古今詩集

璃央奈 瑠璃

冬がくれた予感

雪が舞う繁華街。

私は壁に寄っ掛かり彼のことを思う。

色々な人が私の前を通りすぎていく。手を繋いだカップル、腕を組むカップル、待ち合わせ場所に向かうのか電話を片手に道を急ぐ女の人。

そのなかに私はひとりぼっち。


ふうーっとため息をついた。誰の耳にも入ることなく街の喧騒にかき消されていく。

つい道行く人の背中を目で追ってしまう。彼の背中を探してしまう。


今日、約束しなかったことを後悔してしまう。

ただ一言。

「会いたい」

と言うだけだったのに……。

携帯電話を開き彼の電話番号を呼び出す。電話をかけてここにきてと告げたいのに勇気がでない。


空を見上げて思う。彼を好きになった日のことを。星が輝く夜だった。


夜が更けてしまうから早く帰らないと……。そう思ってもう何時間もここにいる。

夜が更けてしまうから早く決めないと……。そう思ってもう何時間もここにいる。


無数の足音。

彼なら良いのに、と思い、違うと分かっている。

街中のカップルのように寄り添って歩いてみたい。そんな気持ちに揺れている。

街中のカップルのように気持ちを受け取って欲しいと思っている。そんな気持ちに揺れている。


寂しさに泣きたくなる。

不意に予感がする。彼に逢える。そんな予感。ただの予感じゃない。そう信じてみたい。だから待っている。彼のことを。


自分から「逢いたい」と言えば良かった。意地を張って言えなかった。

昔よく一緒に遊んでいた公園に行ってみようか……。もしかしたら彼がいるかもしれない。


でも動き出せない。

私は彼を好きになって臆病になってしまったようだ。


私は駆け出していた。雪の降る冬の寒さが私を震えさせる。好きになったあの日を思って泣いていた。

私は駆け出していた。雪の降る冬の寒さが私を震えさせる。信号の向こうで大きく手を振る誰かがいる。


私の足は止まっていた。あれは彼がこっちへ向かうところ。


足音が近づいてくる。彼の足音。

まっすぐに私のもとへ駆けてくる。


私と同じ気持ちで駆けてくる。


「好きだ」

「私も好きです」


ラブライブスクールアイドルフェスティバル

BiBi 冬がくれた予感 より

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