう……」


 僕の目の前には二人の姿。その様子を目にして僕『ガーン』と頭をハンマーで殴られたような衝撃に駈られる。

 目の前がくらくらしてきた僕━━何故ならばアイカは僕以外の男性と抱きあい。唇をしつこく重ね合いながら、濃厚なキスをしているからだ━━

 妻のアイカに裏切りを受けた僕は、ただただ呆然と二人の様子を見る事しか出来ない……。


 ……浮気相手はウォンさんか!

 彼はオークの男性陣で、一番武力が高いと言われている集落の英雄で、僕よりかはアイカと釣り合うと言えば釣り合うかも……

 彼を見て思わず自信を無くす僕。怒鳴り付ける事も出来ない情けない男……。


 ━━そんな二人。今にも最後迄行きそうな勢いと雰囲気なのだが。僕は二人に何も言えずに、ただただ佇んでいるのみで、自分の余りの不甲斐なさに、情け無くなるのみで、奥さんを取られるのをただただ見ている事しか出来ないでいる……。


「…………あ?」

 と思い。自分自身に一つだけ出来る事がある事に気が付いた!

「う、ぅううううううううううううううううううううううう……」

 右手で涙を押さえる事、ただただひたすら号泣を始め━━泣き続ける事だけは、情けない僕でも出来た……。


「「…………」」


 ━━何とも言えない、僕のみっともない姿と泣き声に━━二人はとうとう気が付いて、僕の願望である抱き合うの辞めてくれた。


「……け、け、健太! 何故ここにいるの?」

「おいおい、マジで……何故チビ、お前がここにいる?それにお前、先程から見てたのか俺達二人の事を? マジでお前趣味悪いな……」

 唖然として顔を青ざめるアイカさん。ウォンさんは対象的に僕に見られていた事に気が付いて笑い始めた。


 僕を見下し嘲笑うウォンさん。嫁を取られそうになって要るのに何も出来ない僕。本当ならばここでアイカを返せと怒鳴る場面だが。弱い僕は何も出来ない。

 ただただ笑われるのを我慢する事しか出来ない僕にアイカは━━

「け、け健太、これは……その……違うの……ほ、ほ、本当になんでもないの……わ、わ、私は好きなのは健太だけだから……本当よ、信じてお願いだから……」

「おいおい、マジかアイカ。こいつに何を言っても無駄だぞ、こいついい趣味してるから、お前の喘ぎ声を聞いて、覗き見して、あれが元気になったんじゃないのか?」

 ウォンさん、その台詞を僕に言い放つと━━高らかな声出し更に嘲笑い始める。


 ━━体が震え始める僕。これだけ馬鹿にされても何も言い返せない、怒る事も出来ない、自分自身の情けなさに嫌気がさし、とうとう、二人の顔が見れなくなる。

「け、け、健太……大丈夫?」

 相変わらずの青ざめたままのアイカだが、僕を心配してか? 震えながらも恐る恐ると、声をかけてきた。


 こんな状況でも、僕に声を描けてくるアイカ……。

 そんなに僕の事が気になるなら、するなよぉ……こんな事を……

 僕、更に情けなくなるから……

 もう、余りの情けなく、不甲斐な僕。この場から立ち去る事に決めた━━

「うぁああああああああああああああああああああああああ……!」

 いきなり奇声を上げて叫び、後ろ向き走り出す僕、もう二度とはアイカの集落には帰らなし、恥ずかしくて戻りたくない。

 後ろからアイカの僕を呼ぶ声が聞こえてくるが。もう嫌だこんな世界は━━

 そんな事を考え、ただただ大声と奇声とを上げ、この密林を後ろ振り返らずに走り抜ける僕だった━━。


「うぁ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああ……!」

 と、相変わらずの大声を出しながら密林の中を駆け抜けて行く僕。もう死にたいぐらいだ。

 まさかまさかの、こんな結末の新婚生活になろうとは、僕自体も想像が付かない出来事だった。

 奥さんであるアイカさんが、他の男との浮気をしている最中の現場に僕、直接遭遇してしまった、何て不幸な男なのだ……


 普通ここで男ならば二人に対して「お前達何してる? こらウォンおれの女房に手を出したな。もう許さん。叩き切ってやる。そこになおれ~!」とか、男らしい台詞を怒気を含んで吐くのだろうけど。

 僕何も言えれず、抱き合っている二人を呆然と見ていたのだが。

 耐えに耐え切れず、その場を後にして逃げ出した──本当にどうしようもない男なのです……


 だってしょうがないと思いませんか?

 僕とウォンさんとでは、身長も体つきも違うし、あちらは筋肉マッスルの如何にも戦士といった感じで、アイカさんの集落の男性陣の中での英雄なのだ。


 ━━そんな英雄以下の人達に、相撲と言う名の遊んでやっているといった、名目の苛めにあっていた僕なのだから、ウォンさんに逆らうのはまず無理で、あの場でアイカさんを取り返すなど……

 情けないと思われるかもだけど、まず無理です……

 あちらの世界の格闘家の人達より達悪いですウォンさんは……


 それにさ、二人の会話で聞いたのだけど、僕を殺せとか始末しろとかどう言ういった意味なのであろうか?


 僕、意味が全然解らないし? そんな話を盗み聞きした後に、アイカさんに「待って~!」と泣きそうな声で呼ばれても、まず待てないとは思いませんか?

 それにですよ、僕を蔑ろにするあの人達と、真面に話など出来ません。

 仮にアイカさんと二人きりでも僕はもう無理です。彼女の事を信用もしていませんし。いくら貧弱な僕でも、まだまだ男尊女卑が残る日本から来た訳ですから、男の浮気は、男だからかしょうがないかぁと言葉が出ても、女の浮気は絶対に許しません。


 それにですよ、仮にも一月半近くは夫婦をした訳ですよ。それなのに、それなのに……

 奥さんと浮気相手の密談の中にですよ、僕を処理するとか殺すとか、まるでサスペンスのドラマの世界のような出来事が。まだまだ華も恥じらう十五歳の僕に降り掛かって来た訳ですよ、本当に信じられませんし。


 ……情けないやら悔しいやら、断腸の思いなのです……


 一月半ですよ一月半!

 今頃になって僕の事を飽きて処理したくなるのなら、最初転生させた時に処理して、煮るなり焼くなりして殺してくれた方がましだった。


 ……それをそれを今頃になって、僕が再婚するのに邪魔だから、処理する殺すと言わなくても……

 いいさいいさ、もう二度とあの集落には帰らない。君達の前から消えてやるよ。

「くそくそくそくそくそくそくそくそくそ……ふざけるなアイカァァァァァァ……絶対に許さないからな。それにもう死んでやる、死んでやるからな……」

 愚痴を言いつつ僕は、更に密林の奥へと進んでいった。

 そこは僕が今迄行った事もない。アイカさん達には一人で踏み込んでは行けないと、注意を何度も何度も受けた場所だった。


 ◇◇◇◇◇



(ここまで)



「ちょ、ちょっと、いいから、放してウォン」

 手を掴むウォンに放すようにと告げる私。二人の前に突然現れた健太、どの辺りからあの人に見られていたのだろうか?

 ウォンとのキスの最中ふと視線を感じ、その先を確認すると、そこには夫である健太が呆然と立ち尽くしていたのだが……

 取り敢えずは、私とウォンがキスをしている所は、見られたようだ。


 ……ッつ……どうしよう?

