第26話 ダメだしとはなんぞや

 いや、「なんぞや」もなんもありませんね、これは。

 「それはあかんやん!」ってよく言う、アレですわな。

 我が家においてはダンナが言うよりは、圧倒的に私が言うことの方が多いセリフかもしれませぬ。


 で、ですね。

 つい先日、というかこれを書いてる時点からすると正確には昨夜、とある短編小説を書きまして。

 いつもこの「ぽっちゃり男子」を読んでいるダンナにも、「一応書いたから」と言っておいたら、いつものように通勤中のバスやら電車やらの中で読んでくれたようなんですが。


「つづれ先生! アレはダメです!」

「は?」

「だから、アレはダメです! もう危なかった! もうちょっとで号泣しそうやった……! 思わずバスの窓からうちのマンションのベランダ確かめてもたぁ! ●さん手ぇ振ってたらどないしようか思たあ!!」


 と、こうですわ。

 なんやねんな、帰ってくるなり。

 まあ一応ご説明しますと、ソレはなんやらもの悲しい感じのあるホラー風味の短編やったわけです。ベランダから愛する人が手ぇ振るっちゅうモチーフが出てくるんですな、はい。

 自慢やないねんけど、ちょっと前にもやもや〜っと浮かんでたアイデアを「ちょっと書いてみよかな」と書きかかったところ、なんや二時間もかからんとばばーっと書いてしまえたという作品。

 まあ、もの書きにはそういう瞬間てありますやん。たまにやけども。

 いや、小説は別に、書くの早けりゃええってもんやないから、ほんま自慢でもなんでもないんですが。


 ほんまはもっと推敲に推敲を重ねてこう……修辞とかにこだわって……って、ああ、そんなんしたことなかったわ! 身も蓋もないなあ。

 っていうか、もう私の場合、キャラが動く、しゃべるスピードについていくんで大体必死やし。どんなんやねん。

 あとで「さすがにこの語彙はマズイで。小学生ちゃうねんし」とか、「どんだけ知識系うすいねん、アホちゃう?」と思うところだけ調べて直したりはしますけども。

 さらに身も蓋もないな。あははは。


 まあそんな話はええねん。

 その夜、いつものように隣で私に寝てもらおうと「●さん、寝るよ? 寝るよ??」と何度も念を押しているダンナを無視してぐわーっと書いてたもんで、翌朝ちょっとダンナ、すねておりまして。


「だって最近、●さん一緒に寝てくれへんねんもん……!」

「いや、一緒に寝てるっちゅうねん」


 ただ、一緒には寝てるんやけども、ダンナ、めちゃくちゃ寝つきがええもんで、ちょっと時間差で寝床に行くとすでに爆睡してるもんで。

 つまり彼にとっては「一人で寝かされてる!」という認識になってしまうと。

 まあそういうことですわな。


 って、だからアナタは子どもですか?


 いや、これあかんかった。

 これ聞くと必ず返って来るのは「子どもやもん!」ってセリフと決まっているんでした、そうでした。しかも堂々と言われるし、最近は。


「男はいくつになってもアホでサルで子どもなの!」


 って、そんな主張を堂々とするな。

 まあ、そんなもんやということは知ってるけども!

 いや、そうやない方かって沢山おられるとは思いますけどもね!


 あと、これもや。

 ちょっと人が咳でもしてたら普通「大丈夫?」って聞くもんですけど、それも必ず「大丈夫やない!」って返ってくるもんで、あんまし素直にそう聞きたくない私。

 それでしょうがないから、

「だいじょう……ぶやないんやね、うん、ワカッタ」

 って冷たく言って横を向く。

 ダンナ、涙目。

 そんないつもの我が家です。


 えーっと。なんやっけ。

 そうそう。そういうダンナをほっといて、二時間で小説書いたと。


「おかげさんで、二時間かからんと小説一本かけた。アリガトウ!」


 と、朝のリビングで拳を天に突き上げつつ言い放った私。

 その流れで「こりゃダンナの好みではないと思うけど」とは思いつつ、「読んでええよ」と言っておいたわけなんですが。

 結果、冒頭のような反応やったと、そういうわけです。


 同じようにヲタではありますが、ダンナはものすごくシリアスな話とか、悲劇的な話とかはあんまり好まないタイプです。

 基本的に、「のんき〜」で「ほのぼの〜」なもんが好き。

 まあ仕事で疲れて帰ってきてる脳で、あれこれ小難しいことやら悲しいことやらわざわざ考えたくない、いう気持ちは分かりますわな。

 ほんでそのご多分に漏れず、今回の私の短編もアカンやつやったと。


「もうアカンねん。ああいうのアカンねん……!」


 ほんでなぜか例に出してきたのが、ご存知の方もおられると思いますが古〜いスペイン映画の「汚れなき悪戯いたずら」。

 それ聞いた途端に私の脳内に「マルセリーノの歌」がもうがんがん、まわるまわる。

 あの歌も良かったですわ〜。

 子どもの頃にテレビで見たんやったと思いますが、不思議と印象に残っている映画のひとつですねえ。

 白黒なんですが、マルセリーノがあまりに可愛くて汚れのない少年で。

 ご存じないかた、良かったら調べてみてください。

 「禁じられた遊び」よりも私はこっちが好きですわあ。


 って、何の話やねん。

 また論旨が迷子やわ。

 いや、別に論旨っちゅうほどのもんでもないけど!


 ちゃんちゃん。


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