アップデートに失敗しました (第14回座談会公開済み)

エントリー#19


作品名  アップデートに失敗しました

作者名  冬野はる

作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054882710148



作品のキャッチコピー、あらすじ

『型落ち(オールドタイプ)になった人間に、行く場所はない。』


体内に移植される極小知性(マイクロインテリ)に、人生の選択のすべてを委ねた社会。

柊野学(ひらぎのがく)は何の疑問も持たず、五年に一度アップデートされるインテリの導きに従って人生を歩んでいた。

しかし、インテリのある性質に気づいたことから、彼の人生のレールは大きく行き先を変えることになる。



作者からの一言、メッセージ


「伊藤計劃に自分が出会ったのは、約二年前。

しかも『虐殺器官』を読むまでは、ほぼSFに触れたことすらありませんでした。

その後、『ハーモニー』や国内作家・海外作家のSFに触れ、その面白さに遅ればせながら夢中になりました。

そういったことに触発され、自分もSFを書いてみたいという衝動が湧いたのでしょう。

そうして完成したSF処女作が今作です。

末席ながら、トリビュートに参加させて頂きます。」



座談会


ななせ「第十四回『座談会』を始めたいと思います」


七瀬 「エントリー作品は『アップデートに失敗しました』。作者さんは冬野はるさん。ツイッターで親しくさせて頂いてる作者さんだね」


ななせ「そうですね。異世界ファンタジーを主力に、色々な作品を書いている作者さんです。そんな冬野さんは、SF処女作品をこの企画のために書き上げて投稿してくれました」


https://kakuyomu.jp/users/HARU_fuyuno


七瀬 「嬉しい限りだね。僕たちも冬野さんの作品を読むのは初めてだったこともあって、ワクワクしたね」


ななせ「はい。ここで『アップデートに失敗しました』について少しだけ説明をさせていただきます。この物語は、AIの進化した未来の世界を描いています。そして、この世界の人間には、全て極小知性マイクロインテリと呼ばれるナノマシンのようなものが移植されているんです。このマイクロインテリによって人間は監視されていると同時に、健康で健全な肉体と魂を保っています」


N氏 「『ハーモニー』で言うところの『WatchMe』に当たるシステムと読んだ。この作品自体も『ハーモニー』直系の作品といえるだろう」


ななせ「そうですね。しかし、この物語には『アップデート』いう独自の設定があって、単に直系の作品という訳ではなく、作者のオリジナリティを出している点が非常に面白いです」


七瀬 「そのアップデートとはどんな設定なんだい?」


ななせ「五年ごとに、体内のマイクロインテリがアップデートされるんです。そのアップデートによってマイクロインテリの機能が拡張され、より優れた人間になれるんですけど――それと同時に、日々の生活をマイクロインテリに気に入られるようにすごさなければならないんです」


七瀬 「マイクロインテリに気に入られないと?」


ななせ「アップデートに失敗して型堕ちします」


七瀬 「型堕ち?」


ななせ「はい。オールドタイプというレッテルを張られて、社会不適合の烙印と共にどこかの隔離施設にぶち込まれます」


七瀬 「何でシビアな世界なんだ……」


ななせ「そうなんです。しかし、主人公はマイクロインテリが睡眠時には機能していないことに気づき、自分の遺伝子情報を弄ってマイクロインテリから解放されるように画策するんです。ここら辺から物語はがぜん面白くなってきます」


七瀬 「自由を手に入れるわけだね」


ななせ「そうです。本を読んだり独り言を言ったりと、可愛らしい自由を謳歌するんです」


N氏 「ディストピア的な物語において、自由を手にした瞬間の解放感は一番の見せ場と言っていい。『リベリオン』という映画で、主人公が感情を抑制する薬を飲ま無かったことでただの日の出に感動し、感情を蘇らせていく描写は本当に素晴らしい」


ななせ「N氏のにわか映画批評は置いておいて。自由を手にした主人公が、この後、物語のタイトル通りアップデートに失敗するんですけど、ここからの展開は捻りが効いていて面白かったです。優しいディストピアというか、未来に希望を持てる展開で、今回集まった作品の中でも珍しい終わり方でした」


七瀬 「なるほど。作者の人柄が出たのかもしれないね」


ななせ「かもしれません。今回の座談会はこれで終わりましょう。では、また次回」



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