 余りにも突然の予期せぬ出来事だから、私自身も呆然としてしまった。だからあの人には説明をする暇もなく、言い訳をする間もないまま、健太はこの場を立ち去った。

 ……それに何故、あんなにも顔色変えて、呆然としていたのだろうかよく判らん?


 それにだ私はあの人の妻でもあるが、集落の長でもあるのだ。

 そんな私が叫び呼んだのを無視して、この場を去るとは夫でも無礼にも程がある、後で説教をしなくては……

 と、言った感じでもない気もする……もしかしてあの人は、怒っているのかも?


 ……何故?

 あの人が怒っているのなら、何故私に怒っているのか全く持って検討が付かん?

「…………!!」

 あッ!……もしかしてあの事に気付いているのかも……!?

 それならば怒る理由も解る……まだはっきりとはしていないし、次の事もあるので、少しばかり私の気も緩んでしまったようだなぁ……あの人には悪い事をした。

 ま、よい。この件は後でゆるりと夫婦で話をして説明するしかないか。

 だから取り敢えずは集落に戻ろう。健太も戻ってくるはず。

 そう思い私は、ウォンの掴む手を払いのけようとすると──

「丁度いい機会じゃねぇかぁ、放っておけよあんなチビ。それよりよアイカ、先程の続きをしようぜ、ほら……」

 この男は、我が夫を蔑視した暴言を吐くだけではなく、私の手を引き再度抱き寄せて、唇を重ねようとしてきたのだ。

「いいから放せウォン。今はまだ駄目だ。これ以上しつこいと、集落の掟にしたがって罰するぞ」

 先程迄色情しながら女をしてい私だが今は違う。長に戻り集落の掟に従うようウォンに憤怒しながら、これ以上は私に触れないようにと諫めたのだ。


「……今は駄目だとか掟に従えって……アイカ、お前……まさかあのチビの子がお腹にいるのか?」

 その言葉を聞きドキッとする私。思わず顔も綻んできた……

「ああああ……まだはっきりとはしないが、まず間違えないと思う……だからすまん手を放してくれるか……?」

 私の先程と違う。トーンが下がった口調での言葉で、ウォンはあっさりと手を放してくれた。

 ……というか、放さないといけない。

 何故なら集落の掟で、妊娠中の女性に手を出す事は禁止であり、ウォンでも免れない。

 オークの社会は女性優勢の社会なのだ。

 だから私の集落も代々首長は女性で、もう他界したが先代の長は実母だった。

 それに健太は何かを勘違いしているようだが!?

 私は何も夫に引け目を感じる事など、何もしていない。

 それどころか、死んだ母に教わった通り、夫にはちゃんと子孫繁栄の為にハーレムにもしたし。

 あの人は何か勘違いしているようだが、オークの長は男女共々ハーレムだ。

 だから私も、健太の子を授かり産み終えれば、他の男性を囲う。

 それは集落の政であり、少しでも良い血を残す為に続けてきた、代々の事なのだが……

 健太の世界は、もしかして違うのかも知れないなぁ……?


 あぁああああ……まぁ仕方がない……帰ったらあの人に説明をしようか……

 それでも愛しているのは健太。貴方だけなのだと……



 ◇◇◇◇◇



「くそ、くそ、くそ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……う、ぅぅぅ……」

 泣きながら声を出し相変わらず走り続けていた僕だが。そろそろ泣き疲れと走り疲れで、歩き始めました。

 もうアイカさんの集落には二度と戻らないと固く固く近いながら。男泣きをして流れている、僕の熱い涙を腕で拭き拭きして、歩いているのです。


 くそぉぉぉぉぉぉ……浮気された悔しいと思う反面。あの集落にはアイカさんを含め奥さんが四人もいるから僕、後ろ髪惹かれる思いなのだが。

 ここは僕も男だ! 謝っても絶対に許さないし! か、か、顔も見たくない……

 もうあんな浮気女はいらないし……

 と愚痴ばかり言ってるのだが……特に情けないのは、僕達まだまだ新婚だよ。浮気もあるけど、始末とか殺すとか浮気相手と二人に殺意のある暴言を言われて、僕を軽視するにも程がある。

 こんな僕でも夫だぞ、主人でもあるんだ。


 それに主人の漢字を思い出してみろ?

 主と人だぞ僕はアイカの主でもあるんだ。

 くそくそくそ……

 そんな主の僕を……

 何度も言うが情けないやら悔しいやらで、どう表現して言葉にしたらよいのか解らないよ……


「…………」

 で、ここは何処なのだろうか?

 ふと思い──辺りを確認して見るが?

 周りは青々と茂った熱帯雨林のジャングルで、何処見ても景色が変わらない!


 不味いな……どうするかな……?


 アイカさんの集落には僕も意地があるので帰る気はないが。

 開けた道を探し大きな街へと出て、そこで一からやり直し生活を始めようと思っていたのだが。

 今僕がいる現在地が、特定できないので不味いなぁ……


「…………」

 僕空を見上げて見る──

 今は午後だ、日の傾きを確認してみる──

「…………」

 こっちに傾き掛けてるから西かな……?

 なら東がこっちで、北、南、かな?

 ん……なら南に向けて歩くか!?

 南に向かえば、港がないかな!?

 僕そんな単純に考えで又々進み始めた。


 ━━━━


「はぁはぁはぁ……」

 喉も渇くし疲れたな……何か渇きを和らげる物は無いかと空を見上げて歩く━━

 実はこのジャングル、果物が豊富で色々と木々に実っているから、渇きと空腹だけは何とかなるんだよ。

 だからアイカさんの集落も、このジャングルの中にあるのかな?


「…………」

 あれ? だと言う事は、他にも集落あるし、多種多様な生物や種族もいると言う事だよね……?

 食べ物豊富……イコール激戦区かな? もしかしてこの辺りは?

 そう思うと僕、急に辺りが気になるし━━歩く足も早くなる。

 今迄は、アイカさんの庇護で呑気に家事だけしてれば、暮らせていたんだと僕は気が付いた。


「…………」

 翌々考えてみると僕、セフレで種付けだけしてれば良い、四人のヒモ亭主だったのだと気がつき。狩りも戦も出来なかったなぁ……と思い出し「はぁ……」と溜め息も出た。


「…………」

 考えれば考える程稼ぎも無い。養う事も出来ない亭主……

 そんな僕に奥さん四人もいたのかぁ……

 そう考えると、浮気されてもしかたがないかぁ……

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 溜め息連続、自分の事ばかり棚に上げて、アイカさん事ばかり恨むけど、奥さん達の為に稼ぎ養う努力など一度もしなかったなぁ……

 と、考えてしまった。

 集落を飛び出る前に、一度皆で家族会議をしてからでも良かったかなぁ……

 すこし早まったかも知れないなぁ……

「…………」

 ま、今更考えても仕方がないかぁ……先へ急ごうかぁ……


 ━━━━

 歩く歩く僕、先へ急ぐぞー!


 ん……?

 あッ……!!

 ━━うっ、わわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ……!


 何? 何? 何なんだ〜? これわ〜?


 ……僕何故だか解らないが? 逆さまになった状態で宙ぶらりん━━

 ど、ど、どうしょう?

 これってもしかして、獲物捉える罠?

 僕はどうも、罠に掛かって獲物になったみたいだー!?

