第ニ章:万物流転(前編)
入学式から1ヶ月が経ったくらいか、俺らが有名人という的から外れたのは。
あの謎を解いた事がえらく好評だったようなのだが、そのお陰で教師や生徒からまるで英雄や有名な芸能人に会ったかのような目で見られていたり話しかけられたり・・・過激になればふぁんくらぶまで作られているようだ。
だが流石に流行り者に弱い若者達だ。一ヶ月も経てば俺らの事も落ち着いたようで話しかけられるのも少なくなり、俺も念願の窓際族人生を全う出来ると思っていたんだ。将吾があんな事を言い出す前は。
「なぁ亨、僕らで皆が気になっているような謎を解くような事をやってみないかい?上手く行けば部活として活動出来るよ」
昼休みの事だ、俺はいつもの事ながら教室で弁当を食べていた。
前までは野次馬に追いかけられていたので教室では食べられていなかったのである意味では久々だ。
だが、そこに将吾が来た、入学式にあった安洞栞を連れて。
そして三人で食事をしている時にさっきの一言だ。
「そんなのお前らでやってろよ、俺は興味ない。」
「おっと、そんな事で良いのかい?亨、姉からのメール内容をクリアしないとどうなるか分からないんだろ?」
将吾がニヤニヤしながら話してくる。
確かにコイツには姉から来たメールを話してしいるし、話さなくとも姉に似た感じの事を言うつもりだったんだろう。
「確かにそうだが、俺は帰宅部としてもう内容はクリアしている。それに友達はお前が居るからな・・・条件はクリアしてるだろ。」
「あのう・・・そのお姉さんって?」
蚊帳の外だった安洞が話しかけてきた。
「おっと、安洞さんは知らないよね。」
そうして少しの間説明を受ける安洞。
「なるほど、確かにそれだとこの話は六月一日さんにとっては良い話ですね。」
納得したように、そして自分もそれに参加したいという眼差しでこっちを見る。
俺は静かに過ごせればそれでいいというのに。
というか良い話とは何だ?俺はさっきから静かに過ごしたいと言っているのだが。
「とにかく、俺は面倒な事はやらないし最低限の学校生活を送れればそれで良いんだ。 やるなら二人でやればいい。」
俺そう良い弁当を食べようとすると将吾が一言つぶやいた。
「それじゃあ活動は二人でやるけど、噂流して君にも相談がくるように仕向けるのと、大人しく活動するのとどっちが効率的だと思う?」
コイツ、俺が参加しようとしまいと、結局は俺を巻き込むように考えてやがる。
どう巻いても意味が無いようだ。
「はぁ・・・分かったよ、確かにそれなら個人より数人居た方が解決も早いだろうな。」
半ば諦めた様に参加の意思をしめすと二人が喜び、ハイタッチをしていた。
いつの間にそこまで仲良くなったお前ら。
「だが具体的にはどうするんだ?勝手に活動してたらそれこそ教師に怒られるだろう。形だけでも正式にしないと口出しされたらお終いだ。」
「そこは大丈夫なんじゃないかな?何せ生徒人数が物凄く多いんだ、正式じゃないサークルや活動をしている連中も居ると思うし、ここの会長は君の叔父なんだしさ。」
最後の一言はどういう事だ将吾よ。
「でも正式にすると言っても、先生と活動名はどうするんですか?」
サンドイッチを片手に聞いてくる安洞。
だが確かにそれは重要かも知れないと思った。
「そうだな、グループ名は何とかなるとして問題は顧問だな」
「そもそもこんな活動を認めてくれるかどうか・・・だけどね」
「お前が言い出したんだ、やるならやるでそこは何か考えがあるんじゃないか?」
「流石に鋭いね、まぁ確かに数人やってくれそうな人は見つけてるから放課後に訪ねてみるのはどうかな?」
「すごい、鉄さんいつの間にそんな事してたんですか?」
興味津々に安洞が聞いてくる、だがまぁ大方考えは分かる。
「コイツは推理系の問題を作る癖があるから異常な程観察眼があるんだ、人の性格、喋り方、特徴、それを見ながらやってくれそうな人の良い教師を選んだんじゃないのか?」
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン
淡々と弁当を食べながら話をしているとチャイムが鳴った。
「おっと、残念ながらもう休みが終わってしまうようだね、またの機会に教えるよ。一先ず教室に行って午後の授業乗り切ろうじゃないか。」
悪戯な微笑み、毎回答えを隠す時や俺が答えを見つけれなくて悩んでいる時に出すその笑みはあいも変わらず顕在だ。
俺はそんな下らない事と思いながらも賛同し、それぞれの席に戻り授業の準備をしていた。
安洞は若干気になっていたようだが、アイツの事だし後で教えるだろう。
そして俺らは穏やかな教室での授業を終え、HRをし、時間は放課後。
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