古今詩集

crisis

あなたと別れたあの日を思い出す。

私の初恋。

今日と同じ枯れ葉散る、寒い日だった。

その日のあなたはいつもと少し違って……。

「どうしたの？」

って聞いても

「何もない……」

って言って軽く微笑んだんだ。

それが哀しくてイヤな予感がしたんだ。

こんなにも近くにいたのにあなたの心が分からなくて、急に抱き締めたんだ。

あなたの心の奥に隠した心に触れてしまって……。

私は心の耳をふさいでしまったんだ……。

寒さに凍えた恋心は悲しい涙色で。

ただ抱き締めただけで心が見えてしまって……。

寒さに凍えた恋心は悲しい涙色で。

私は涙を堪えていた。あなたがいなくなるまで……。

あなたにかわいいって、キレイだって言われたくて。

髪を染めて、化粧を覚えたんだ。

あなたのさりげない優しさに惹かれて気がついたらずっとそばにいた。

思えば、出会いは突然だった。そして別れも突然だった。

なにも言わなくても分かる。

他に好きな人ができたのね。

なにも言わなくても分かる。

無言の言葉が心に突き刺さる。

それが耐えられなくて。

私は心の耳をふさいだんだ。

別れを告げられて私は軽く微笑んだ。

あなたに涙を見せたくない。でももうがまんできない。

背伸びして覚えた化粧は落とさないで最後くらいはキレイでいたかった。

儚く散った私の初恋。深い涙色。もうだめ。がまんできない。涙が流れる前に早く行って。

嘘。

ひとりの寒さに凍えた恋心。悲しい涙色。本当は行かないでって言いたかった。

お願い。あなたがいなくなるまで 涙 流れないで。

そうして私は今日も泣いている。

枯れ葉散る、寒い日の出来事。

acid black cherry

シングル crisis より