 このままだと食されてしまう!?

 ヤバイよー!

「だ、だ、誰かぁあああああああ……助けてぇえええええええ……!」

 と、大きな声を出し叫び続ける僕なのです……!




「ウギャああああ、ウギャああああ、ウギャああああ……誰か! 誰か! 誰か!」

 相変わらず大きな声で叫びまくる僕。逆さで吊し上げ、段々と頭に血が昇ってくるよ━━


 そんな僕、時々体を振りを付けては、腹筋しようと思うのだけど……


 何せ僕、今までは幼少の頃より塾通い一筋だから。

 そう簡単には腹筋など出来やしないのだよ。

(どうだ! 凄いだろう!)


 だから思いっきり、「ふん! ふん! ふん!」と気合いを入れ声を出し、大暴れしても。

 実は腹筋も出来ないし、僕の足に丁寧に絡まっているロープも切れやしないのだよ━━


 だから僕……


 ただただ芋虫のように揺れているのが精一杯なのですよ……


 マジで本当に辛いです……


 それなのに僕、こんな状態にも関わらず、浮気をした妻のアイカさんの顔を思い浮かべるのです……


 何と律儀な犬なので御座いましょうか……


 どうも未練がタラタラあるよう御座います……


 あぁあ、━━

 アイカさんの顔を思い浮かべると、段々と目が潤んできます。

 僕の初めての女性ですから、あんな事をされてもやはり未練がましく思うのでよ本当に……


 実際にはまだ、離婚をすると言った話も、してない訳ですから……


 それに今の僕の置かれている状況、どう考えても、死が近いと思いますよ。

 段々と意識の方も朦朧としてきているんでよ〜 本当は〜!


 冗談ぽくは言ってますけどね、僕……


 だからか……?


 最後が近いと感じている僕は、余計にアイカさんの事を思うのかもしれないなぁ……


 あああ……


 それにさ、アイカさんだけとの、夫婦生活の事を清くて淡い思い出だと走馬灯のように、思い出してもいけないんだけど━━


 実は僕には、アイカさん以外にも三人のお嫁さんがいるのだ。

(あ、ハハハハハハ……『威張り!』)

 だから僕、他の妻達エリエさん、フラウムさん、サラさん。アイカさんとで合わせて━━

 僕の奥さま、四天王なのだー!


 どうだ良いだろう?


 もしも僕が死んで、仮にお化けとなり、霊魂で日本に帰れたら、友達等に化けて出て自慢してやるんだー!

 ━━四人も美人の奥さんいたんだぞ僕は!

 だから「良いだろう! 良いだろう!」って━━


 きっと皆友達は、ビックリすると思う。塾の特進のメンバー達も。

 こんな、青びょうたんで冴えない僕に、奥さんが四人もいたことを……



 あああ、最後に奥さん達四人に甘えたかったな……


 膝枕に、耳掻き、オッパイ挟みと……


 マジで切ないなぁ……


 未練残るなぁ……


 奥様達四人の、肌の感触と温もり━━

 それとホンノリと甘い匂いを思い出し、妄想にふける僕だった……


 マジで、マジで、切ないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!



 ◇◇◇◇◇



 あぁあ、……


 先程とうってかわって、無言状態が続く僕━━

 段々とだが抵抗して大声を出す、体力の方が無くなってきています……


 そして死が近い事も僕は悟りだしましたよ……


 あ、ああ……切ないなぁ……


 あれから時間もかなり経っているし━━

 逆さ宙ぶらりん状態で、頭に血が昇って来ているせいもあるのかな……!?


 もう意識朦朧……気持ちも悪いし……吐き気もする。


 だからこんな絶対絶命の場面等は、アニメ、映画、ラノベ等では、必ずといって良い程、仲間が助けに来てくれるのだ。


 ん……はぁ……


 誰か助けに来てくれないかな……?


 自分自身が蒔いた種だから、自分自身で刈らないとはいけとは解るけど。

 僕の許容範囲を越えてしまっているよ━━


 まぁ、仕方がないから、諦めないといけないの。

 そうだとは解ってはいるけど……


 やはり僕は、正義の味方を期待してしまうの……


 特に先程から考えているのは、僕の帰りが遅いと心配になり愛する妻達━━

 特に先程の件もあり、アイカさん。心配になり謝りたいと探しに来てくれるのを、ついついと期待してしまの……


 だからさ……


 あああ……アイカさん助けてよ━━


 それにさ、アイカさんがまだ帰っていないようなら。

 エリエさん、フラウムさん、サラさんでもいいからさ。

 僕が心配になり、慌てて探しに来て━━

 そしてマジで助けてよ……


 あぁあ、……探索来ないと言う事は━━

 マジでアイカさん。まだ家に帰ってないという事だよね?

 だと言う事は……


 ウォンと浮気している最中だと言う事かぁ……


 うわぁぁぁぁぁぁぁぁ……それを考えると嫌だなぁ……


 特にこの状態でそれ考えると、生きると思う気持ちが、どうでもよくなってくるよ……


 あ、ああ……死にたい……


 でも……生きたい……


 そう考えると僕、やはりアイカさんが心配して探しに来て、助けてくれる事を期待するなぁ……


 だってもしも、もしもだよ、アイカさん以外の人が助けてくれて、まだ家に帰っていないとか解ると嫌じゃない!?

 それに他にも家にウォン等を連れ込んでいるとか、仮に聞かされるならこのまま死んでもいいかも……


 だからアイカさん助けにきて━━

 小さな切ない思いで、もう長くはない人生だと解っていても。

 何処かアイカさんが、助けに来てくれるのでは?

 と期待する僕だった。



 ◇◇◇◇◇



 ぶらぁぁぁん……! ぶらぁぁぁん……! ぶらぁぁぁん……!


 相変わらず、ミノムシのように揺れている僕──

 もう暴れて罠を何とか外そうと思う気持ちも薄れてしまった……


 あるのは、僕の現世への未練だけ……


 僕の都合の良い妄想と解釈だけで終わった……


 取り敢えずは誰も助けなど来なかった……


 まあ、それはそれで仕方が無いか……


 正義の味方はいなかった……ただそれだけだよ……


 愚痴を言っても此処まで来るともう仕方が無い。只それだけだよ……


 と━━


 諦めモウドになってしまっている僕がここにいる……


 もう奥さん達の事も考えるの辞めようと心に決めて、とにかく何も考えないようにしながら、揺れる逆さまになった景色をただ眺めているだけに集中したのです──


 ガサ! ゴソ! ガサ! ゴソ! ガサ! ゴソ!


「…………!?」


 ガサ! ゴソ! ガサ! ゴソ! ガサ! ゴソ!


 …あれ?

 複数からなる人達の、草木を踏み折る音が近付いてくる気がするなぁ……


 ……誰だろう?


 やはり複数の人達の足、段々とだがこちらに近付いてきている気が……


 僕、こちらに向かってくる音聞きながら、思わず緊張して沈黙をしてしまったよ。

 だって、だって、もしかしてさ!

 本当に正義の味方来たのかも……?


 そう、自分の良いように、考え出したのさ。

 やはり僕を心配になった奥さん達が、集落の人達に呼び掛けて、僕を探し始めたのだと━━


 良かったー! 良かったー! 良かったー!

 助かったー 僕!本当に良かったー!


