#54


10:04am  九十九記念病院内





病院内では怯える患者やナース、医師たちがいる。



『悪く思うなよ、あんたらに何の恨みはないんだよ』


デスマスクは拳銃を右手に持ち、左手に何やらリモコンらしきものを持っていた。


『まぁ、強いて言えば・・・ゲームだ』


人質たちはその素顔さえ分からないデスマスクの狂気に恐怖を覚えていた。


ブラインドから外の様子を伺っていた手下の1人がデスマスクに近づく。


『警官が大分集まってきてます』


『そうか、もっと集まるまで待て』


デスマスクは院内の時計を見ていた。







10:30am 九十九記念病院



SITと九十九署の警官が徐々に増え九十九記念病院を包囲していた。



『九十九署からも警官の増員がまもなく到着します』木部は携帯を片手に田所に告げる。


『そうか・・』


その時、田所の後ろから落ち着き払った声が聞こえてきた。



『犯人たちの目的はなんでしょね』



田所は声の方へ振り向いた。


ロングコートを着た長身のスリムな男が立っていた。


歳は40代後半から50代前半のように思える。


『あなたは、誰です?』


『この現場はここから我々が引き継ぎます』男は淡々と話しだした。


『なんだって?、警視庁の人間か?』


『いいえ、我々は警視庁でも警察庁でもありません』


『だったら、ここを引き継ぐ権利はない』


『我々は政府機関、”範囲的高度危機管理配備局”のものです』


『範囲的・・危機管理・・なんだ・・?』田所は皆目見当がつかない表情を見せた。


『まぁ、分かりにくいし長過ぎる名称なのでね、、愛称として我々は”ZACK/ザック(Zone Abvanced Crisis management Knot of division)”と呼んでいます』


『しかし、いきなり来て捜査を引き継くって・・・』木部は難色を示した。


SITの捜査官たちもロングコートの男を睨んでいる。


『我々が捜査していた案件を辿っていくとSCARに行きつきましてね、彼らから話が聞きたいんですよ』


『なんの捜査だ』


『これ以上は話せません、しかしここからは我々の部隊が対処します。SIT及び九十九警察は後方支援に回ってもらいます』


『あんたねー!勝手に現場踏み込んで、下がれって・・そんな事出来るわけないだろ!』田所は声を荒げた。


その時、田所の携帯が鳴る。


『はい、田所です・・・はい、今来てますが・・え?・・・しかし・・・分かりました・・・』田所は電話を切るとロングコートの男に方に振り向いた。


『署長から連絡があった・・・あんたらに引き継げと・・』


『分かって頂けましたか』


『あんた一体何者なんだ・・?』



ロングコートの男はその問には答えずに右耳につけたワイヤレスイヤホンマイクに向かって話しだした。





『ジェネシス部隊、配置に着け』



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