#55
黒い戦闘服を身に纏った特殊部隊4名の男たちがいる。
背中にはアルファベットの大文字で”GENESIS/ジェネシス”と白地で書かれていた。
奥には他の隊員とは違った体にタイトな黒いレザースーツを全身に身に纏った女がいた。
髪は黒髪のセミロングで肩に届くか届かないかぐらいの長さで、頭にはゴーグル型のスコープをかざしていた。
女も片耳にもワイヤレスイヤホンマイクがつけられており、そこに男の声が入ってくる、 ロングコートの男だ。
『貴美子、準備はいいか?』
女は、ため息をつくとワイヤレスイヤホンマイクに話しかける。
『任務中はその呼び方はやめていただけますか』
『そうだったな、すまない。 ブラックカイト』
『ジェネシス部隊第1班、突入口に配置完了』ブラックカイトと呼ばれる女が答える。
すると別の男の声が割り込んでくる。
『ジェネシス部隊第2班、配置完了』
『ジェネシス部隊第3班、配置完了』
ブラックカイトは頭にかざしていたスコープを下ろし、窓の隙間から中を覗き込んだ。
病院のロビーに集められた患者とナース、医師たちはロビー中央で固められていた。
ブラックカイトは中央に5名、ロビーを見渡せる2階にさらに5名、同じく3階にも5名の犯人グループを確認した。
スコープ越しには高性能な画面が写し出されており、銃を持った敵をすぐさま感知し、その種類までわかるようである。
『高度な武器はなさそうね』
スコープは中央にいるガスマスクをつけた男に向ける。
『中央にいるガスマスクの男は全身に毒を隠しているようね、腕にはチューブらしきものが確認できるからそれで攻撃すると思われる』
ジェネシス部隊全員につけられたワイヤレスイヤホンマイクは全隊員とつながっている。
ブラックカイトの報告はすべて共有されていることになる。
『その男がSCARのNo.2、デスマスクと呼ばれる男だ。 やつには要注意だ』ロングコートの男が説明する。
『見るからにヤバそうね』
スコープはデスマスクの腕に注目した。
『片手にリモコンスイッチらしきものを確認』
『爆弾か?』
『その可能性はあるわね』
『対処できるか?』
『問題ありません』
ジェネシス部隊は1班、5名で編成されており、ブラックカイトと呼ばれるこの女性が部隊を率いている。
『第1班は中央へ突入犯人グループを制圧後、人質を救助する、第2班、第3班は各階の犯人グループを制圧』
『了解』第2班、3班から返事が来る。
ブラックカイトは一息吹いて気合を入れると『ジェネシス部隊、突入!!』と告、九十九病記念院内へと向かった。
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