 と……


 本当の自分自身の現実を知るまでは……


 そう喜んだのさ……


 だけど……


 黙り込む僕だよ……


 目の前に写る人達は、オークの見慣れた人達では無くて、初めて見る種族の人達。

 ━━その人達の容姿を見て僕、恐怖に戦いて黙り、沈黙。正義の味方等、いないと確信して死の覚悟を始めました……



◇◇◇◇◇


(ここまで)






「健太いる?」


「う、ぅぅん、まだだけど?」


「モンゴーの実を取りに行ったきり戻ってこないけど……!? 少し遅いわね……!?」


「……何かあった?」


 エリエ、プラウム、サラの三人。

 浮かない顔をした私を見て━━

 不思議そうな顔をして尋ねてきた!?

 健太に何かあったのではないかと……


 そんな私は三人の顔を見て━━


 どうしたら、良いのだろうか……? 又どう説明したら良いか……?


 そう考えて、健太の事を思案した……



 健太……


 あの、場面を見た事が原因なの……?


 まだ、帰ってきていない……みたい……


 帰ればいつもの通り━━

 あの人が、ここにいてくれて━━

「お帰り!」と━━

 私に笑顔でいつも言ってくれていたから。

 今日も帰れば、そうだとばかり思っていた……


 特に私……夫を迎えてからは、いつも、いつも、当たり前の日常事だとばかり思っていたから……


 余り深くは考えていたかった……


 帰れば夫が、温かく笑顔で、「お帰り……」と、言ってくれる言葉の温かさが……



 そして此度の事、余り深くは考えていなかった私なのだが……


 もしかすると、私が思っていたよりも。

 かなり大変な事に、なっているのかも知れない?

 又そう思ってしまった……


 特に健太━━

 私とウォンの行為を目の辺りにして━━

 かなり、ビックリしていた様子でいたし。

 その後は……


 自分自身の顔を青ざめ、引き面せながら。長である私が呼び止めるのも無視して。


 いきなり大きな声を出して!


 その場を達去ってしまった━━


 妻である、私の呼び止めるのも無視してね……

 

 何故……?


 本当に可笑しいとは思わない?


 私は健太の妻でもあるけれど、この集落の長でもあるのよ!


 待て言われれば、持つのが当たり前だとは、思わない?


 ……それを……それを……それを……あの人は……


 長である、私の命を無視して……それも泣きながらにね……


 本当ならばあの場で憤怒して━━

 ふざけているのか!

 この、軟弱者がー!

 集落の長の夫であろうに!

 シャキッとしろ!

 と━━

 言ってやるべきだったかも……


 でも……そんな調子だから私が、次の子種をどうしょうか?

 と、余計な事を早めに、思案する必要性が出るのよ……


 本当に、あの、バカ垂れ者が……


 それにね……


 私が何か、あの人が、泣かないといけない程、気の触る事をした訳なの……!?


 私全く持って、記憶にないのよ……?


「…………ん」


「…………ん」


 二度程、腕組みして、頷きながら考えてみたのだけれども……


 やはり、記憶に無いのよ……?


 ん……!!


 あ、あああ……


 あれかな……?


 子が産まれれ迄は、夫以外の男性と……

 交わりは禁止だったわ……


 その事なのかな……?


 で、でもね……交わり等はしてないし。


 そ、それは、絶対に!保証する……


 た、だからね……その事を健太に……


 説明して証明するつもりだったのに……


 だから健太を待つのだけれども……


 まだ、あの人…… 帰って来ない……


 私段々とだけどね……


 時間の方が経てば、経つほど、健太に対して、罪悪感にしたりそうになっていくわ……


 ちょっと、早まったのかも知れない……


 ウォンとの事……


 で、でもね……


 私が誘った訳ではないの。

 たまたま、あの場所で、ウォンと鉢合わせをしただけなの。


 言い訳に聞こえるかもだけど……


 私があの場所にウォンを誘って、密会していた訳ではないのよ。

 だから、疚しい事など、何もしていない……


 あれは、単なる成り行きで……


 だが……そうもいかないよね……


 事態も事態……


 一応は、集落の政を、少しは破った事にもなるしね……


 ん……


 どうしょう……?


 困ったなぁ……


 まさか、あの場面で、健太が━━

 と、普通は、思うでしょ!?


 だから、ついつい、油断してウォンに、気を許してしまったの……


 だからやはり、健太には何度も何度も謝らないといけないね……


 ん…………


 まぁ、健太も、そろそろ帰って来ると思うわ。


 くよくよ、考えても、終わった事。仕方のない事。


 帰れば、あの人。取り敢えずは説教するわ!

 私は長だから、皆の手前もあるし……


 だから夫だとしても容赦はしません!


 ……そう思う事に決めた私……


 でもね……


 でもね……


 その後はね……


 本当の私は、甘えん坊なの、それに少しばかり要求不満なの……


 だからね、夫の機嫌取りも兼ねて、甘えて奉仕したいと思うの……



 ◇◇◇◇◇



 帰ってきたら、健太をお仕置きすると決めた、私なの━━


 なのに、なのに……


 健太が、帰ってこないのよ……


 もう、夕暮れ時なのに……


 夕飯の時間も間近だというのに……


「ッ……!」と、爪を噛み、苛立ちと不安を耐え凌んでいる私だったの……


 だが段々と、苛立ちを通り越して━━

 実はもう、不安ばかり押し上げてくる……


 実際、周りにいるエリエ、プラウム、サラの顔を見てみても、顔色悪くなってきてるし。

 皆、不安そうな顔をしているの……


 どうしょう?


 まだ三人には、何が起こったのかは、説明等していないし。

 本当ならば三人も、私から何が起きたのかを直接、聞きたい思うの。


 私が、長であるから、遠慮をしていると思うし……


 でも……


 そろそろ、時間も経ち過ぎわ……


 皆の意見も聞いて、対処しなくてはいけない!


「……ウォンと逢い引きをしていた所を健太に見られた……」


「え……?」


 私のショッキングな台詞に、先ずはプラウムが声を漏らしたの……


「そんな事で健太が。何故……?」


 エリエが不思議そうに、私に尋ねて来たから━━


「嫌……私も良くは解らん? 何故あんなにも健太怒ったのか、検討もつかん? それどころか、私達を見て大きな声を出し、泣きながら、その場を達去った……」


「ん……、もしかして長、ウォンと交わっていたの?」


「い、い、嫌……そこまでは、しておらん。最後まで行きそうな勢いのウォンをちゃんと止めた。」


「……なら何故? 直ぐに健太をお掛けなかったの、長? 泣いていたんでしょ、あの人? それにさ、どの辺り? 場所は?」


「い、嫌……ウォンがなかなか止めないし、私もついつい、その場の勢いに流されてな……場所は林の奥の谷間のほうだ……」


 私はエリエに健太と、遭遇した場所を説明したの。

 するとエリエ、急に顔色を変え始め出して━━


「あッ! あの、辺りは、もう少し奥へ行けば、うちらの縄張りの外になるじゃないの、どうするのよ、長? 健太、迷子になったんじゃないの?」


 そうエリエが言葉を発すると━━

 先程、一言だけ放ち、不安そうな顔をしていた、プラウムがね……

 急泣き始めたの━━


「ど、どうしよう……健太。もう帰ってこないかも……何で直ぐに、お掛けてくれなかったのよ。姉さんは……お腹にいるのよ、あの人子が、どうするのさ? 何でウォン何かと……、まだ、姉さんも産まれてないじゃない。これって掟破りじゃない?……それに何で健太も、あんな奥まで、行くの……実がなければ、別にいいのに……」


 お腹を抑え泣きじゃくるプラウム……


 実は今、姉さんと台詞が出たけど。

 ここにいる、エリエ、プラウム、サラは、私の父親違いの姉妹なの。


 そしてオークの長は、基本男は一夫多妻、女は、一妻多夫。

 これが集落でも決められている事。


 特にね、代々集落の政を行う長は、女であり。

 より良い、そして強い子を残す為、一人子を産み落とすと、より強い種を得るために、男性を代えていくの━━


 そしてオークの集落は、どこも、こんな感じだと思うわよ!?

