第60話

俺とディーナさんは獣魔の本拠地の、黒く禍禍しい城の前まで辿り着いた。


そしてリディアンさんが通信で、右側に在る遺跡の中に、転送盤がある事を教えてくれた。


だけど今は、まだ戻れない。


奴を、獣魔の長、サタンを倒さなければ成らない。


「おい!空渡!その城の地下に奴が!サタン居るぞ!」


とキャリブレーンが通信で少し悔しげに話して来た。


その時突然、搭乗していたフラッグキラーのエンジンが、火を吹き出した!そして


「空渡少尉、脱出してください。」


フラッグキラーが俺に脱出を促した!


エンジンを破損したいたのか!?


コントロールが効かない!


「早く脱出を。もう爆発します。」


「フラッグキラー!く!・・・短い間だったけど・・・ありがとう・・・・」


俺はコックピットのハッチをパージして、羽を出して脱出した。


そして煙を吐きながら、墜落するフラッグキラーを敬礼して見届けた・・・・


ドォォォォォォォン!


「何シケた面をしてやがる!そんなオモチャ、お前らならまた造れるだろ?」


とキャリブレーンが獣魔を倒しながら、合流するとそう言った。


その言葉を聞いたガラナが


「フン!アンタにはデリカシーってのが無いのかい!」


と怒って反すとキャリブレーンが


「何だと!」


と怒るキャリブレーンに俺は


「人は物を使うと、愛着が湧くだろ?アンタには其れが無いのか?」


とキャリブレーンに反すと


「フン!俺ならまた奪って来るがな。」


とキャリブレーンが返して来た。


コイツ!


其にしても・・・


DMドライブのエンジンなのか?

何か詛い気がする。


「ガイバーン?フラッグキラーのエンジンは、通常エンジンに換装していたのか?」


「うむ!当然だ!勇太よ!ダークマターが空間に存在しないこの世界では、メリットがない。」


「そうか・・・・」


DMドライブ、運用前から色々と噂が絶えないシステムだった。


異星人のテクノロジーが使われているとか、利権だらけのシステムだとか、書き込まれたのを読んだ事がある。


他には、実はダークマター発生装置が、完成していないのに運用仕様としているとか、逆にダークマター発生装置で、宇宙を拡張する計画が、秘密裏に行われているとか、そんな事もSNSで書き込まれていた。


もし本当なら、昔から人類は自然をコントロール仕様とした事で、何度も失敗しているのに、また同じ過ちを繰り返すのか?


今度は居場所まで無くす結果に、成かも知れないのに・・・


その時


「空渡さん!城内と後方からも、獣魔が現れました!」


とディーナさんがフライヤー形態のガイバーンから、飛び降りて来て話し掛けて来た。


後方を見ると、巨竜に戻ったグランヴェルグが、ブレスで獣魔達を焼き払っている姿が見える。


それと青龍が雷で、獣魔達を攻撃しているのも、そしてストライクランダー隊と後から合流して来た、種族達も獣魔達と交戦しているのも見えた。


く!少し想いに浸っている間に、獣魔が現れて仕舞った!


「勇太よ!此処は私に任せ、先に城内に行くのだ!」


と慌ててストライクフライヤー形態のガイバーンが話して来た。


そして合流して来たキャリブレーンが


「俺も行くぞ!空渡!道案内も必要だろ?其に途中で獣魔に殺られちゃ困るからなぁ。」


コイツ何処までも!


その時シャトルと数機のストライクランダーが降りてきた。そしてシャトルの後部ハッチから、リディアンさんとクローディアと、一羽のハッピーが降りてきた。


シャトルのカーゴ内、ホージョーとレーナが話していた。


「レーナさん?貴女も行かれるのですね?いいえ、ミレイア・ハーデンさん。」


「お嬢様!その名を出すのはお止めください。」


「貴女はこの戦いの後、身分を明かす積りですね?そしてアンファングに変革をもたらす為の、きっかけを作ろうと画策している様ですが。」


「私は・・・あの国の在り方に疑問がありました。ユニコーン族に護られていると思い込み、軍備を陸に増強せず、ユニコーン族を援護もしない所か、今回の獣魔戦でも、国の最遠部の各砦村にも軍を出さなかった。そして今も・・・・。」


「其で親衛隊長の立場を顧みず、国を捨て私の元へと流れ着いたのですね。」


「はい・・・・」


「国中に知れ渡った、貴女の槍兵としての力量なら、其も叶うでしょう。その黒ぶち眼鏡と黒髪の変装を解く日も、近いのですね・・・そして私の元から離れる時も・・・・」


「すみません、お嬢様・・・・」


「良いのですレーラさん。貴女は貴女の信念を貫き通してください。私は応援しています。ああ、此れで暫くレーラさんの新作が読めないのが残念です!」


「そっちですか!あ~も~!其では参りますよ?お嬢様!あ!それと去り際に変なフラグを立てないでくださいね!」


「え!?詰まらないですわ~。」


「遣るつもりだったんですか!もう~!行って参ります!」


「怒って行って仕舞われましたわ。メイド服に槍とは、私的にはOKです!」


獣魔の本拠地の城の前


「勇太~久しぶりなのだ~!」


とシャトルから降りてきた、一羽の見知らぬハッピーが、こっちに飛んで来ようとしいていた。


其れを見たクローディアが


「あー!ちょっとちょっと!また無茶しちゃダメだよ~!」


と走ってハッピーを追いかけてこっちに来た。


お守り役?


そしてそのハーピーが目の前に来ると


「亜里査と紗理奈は一緒ではないのか~?」


「ゴメン!君の事を知らないし、その二人の子も知らないんだよ。」


すると目の前のハーピーが過去の吉祥寺の出来事を話してくれた。


その時一緒に来たリディアンさんが


「すみません空渡さん。過去に私が行った事の影響で何か間違いが発生しているかも知れません。もしかしたら、空渡さんの未来か過去が、変わって仕舞う事も有り得ます。後で魔法で影響が無いようにしますので、御心配無く。」


と説明してくれた。


何か大きなターニングポイントに、差し掛かって居るのだろうか?


「待って下さい空渡さん!私も参ります!」


と槍を構えたレーラさんがシャトルから降りてきた。

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