第52話 初体験とはなんぞや


 こんにちは。

 前回も年末のごあいさつっぽいことを書いたのですが、またやって参りました。

 年末というとアレですね。まずは年賀状づくりと大掃除。

 でもその前に、我が家の入っている集合住宅では換気扇の洗浄であるとか、雑排水管の清掃であるとかが次々とはいります。今年は火災報知器の取り換えなんかまであって、他人が家の中に入ってくるシチュエーションが多めです。

 年末にお忙しいお仕事のみなさま、ほんまお疲れ様です。


 毎年、基本的には専業主婦だった私がそのお相手をしておったわけですが、今年はそれが完全に逆転しております。

 私は出勤せんならんもんで、失業中で家にいるダンナがそれらの対応に回る形に。

 家に居る理由については限りなく不本意ではありますが、おってもらってほんま助かっております~。

 だって家事かてカンペキやし(ここ大事)。

 これで私の給料がマトモなもんなら言うことないんやけどな~。

 大喜びで主夫してもらって、稼ぎ頭をするんやけども~。

 いや、あかんあかん。それやと小説が書かれへんし!


 さてさて。

 「ここまでのどこらへんに『初体験』のワードが関係してるの?」って思っておられるそこのアナタ。

 関係、大アリやから!

 要するにダンナ、こういう作業のお相手をするのは初めて。

 ほんでこの間、雑排水管清掃に来てもらう日にも、「え、どこを洗ってもらうの? え、どうしといたらええの?」といろいろ質問される私でした。


「せやから、お風呂と台所と洗面所。基本、きれいにしておいて」

「うんうん」

「洗面所の下の荷物なんかは、ちょっと出しておくとええらしい」

「ほうほう」

「ほな、よろしく。行ってきます」


 言うて、私はとっとといつもの仕事へ。

 帰ってくると、ダンナがなんとなしにスッキリした顔で迎えてくれた。


「いや~、びっくりしたわ。あんなにあっちこっち突っ込まれるとは思わんかった」

「突っ込まれる……え? あっちこっち?」


 もうそのワードを聞いただけで、ビュンビュン妄想が走る走る。

 頭の中で鳴り響くのは、かの山口百恵さんの「ひと夏の経験」の冒頭部分。

 ただし「女の子の」のところを「男の子の」あるいは「ぽっちゃりダンナ」と替えると、より現実みが増す。いや、増さんでええけど(笑)。


「もう、〇さんたら! そんなにあっちの穴もこっちの穴にも突っ込まれたってか! フケツ! この浮気モノ!」

「そうそう、もう、『ああん、やめてえ、いやん、ダメえ~!』って……なわけないやん、もう~!」


 何を勝手に乗りツッコミしとんねん。

 さすがに関西のオトコ、ノリがええ。


「え? ほんでドコに突っ込まれたん? 怒らへんから見せてみなさい!」

 と襲い掛かる私。

「きゃあ、やめてえ!」

 と、ぷりぷりしたおしりを振りながら嬉しそうに逃げるダンナ。

 

 いつものアホなきゃっきゃうふふでした。

 ちゃんちゃん。


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