 オークという種がそうなのだから……


 まあ、中にはね、代えない長もいたらしいけど!?

 それ自体が、まあ、まれな訳で……基本は男性を変えて行くの。

 だから先程から私が、何故健太は、怒るのだと、言っているの……


 オークでは、極々当たり前の事で、長の夫とは、そう言ったものなのだけど……


 実際、掟通り、私も健太には妹達を嫁に出した。

 言っては悪いけど妹達は、誰に嫁に出しても可笑しくない程の器量良しで。


 それを私は、更に血縁の結束を強くしようと試みる為に、健太に嫁に差し出したのよ……


 だから……私、何か可笑しい事をした?


 ……健太に?


 ま、このような不満が、夫から出ないようにと、考えて出来たのが、一夫多妻制なのだと、死んだ母から聞かされた事はあるけど……


 健太がこんな感じだと、意味がないじゃない……


 本当にあの人には、困ったものね……


 小さな体の割には、あちらの方も妙に強いし。

 実際は、まだ他の男を知らない、私だけど……


 健太、ねちっこい上に、妙にあちらの方が上手いのよ?


 本当にそう、思うぐらい!?


 そしてヒューマンと言う種族は、皆のあんな感じなのかと?

 興味で、そう思ってしまうぐらいよ。


 まぁ、そんな事を考えて、夫婦の営みを思い出してしまうと、私も妙に寂しくなるし、不安度が急に増してきたわ━━


 それにあれだけ、毎日のように夫婦の営みを行い、交わっていたのだから、プラウムだけではないの……


 私のお腹にも、あの人の子がいるのよ。

 だから、プラウムでないが、少し酸味のある物が欲しくなり。

 あんな奥の場所まで行ったのよ……


 こんな事になるなら、あのとき、ウォンを切り殺してでも、健太を追いかけて、終えば良かった……


 後悔ばかりが積もってくるわ……


 ん、……どうしよう……?


 プラウムとエリエ達ではないけど。

 二人を見てると私迄、泣きそうよ……


 帰ってくるのだろうか?

 あの人……?

 不安になる……


 それに日の暮れた、時間帯からの探索になると、他の種族や集落等と鉢合わせすると大変な事にもなるし。


 暗闇同士での鉢合わせになると━━そく戦争になってしまうだろうから……


 こんな時間帯からの、探索は先ず無理……


 だからどうしよう……?


「長? 健太には、一妻多夫の事を説明したの?」


「ん……い、いいや、説明などしていない……子が産まれてからで、良いかと考えていたし、今日帰れば、誤解を解くために、説明するつもりでもあったのだが……」


「じゃ、言ってないのね……長?」


「あ、あああ……」


「なら、長とウォンの様子を見て、健太がいなくなったのなら。健太の世界は、一夫多妻制か、一夫一妻なのかも? そうだと二度と帰ってこないかも、健太は……?」


「え?」


「長がしてた事は、健太から見ると浮気? 若しくは裏切り行為になるかも? それに他にも長とウォン何か話をしなかった? 健太に聞かれたら不味い事とか?」


「え、あ、うん……少し、盛り上がっていたから……ウォンが健太を処分しろと言った時に、う、うん、と言ったかも……?」


「……そんな事を言ったら、帰って来ないよ健太……、話がどうだとか、そう言った問題じゃないじゃない、姉さん。酷いよ……それだと、ここに帰れば殺されと勘違いして、もう二度帰ってこないよ……最初の頃に散々に脅していたじゃない姉さん、健太の事を……処分するとか、食らうとか……あれ思い出すと、まず……無理だよ……」


 泣きながら、私に対しての恨みを吐いてきた、サラ━━

 だって、だって、私だって、こんな事に……なるとは……


 思いもしなかったよ……?


 ━━━━


 急に立ち上がったサラ!


「私今から健太探しに言ってくる━━」

 そう言葉を吐くと、置いてある自分の愛刀に手をかけ始めたの。

 だから、私それを見てね━━

「サラ駄目よ! 時間も遅い! 明日にしなさい!」

 妹が飛び出そうとするのを止めた。

 探索は明日にするようにと、宥める事にしたの……


 それにサラは、末の妹だから私も可愛いし、危険に去らす訳にもいかないのよ……


 特に健太は、私の夫で合っても他種族だし。

 それに引き換え、サラはオークであり、女━━

 どちらを取るかと聞かれれば、長である私は、何のためらいもなく、夫でなくてサラを取る。

 それは当たり前の事で、種をいかに残し、次の世代に残して行くのかが、長の役目だと思っているの。


 だから、皆に悪いと思うけど、健太の事は諦めて貰う事にしよう……


 そう言葉を発するのが、長に務めでもあり、使命なのだと思う事にした……


 そして自分自身に言い聞かせる事にした……


「これは、長の命だ、健太の探索は、明日に行う……も、もしも、見つからぬ場合は、縁がなかったと……諦める……事にする」


 そう言葉を発するのが、精一杯の私……


 ふと、健太の笑顔を思いだしてしまうと……


 何故だか解らないけど、目から冷たい物が、溢れるぐらに、止まらなく出ている事に……


 私は気が付いてしまった……



◇◇◇◇◇



【絶対絶命】


「ちょっと、マジで、離してよ……、ちょい、やめてよぉぉぉぉぉ……」


「うるさい!」


「黙れ!」


「静かにしろ!」


 ガン、ドン、コテ……


 ━━━━


 ━━━━


(……う、うううううう……ここは、どこ……!?)


 僕……


 目をね━━

 薄らと開けて辺りを見たんだ━━


 すると見たこともない、集落の景色が目に入ったんだ……


 だから僕は、ここは何処なのかな?

 と、

 不安になったんだ……


 それにねー、先程から。頭が痛くてねー!

 ジンジンするんだよ。何だか生暖かい物まで、垂れてきているみたいだしね……


 そんな状態だから僕━━

 本当は、体を動かして、辺りを確認に取りたいの……


 たけどね、体を動かすとさ、周りにいる人達にばれそうで……!?


 だから、恐くて━━

 まだまだ、気絶をしている振りをしているんだ……


 たけどね……今度はね……勇気を出して……ゆっくりとだけど……


 辺りの確認を取ってみたよ、僕━━

 周りにバレないように、気を付けながらね……


 するとさ……良く見てみるとね?


 見たこともない容姿の人達がいたよ━━

 初めて見る、種族の人達ぽいね。

 だから僕、よくよく確認してみた━━

 すると容姿が、これまた、人種でもない、オークでもない人達なんだ。

 だから僕━━


 ん……


 と考えたよ?


