第35話 しゅんしゅん怖いとはなんぞや 

 早いもので、世はあっさりと師走に突入いたしましたな。

 みなさまお変わりないでしょうか。

 一年が死ぬほど早い。どうしよう、もうどうしよう。

 いや、どうしよう言うてる間にも何秒間かは過ぎてまうわけなんやから、そう言うてんと手と頭を動かせっちゅう話なんやけども〜。


 さてさて。

 秋というよりはもはや冬でございますが、芋のおいしい季節になりましたな。

 昨日、スーパーでふと見つけたひと山いくらのさつま芋に恋をして、今日はそれをかしておりました。

 我が家には圧力鍋がございまして、芋を蒸かすときは大抵これを発動します。

 圧力鍋、便利ですよねえ。こういう蒸し物はもちろんのこと、カレーやシチューや肉じゃがといった煮込み系の料理にはほんとお役立ちアイテムですわな。時間も最近ではIHで設定しておけば手間いらずですし、何より光熱費の削減になる。

 ってまあ、別に圧力鍋の会社の回しもんやないんやけども。


 ところが、実はダンナ、この鍋が超苦手。

 料理上手なくせに、本来の圧力を使っての使用はいっさいしません。ただの普通の鍋としてカレーもシチューも煮込みます。


「ムダやんそれ。早くておいしくできるって何べんも言うとるやん」

 と言いましたら、

「だってアレ……怖いんやもん!」と。


 は?

 なにが怖いねん。


「だってアレ、しゅんしゅん言うやん。爆発しそうなんやもん。怖い!」


 まあ確かに、鍋の中に圧力を掛ける過程で蒸気穴から蒸気がしゅんしゅんと激しく噴き出て、けっこう大きな音はするけども。


 大体その、「だって、しゅんしゅん言うんやもん」てなんや。

 往年の「ア○ックナンバーワン」のオープニングか。

 ぽっちゃりの体をふるふるさして、泣きながらバレーボールのコートに横座りに倒れこむ姿が目に浮かんだわ! ええもう、くっきりとね!


 差し詰めセリフは、

『だって、涙がでちゃう。しゅんしゅん言うんやもん』でしょうか。


 ええ加減にせえ、五十三歳ごじゅうちゃんちゃい

 隣で娘にまで苦笑されとるがな。


 まあそんなこんなで、相変わらずのつづれ家でございました。


 ということで、これで今年は最後の更新になるかもしれませんので、一応ご挨拶を。

 なんだかんだ、年末まで連載を続けるとは思ってもいなかった今作ですが、ここまで温かくおつきあいいただき、まことにありがとうございました。

 どうぞ皆様、よいお年をお迎えください!

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