第9話

俺とスタインさんは砦村の長老に会いに、

村の中央の集会場に行った。


「長老!例のダークエルフを連れて参りました。」


「おお!ご苦労様。うむ、確かに見た目はガラナじゃな。わしはグラントンと申す者。」


「俺は空渡勇太と言います。元の世界に戻る方法を、何かご存知有りませんか?」


「残念じゃが儂には心当りは無い、済まぬ。じゃが此処から西に村を幾つも過ぎた所に在る城にユニコーン族が居る。彼女らなら何か知っているかも知れぬ。」


「有り難う御座います!では早速行ってみます。」


「待たれよ!空渡殿、今日はこの村で泊まって行かれよ。クローディアの命の恩人をこのまま何もせず行かれては、面目無く」


「おじいちゃん!余り無理言っちゃ悪いわ。」


どうやらグラントンさんは、クローディアの祖父の様だ。


「分かりました、今晩は泊まって行きます。」


「おお!有り難う、ではクローディアよ案内を頼むぞ。」


「ゴメンね、おじいちゃんの無理に付き合わせちゃって。」


俺はこの村に一晩泊まる事にした。

その夜中不穏な気配で目が覚めた。


「うわ!」


男がナイフで俺を殺そうとした所を、俺は避けた。


「くっ!くそーーーー!死ねぇーーー!」


男は直もナイフで切りかかって来た。


「止めろ!何故殺そうとするんだ!」


「ふざけるな!お前に何れだけ人が殺されていると思っているんだ!」


「見た目はガラナだけど中身は人間だ!」


騒ぎを聞き付けスタインさんと村の兵達が、駆け付けて来てくれた。男は取り押さえられ

連れて行かれた。


「済まない、村の人間にはまだ君が信じられない者も居るんでな。」


とスタインさんが謝罪した。


「まあ其も仕方ないさ。」


とガラナが呟いた。

そして翌朝


「行かれるかね?」


とグラントンさんが言った。


「はい。」


「この先の湖に奇声を上げて怪物が現れるとの噂を聞いておるのでな、気を付けて行かれよ。」


とグラントンさんが教えて暮れた。


「私も一緒に行くよ!」


とクローディアが言った。


「ケガは大丈夫なのか?それに多分危険だぞ。」


「道案内が必要でしょ?」


「どうか孫を一緒に連れて行っては、暮れまいか?」


確かに土地勘が全く無いから道案内も必要かそれに俺の事情も解ってるし・・・・・


「解りました。一緒に行こうクローディア。」


「うん!」


こうして俺とクローディアは、ユニコーン族の居る城に行く事になった。



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