 そして、どう説明したらいいかな……ここの人達の事を……


 ドラコン? 竜?


 ……でも、角がない気もするしなぁ……?


 オークの人達は、肌、緑色だったけど。

 ここの人達の肌の色は青色のようだよ。

 その上さ、良く見るとね、角もある人達もいるみたいだよ!?


 マジで本当さ━━

 それに角がある人達良く見るとね……!?


 た、たぶんだけどさ……女性かな……!?


 とも思うし、間違いないかな……?


 とも、確信できるよ!

 だってさ、その人達は、オッパイがあるもん!

 見えないようには、してるけどさ。

 服装も一緒だね、オークの女性達と━━

 ビキニ水着にパレオみたいな感じかな?


 この辺りの集落の人達の流行りなのかな……?

 と、思ってしまう程だね、水着ファッション。


 まぁ、とにかく露出が多いいよ、ここの人達も、オークの人達と変わらず男女併せてだけど。


 それと次は、体格かな?

 オークの人達の方が、しっかりした体格だね。

 ここの人達の方が、人間と変わらないぐらいの背丈だよ。

 女性も細くてスタイルもいいね。

 そのわりには、ちゃんと出てる所は、出てるて感じかな!?


 本当にモデルさんみたいにスタイルがいいよ。

 マジでそう思う程に……


 それに、あの角と青い肌━━


 とくにさ、あれが良いよ!

 神秘的にも見えるし、龍神さまだと思えるぐらいだよ。


 僕、こんな種族の人達もいるんだと、感心してマジマジ見てしまうよ。

 本当に綺麗で可愛いんだ。

 僕自身が今、大変な立場にいるのにね……


 不謹慎でいい加減にしないと。

 皆そう思うだろうけどさ……


 得にさ、1人━━

 この中でも、ずば抜けて、可愛い娘がいるなぁ……


 奥さんもいるし、今現在、微妙な位置の僕なんだけど。

 思わず、一目惚れしたかもしれないと、考えるぐらいだよ。


 まぁ、あの娘に食べられるなら、マジでいいかなぁ……


 本望だよ、とも、思ってしまう程だよ……


 そろそろ諦めも付いたしね。

 正義の味方もいなかった訳だから……


 まぁ、そろそろ覚悟も決めないと、いけないかなぁ……


 そう考えるとね、僕、又々目も潤んできそうだよ……


 本当は、未練たらたらなんだよ━━

 だから、誰か助けてよー!

 本当は死にたくないんだよー!


 そう思い、何か良い手立てはないかと僕━━

 もう少し抗ってみるね!



 ◇◇◇◇◇



「あ、あああああああああああああああ……、この子起きてる!」


「…………」


 慌てて、目を瞑るのだげと、少し遅かったよ。

 彼女が余りにも可愛いいからさ。

 先程からさ、マジマジと見てた訳なの━━

 露出も多いいしね、色艶だから……見とれたよ……


 すると、彼女。僕の視線を感じたのかな?

 ふと、見たんだと思うよ、気になって、僕の方を━━

 すると、僕と目が合った!?

 そんな感じゃないかと思うんだけど!?


 だからね、僕━━

 絶対絶命だよ、どう逃げようか? どうしたら救われる?

 そう考えている最中だったからね。

 まだまだ、思案の方が纏まっていないんだ━━

 だから……


 どうしよう?


 手の内ようもない……


 何で僕ばっかりこんな不幸な目に会うんだよ……


 マジで……


 僕が何かしたのか?

 神様いるなら教えてよ?

 僕、人に虐められた事はあるけど……


人を虐めた事など無いんだよ━━

 なのにさ、あっちの世界でも虐めの経験があって、こっちの世界に召還されても虐めに遭うって、どうなっているだよ!?


 マジで……


 でも、でもさ……そんな僕でもね、奥さん達出来たし、家族も出来たから、何とか頑張って来たのにさ……


 そんな僕に……


 最後は、奥さんの浮気だろ。絶対に許さないよ!

 こんな僕でもね……


 だから、頭に来て飛び出したら、こんな状況になってしまったよ……


 くそ、くそ、くそ……だよ……


 そんなに僕が憎いのか、この世界は!?

 なんで僕だったんたよ、この世界に召還されたのが!?

 他の人でも良かったじゃん、かぁ……


 だから先程、くそ、くそ、と、思わず声まで出てしまったよ、この世界が憎くてさ……僕……


 どうしたら良いんだ本当に━━

 このままだと僕……本当にこの集落の人達に食されてしまうよ……


 だって、火も起こしているし。

 僕が縛られてる木が、火の上に乗っかり易くなるように、工夫迄されているんだよ……


 マジで……


 だから僕……いよいよ絶対絶命だと思うよ……


「うゎ、ぁあああぁあああぁ……助けてよ!お願いだよ!僕何か食べても美味しくないよー!」


 大きな声を出し、泣き叫び助けてくれと、赦しを乞うよ。僕……


 もう本当に、この度だけは……


 人生最大の大ピンチだと思う……


 それにさぁ、言っては悪いけど、本当に何故? この辺りに住んでる人達は、僕を食しようとするのかなぁ……!?


 そんなに食べても美味しくないとは思うよ。僕は……!?

 まるで、映画やドキュメント等に出てくる。食○族の人達ようだよ!

 マジで野蛮だから、そういった行為は、辞めてほしよね……


 まあ、僕達も、牛、豚、鳥等を食べているから、余り変わらないのかも知れないけど……


 人と人……


 あ!そう言えば……人ではなかったんだぁ……


 ここの人達も……違う種族の人達だったよ……


 だから、大きな声を出し、助けを乞うだけ、無駄なのかも知れないね……


 だから、あぁあ……なのかも知れないよ……


 ならば諦めるの僕? それで良いのか僕?

 僕、僕、僕、僕、僕、僕……本当に良いの……?


 う、ううう……でも、でも、ねぇ……諦めたくないよ。僕は!


 どんなに、蔑まれても、笑われても良いよ!

 実際……今の僕は、恐怖の余り、お漏らしまでしている状況だから……


 何か?何か?何か……? 良い手はないのかなぁ……?


「…………!!」


 あ、あぁあ……今、先程の彼女と又々目が合ったよ!

 彼女だぁ……彼女に命声をしよう!

 そう言えば奥さま達言っていたけど、僕割りとイケメンで可愛いと言われていたし、母性本能をくすぐるとまで、言われた事あったよ。眼鏡を掛けていない事が前提だけど……


 だから奥さま達、僕を良く良くヨシヨシして、可愛いがってくれていたんだった!

何かこんな時でも、淡い恋頃と奥様達の肌の温もりを、思い出してしまうよ……


まだ未練タラタラなのかも……


 だから、最後の賭けだ!

 一か八か彼女に掛けてみる……


 一斉一代の演技して見せるね……!



 ◇◇◇◇◇




「た、た頼むよ……助けて下さい……何でもしますから……僕を食べ無いで……」


 周りに沢山人いるけど、そこの美しい彼女の顔と目を見て、嘆願するように叫んだよ。大きな声で━━


「本当にうるさいなぁ〜この人種は……」


「うんだ、うんだ……」


「うが、うご、うげ……」


 余りにも叫び声だして、大騒ぎするから、またまた、僕さぁ……


 殴り回されてるよ。周りの男達に……


 だから、痛くて堪らない……涙もボロボロ止まらないよ……


もう演技どころでは、無くなったよ。もうマジ本気……


 それでいて、いつでも意識飛びそうな、状態の僕何だけど……


 これで意識が飛んで、気絶したら駄目だと思うのね、僕は……


 多分そうなると、二度と意識が戻らない気がするし。

ここの人達の、お腹の中に僕はいると思うんだよ!?

