第55話 号泣しちゃうとはなんぞや


 さてさて、とうとう春休みも終わりまして、いよいよ新年度が始まりましたね。

 まあそもそも、社会人に春休みなんてありませんけども。

 新元号も遂に決まって、平成も残りわずかとなって参りました。


 うちではムスメがとうとう受験生に……なった、はずやのに。

 目の前でスマホで遊び呆けるそこの女子、ほんま大丈夫なんか。

 お母さんは心配やで。

 ま、ムスメの人生はムスメのもんやとは思っていますし、ここで「勉強しとけや」と口を酸っぱくしてどんなに説いたところで、ココロに響かなければ勉強などしないのが人間というものではありますが。


 話が脱線した。

 まあいつものことや。


 いや、ほんでですね。

 今回なにが「号泣」かって申しますとやね。

 実は今年度に入ってから、知り合いのとある女性がこそっと「実は乳がんが見つかって」とおっしゃった。

 もちろん、非常に早く見つかっているので大きな手術にもならないらしく。お仕事も一か月ぐらいで復帰される予定なのですが、それでも乳がんは乳がんですやん。

 私とそんなにお年も違わないし、ずっと仲良くしてくださっている方だしで、もうほんま、他人事ではない。

 正直、マンモグラフィーは痛いので大嫌いなんですが、いやがらすに受けなきゃアカンなーと思ったことでした。


 んで、ですな。

 その方、「ちゃんと告知して欲しい」というご希望で、ダンナさんと共に医療機関に行かれたそうなのですが。

 ご本人はしっかりされてるのに、なんとお医者さんの話を聞いているうちに、ダンナさんの方が「ふう~っ」となってもーて、失神されてもーたんですと。


「もうほんま……男の人ってアカンねえ」


 と、当のご本人は笑ってらっしゃいましたけども。

 確かに、ちらほら聞く話ではありますね。男性はそもそも、あんまり血を見ることに対して免疫もない人が多いしで。


 ほんでまあ、うちに帰ってダンナにこの話をしましたら、ですよ。

 ダンナひと言、


「……アカン。そんなん俺、アカンもん。絶対泣くもん。号泣やもん」


 って言うんですがな奥さん!(だから誰が奥さんや)


「えー。勘弁してえな。本人が覚悟決めてしっかりしてんのに、隣でダンナがめそめそ泣くんかいな。それ、めっちゃ勘弁してほしい」

「ちがう! めそめそなんかしないもん!」

「……はあ?」


 何を言うてんのや、この人は。


「だから、号泣やもん! めそめそやないもーん!」

「…………」


 あのー。意味がわからんのですが。

 脱力したわほんま。

 まあええか。

 そんなような、つづれ家の春の一日でございました。

 

 あ、次がいつになるかも分かりませんし、ついでなのでちょっとご挨拶を。

 平成もそろそろ終わりに近づきました。

 ここまで、この拙いエッセイにお付き合いくださっている皆様、本当にありがとうございます。

 気が付けばとっくに五十話を越えていて、書いてる本人がびっくりしているような始末です。


 新しい令和の時代にも、どうぞ皆さまの上に、良いことがいっぱい降りますように!

 

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