#36

楓は鳥飼インダストリーAS研究所の地下にいる。




そこには三島もいる。


激しく負った傷も回復し日常生活には何も支障はないとのこと。


『ナイトメアをどこで栽培しているんだ・・』机の上に置かれたノートPCの前で腕を組み立っている楓がボソリと呟いた。


『第9地区の地図を見たが、大量に栽培出来るような所は見当たらないな』三島は第9地区の地図を広げて話した。


『大体、ナインゲート(第9地区)は港の埠頭だ。開発当初は第9地区を貨物の受け入れにと考えられていたからな』


『ナイトメアはそんなに危険なものなのか?』


『ナインゲート・ブリッジでの暴動事件を知ってるだろ? 暴動を起こした側の人間のほとんどからナイトメアが出てる』



『・・・それは急がないとな』



『それに・・このままではファントムに勝てない・・もっと強くならないと』


『”強さとは戦闘におけるだけのものではない”』三島が呟く。


楓は三島の方に振り向いた。


『師匠の言葉だ』


三島は続けて話しだした。


『腕っ節の強さだけが本当の強さではない・・心も強くならないと真の強さとは言えない、師匠は常々そう言っていた』


『ただ、今は体の強さだって必要だ』


そう言うと楓は奥にある機具を使ってトレーニングを始めた。



『まぁ、そうだな』






楓はひとつ気がかりな事があった。



ファントムにやられたあとデスマスクと呼ばれる男に殺されかけた時、辛くも脱出しT湾に逃げ込んだあとの記憶がない・・


気づいたときはもう家の自分の部屋のベットの上だった。


ご丁寧に戦闘スーツまできっちり返してくれて、正体まで家族に隠してくれている。


一体誰が・・・


まだ拭い去れない一抹の不安を抱えているが、今はSCARだ。


楓はそう決意すると家路に着いた。

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