 だから意識だけは持たしたよ。今現在、殴る、蹴るの、暴行を受けている僕だけどさぁ……


 とにかく、彼女の目を見て嘆願した……


 多分彼女、ここの長の奥さんか、娘だと思うの……!?


 周りに沢山の女性も、いるんだけれども、彼女合わせて数名だけど、容姿と衣装の装飾が違うんだよ!

 その中でも、彼女が一番若いんだぁ〜!

 だから一番若い嫁若しくは娘?

 だと思うから、諦めずに命声をしたよ!


「助けてください!助けてください!何も出来ない僕ですけど……絵を描く事が出来。文化があります……字も書けます……計算だって、出来ます……だから、役に立つよう努力をしますから、助けて下さい……お願いします……」


 最後の力を振り絞り……彼女に涙ながらに、嘆願したよ……


 これが駄目なら……いよいよ僕……


 最後かもね……



 ◇◇◇◇◇


「皆、ちょっと待って! 父さん、皆を止めて!」


「どうした?レイン?」


「その子何か、文字が書けると言っているから、火にくべるのは、少しばかり待ってくれないかな父さん……? 私をその子と少しばかり話しをさせてくれるといいんだけど……?」


「ん……まあ、良いだろう……レインが、そう言うから、皆その男を離してやれ」


「(ふぅ……、取り敢えずは助かった……)」


 手と足を丸太に縛られていた僕だったんだけどさぁ。

 先程から僕が目で、嘆願を求めていた女の子とこの集落の長である父親の鶴の一声で何とか、何とか……


 ふぅ……と、いった感じで助かったよ。本当に……


 まあ、取り敢えずだけどさぁ……


 未々、気が抜けず、油断も許さない僕の状態なんだけどさぁ……


 取り敢えずは一息付けた……殴る蹴るの暴行も止まったからね。

 だからその場で大の字になって、空を見上げたぁー!

 生きているのがこんなにも嬉しくて、素晴らしいと思ってしまった事など初めての事だよ。僕はさぁ!


 でもね……未々ね……これから先の、彼女と首長との、生き残りを掛けた交渉がね、あるんだよ。僕はさぁ……


 特にさぁ、なりふり構わず、泣き叫んで、やっと掴んだこのチャンスなんだ!

 だから僕、最大限に生かせるようにと頑張ってみるよ!

 出ないと本当に死んでしまうからねぇ……


「…………」


 あ!いよいよ……彼女、こちらに近づいてきたね……


 ぼ、僕……頑張るからね……


 横に来たよ彼女━━

 するとさあ、上からから僕を見下ろしてきたんだ━━

 だからこのままでは、いかんと思ってね!

 僕体を起こし、体操座りに代えたよ。

 寝たままでは良くないと思ってさぁ!

 するとね、彼女━━


「貴方先程、文字が読めると言っていたけど……それはウインドルの文字ですか……?」


 そう聞いてきたの、僕に……


「え……? ウインドル……?何、それ……知らないんだけど……?それに文字はね、僕のいた国の文字なんだけど……」


 僕ウインドルの文字なのかと、彼女に聞かれたのだけど!

 知らないから僕。ウインドルって国などは……


 だから違うと言ったんだ!それでね。彼女にさぁ、僕がいた国の文字だと、説明したのよ━━

 するとね。彼女……落胆したような、顔をするのさぁ……


 だからね。僕はさぁ、彼女の様子を見て……これは不味いと思ってしまったの……


 一難去ってまた一難だよ……


 その後は又々……殺傷処分にされたらどうしょうかと、不安でね……


 背筋が凍りつき……又々冷や汗出てきたんだよ……


 これで助かると思っていた僕だから……だけど違うかも知れない……


 だから僕自身も自粛も兼ねて……体操座りから正座に代えたよ!

 生意気な奴だと彼女や周りの人達に、思われるたくもないしね……


 それにねぇ……自分自身の立場も、これ以上は不味くはなりたく無いのよ。本当に……


 だから自粛しながら彼女を見上げたんだ!

 心の中では「助けて下さい」と、何度もお願いしたよ、彼女にさぁ……


 するとね。彼女━━


「……僕がいた国って……貴方、ウインドルの人では、無いの……?」


 そう僕に問い掛けるから!?


「うん……違うんだよ、僕……日本と言う名の国から来たんだ……」


 彼女にウインドルの人では無いよと、説明したの、僕は……


 するとね、彼女。更に落胆始めたよ……「はぁ……」とねぇ、溜め息まで漏らし始めた……


 だからこのままでは、更に不味い。さてさて……どうしたものかと、次の手を思案する僕だよ……



 ◇◇◇◇◇


「……ん……貴方の国……日本だっけぇ……? じゃ何処にある国なの…?その国は……?」


 僕が、ウインドルという国の人では無いと、解ってからの彼女。腕を組先程から少し悩んだ顔をしていたの、でもね口を開き、僕に問い掛けてきたんだよ!


「え!あ、ずうっと、ずうっと……遠くにあるんだ。だから、僕の肌の色と髪の毛の色は、珍しいとは思うのだけど? この辺りのヒューマンの人達に比べて……?」


 だからさぁ、僕はそう答えたよ━━

 特にね、アイカさんや、他の奥さま達が僕の肌の色、髪の毛の色等が本当に珍しいと言っていたのをさぁ、僕は思い出して彼女に言ったんだ!

 何とか彼女との、話しを長引かして、僕がここに居れば役に立つ!

 それと生かして置いても、利用価値が有ることを、何とかアピールしないと、本当に殺されてしまうからね。僕は……


 だから僕自身必死になったよ。体力や力で役に立つと言う事は、僕の容姿を見て誰が見ても、先ずは不可に近いからと解るから。とにかく頭で役に立つと言った事を、アピールしないと無理だと思うのよ。

 だからもう、とにかく必死だよ……


 特に今まではね。進学校を目指して幼少の頃より、運動音痴やドンクサイ等と同級生達に、散々言われて来た僕だけど。

いつかは見ていろ僕だって!

日本一の大学入って高見を目指すんだと、勤勉に塾通いや、深夜までの勤勉に勤しんできた僕だよ!

 だからこの辺りの人には、体力で劣っていても、頭なら絶対に負けないはずだと自負をしているよ!

 特にアイカさんの集落でも、僕の教科書や塾の教材を見て理解出来る人など、一人もいなかったんだよ!

 ━━そんな訳だから、この集落でも必ず同じはずだよ!

特にアイカさんは、文字や計算などには、ほとんど興味を示さなかったけれども、この娘は違うよ!

 興味を示してくれたの、だから僕がんばるよ!

 何とか生き残れるようにと……


 出ないと本当に、僕がこの世に生をを受けた事も、理解出来ないし。この世界に召喚されたのも、必ず意味があるはずなんだと思うんだよ!?

 だから、最後まで諦めないよ!

 僕、頑張るからね!



 ◇◇◇◇◇







「ん……どうしょう。お父さん?」


「どうしょうって、何が……?」


「嫌……この子。ウインドルの言葉と文字が解らないんだってさぁ……だからどうしょう? やはり殺傷してしまう……?」


「ん……そうだなぁ……」


「(うわぁぁぁ……マジでヤバイどうしょう……)」


 心の中で呟いてしまったよ。僕……


 いよいよ、ピンチみたいだよ……


 役のくそにも立たない奴は、処分!


 皆の胃のなかに行きなさいと、言った流れになりそうな、雰囲気にってきたよ……


 だから、どうしたらいいのか……?


 君で無くて、僕の方が本当は言いたいよ、彼女!

 どうしたらいいのか?

 と、只今そんな気分だね。僕は……


 だってさぁ、彼女……役立たずの僕をどうして良いのか解らずに!?

 処分を父親である、この集落の長に渡そうとしてるの……


 だから僕……本当にヤバイんだよ……


 ━━そんな訳だから僕、ぐずぐずしていられないね。このままの流れなら先ず……生きたまま、バーベキューにされてしまうよ、僕。だから考えよう!?


 ほかにも何か手がある筈だよ、きっと……!?


 そう思うとね、僕。またまた、考えろ?考えろ?考えろ?と、呪文のように唱え始めたよ……


 何か良い手がある筈だぁ、とね……!?


「…………!!」


 ん……ん、あ!あった……!?


 まだ僕には特技があったんだった………


 絵……そうだよ、絵だよ。絵があったんだ━━


 僕、子供の頃より、絵を描くのも好きでね、わりと絵心があった事を思い出したのよ!

 そうだ、これだ!

 先程も彼女に伝えたけれども文化だよ!

 僕は文化の発展した世界から来たんだ!

 だから文化を教えて上げると言えば良いのかも!?

 昔、中世の戦国時代に、南蛮からの文化を目の辺りにして、あの織田信長でさえ、ビックリしたと聞いた事があるよ!

 だから……そうだ!

 彼女に絵を描いて見せよう!

 その絵に、ここの人達が気に入れば。僕は助けて貰えるかも知れないよ……!?


「(よーし、勝負だ!)」


 これから僕、彼女に生死を掛けた勝負にでるよ!

 そして、必ず生き残るからね!



 ◇◇◇◇◇



「よーし!その男を火にくべろ!」


 長からの周りに者に対する、僕への殺傷命令がとうとう出たよ!

 僕を火にくべろと言っているよ!

 だからマジでヤバイよ、僕……


 だからね、横で僕を見下ろす彼女に伝えたの━━


「ちょっと待って!ちょっと待って!ちょっと待ってよ……」


 と、さぁ……


 するとね、彼女……


「父さん……ちょっと待って……まだこの子話しがあるみたい……?」


 そう言って止めてくれたの、僕を火にくべる事をさぁ、だから僕……


「(ふぅ……)」と、取り敢えずは、一安心したよ……


 そしていよいよ……これからが彼女との勝負だよ!

 絶対に勝つんだ……そして勝利を得て僕は生き残るんだと……


 それを心に誓うよ!


 そう決意しながら彼女に!


「あ、あのね……僕の絵を見てくれないかな? 今からさぁ、君の似顔絵かくから!それが気に入って貰えれば僕を助けてくれないかな……?必ずこの集落の役に立ってみせるから!」


 僕……泣くつもりなど、全くなかったのだけど……


 彼女の顔と目を見てそう嘆願したの……するとさぁ、僕。涙が止まらなくなってきたよ……


 それでね……その場でね……


 何度も、頭を地に付けながら、土下座をしたよ……


 本当に死にたくないから……


 頭を何度も地にぶつけたから……額からも……


 又々……血が流れ出したよ……


 もう、何処もかしこも、血が出てるから……もう痛くはないけどさぁ……


 するとね、彼女……可哀想だと思ったのかな……僕の事を!?

 優しく微笑みながら「じゃ、描いてみて私を……」と、言ってくれたの……


 その笑顔を見たときさぁ、僕……彼女の事が女神様のように思えたよ……


 その後、安堵で気絶しそうになったけどさぁ……


 でも駄目だよ……気絶を今したら、それこそ本当に殺されてしまう……


 だから、唇噛んで、気を取り直したよ!

 完全に助かるまでは、寝たら駄目だと……自分自身に言い聞かせたよ!


 それで、ふらつきながらも、立ち上がり━━


「あ、あの……何か書くものか?無ければそこの炭をくれませんか……?」


 僕、彼女に伝えたんだ、書くものを貸してくれないかと……!?


 多分……筆やペン、鉛筆等はないとは思うここにも!?

 実際アイカさんの集落には、無かったからね!

 するとね、彼女。炭を持ってきてくれた……


 だから僕。それを受け取ると━━

 大きなな立岩有るのを見つけ━━そこに移動したの!

 それでね……着くとさぁ……


 彼女に手招き━━


「御免なさい……君をモデルに書くから……こちらに来てくれると助かるんだけれども……」


 そう彼女に伝えたの……


 するとさぁ、周りがざわめき出したよ……


 この位置は、少し離れた場所だから……


 だから僕が彼女に、害するとでも思ったのかな皆は……!?


「フェイン、行くな!」


 長の彼女を呼ぶ声がしたよ!

 彼女フェインと言う名なのかぁ……


 そんな事を僕は思ったね……!?


 で、でもね……彼女、僕を信用して来てくれたの……


 だから本当に涙が出る程嬉しかったよ……


 まあ、先程から涙は、止まらない僕だけどさぁ……


 でもさぁ、こちらの世界に来て初めて、人に信用されたと思ったよ!


 実際にアイカさん達には僕……玩具ぐらいにしか思われていないと、思っているしさぁ……


 夫婦だと言っても……愛情の欠片もないとは思うし……


 出なければ……僕こんな事には成っていないと思うよ━━

 元々はアイカさんの浮気が原因で、飛び出して、こんな目に合ってる訳だしねぇ……


 で、でもね……今はね。アイカさん達の事を考えるのはよすよ……


 絵を書く事に手中して、彼女に絵を気に入って貰わないと、僕死んでしまうからね……


 だから、真剣に彼女を見て、書き始めたよ!

 いかに彼女を美しく、そして萌えて書く事だけに手中したよ!

 彼女の全体を舐め回すよように見てさぁ━━

 でもね、こんな事態の時でもさぁ、精力って増すんだと感心したよ。僕自身がさぁ……


 逆にこんな事態だから増すのかなぁ……!?


 とも、考えたよ。前にテレビか何かで見た、アンケートの事を思い出したよ!

 明日貴方が死ぬと解ったら何がしたいですか!?

 と、言った内容のアンケートとだったと思うよ!?

 その答えがさぁ……僕の今の気持ちと一緒……


 子孫を残したい……


 だから女性としたいと、言った内容だったと思う!?

 だからね、僕……彼女が凄く丁寧で綺麗に掛けたと思うよ!

 こんなに上手く書けた事など今まで一度も無かったと思うよ!

 生死を掛けた……僕の人生最大の傑作だと思う……


 後は、彼女反応……何だけど……


 もう、駄目だ……僕……


 気が遠退いて行くよ……


 だから、これで駄目ならもういいや……


 一度は形だけだったけれど……結婚も出来たしね……


 だから、皆……さようなら……


 何で僕……こんな世界に召喚されたのかなぁ……


 他の人なら良かったのに……



 ◇◇◇◇◇

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る