THE HOLLYWOOD DAY
米軍の中で結成された超エリート部隊が、CIAと連携して某国の地下核施設へと接近していた。
極秘に掴んだミサイル発射予定時刻まであと10時間、これを阻止できなければ世界は第三次大戦へと突入してしまうと予測されている。
今は一見静けさを保っている世界情勢……極度の緊張状態というのはこういうものなのだろう。
もうすぐ時代の分かれ目が来る。
人類がその手で再び取り返しのつかない悲劇を始めるか、それともその手で悪しき野望を終わらせるか。
命懸けで包囲を狭めていく部隊。彼ら一人一人が伝説級の兵士だ。
そして指揮官はかの有名なジョン・デイヴィス……『アメリカを救った男』と言われる歴戦の老兵。
本国の指令室で上層部は一睡も許されずにチームを支えている。
ホワイトハウスでは政府高官と
―――そこへ、緊急回線を通して一報が入った。
「プ、プレジデント……地質学者のマルコム教授から緊急の警告が届いたそうです! なんでも人類の存亡にかかわるとか……」
「なに? こんな時にか!?」
5分後、この特別対策室に別途オンラインの準備が整い、大学施設のマルコム教授と繋がった。
「一言で申し上げますと、地軸の傾きに大きなずれが生じ始めています。このままでは現在の地球の活動が乱れ、我々人類含む全ての生物の存亡に重大な影響を及ぼすでしょう。」
衝撃的な報せに騒然とする。
教授から提示された解決方法はただ一つ、地中深くに入り地球の核を刺激すること……しかしこれは大きな賭けでもあった。
弾き出されたタイムリミットはだいぶ迫っている。しかも前例のない事態にどれだけ計算が通用するか、事態は予断を許さない。
大至急、各分野のエキスパートと連絡を取り、この未知の作戦のチームを組み立て始めた。慌ただしく2時間が経過する。
―――そこへ、緊急回線を通して一報が入った。
「プ、プレジデント……欧州から協力の要請が! 信じられないことですが、突然に各国で死者が甦り人を襲っているとのことです!」
「そんな馬鹿なことがあるか!!」
「おそらく新種のウイルスか何かによる
急遽、別働隊のチームを作り全米の医学界の権威達に連絡を図る。
事態を治めるためには武力行使もやむなしとして、空軍の出動を決定。異例の早さで事を進める。
―――そこへ、緊急回線を通して一報が入った。
「プ、プレジデント……サンフランシスコからです。海から突然現れた巨大な生物が沿岸地域を破壊しているそうです……」
「あるかそんなの!!」
「そ、それが……すでに各局が中継をしているらしく……」
TVを点けると、サンフランシスコの街中で天を衝くような怪物が暴れていた。
外見は爬虫類に似ているが恐竜どころではない巨大さで、超高層ビルが胸にも届かない。
「コ、コレをどうしろと……というか……なんなんだコレは……」
欧州へ回そうとした戦力を一時中止、空軍及び海軍を西海岸に集結させこの怪物……ABCニュースが『GODZILLA』と名付けたそれを総攻撃することに即時決定。
国内には安易に撮影や野次馬で近寄らず東域へと避難するよう呼びかけを行うことになった。
―――そこへ、緊急回線を通して一報が入った。
「プ、プレジデント……日本から最大深刻度の報が入りました」
「これ以上なんだと言うんだ! フジヤマでも噴火したか!?」
「いえ、日本国立天文台のすばる望遠鏡が未知の小惑星を捉えたそうです。軌道を計算したところ地球に衝突する可能性があるとか……」
「ガッデムジーザス!!」
NASAの確認で小惑星の到来時期が弾き出され、天文学者達に大至急の連絡。
この人類滅亡の危機を全世界先進国のトップへ通達。国民のパニックを防ぐために情報の漏洩を徹底的に監視。しかし欧州は連絡のつかない国もあった。
―――そこへ、緊急回線を通して一報が入った。
「プ、プレジデント……テロ組織からの犯行声明が……! 3時間以内に『タイガーテイル』のリーダーの釈放と1億ドルの用意を求めています。細菌爆弾を5つの州に仕掛けたと……」
「そんな場合か空気読めよテロリスト!!」
「そ、それは無理というものです。サンフランシスコ以外の件は公表していないのですから……」
「んなもんあいつら得意のハッキングでもなんでもすりゃいいだろが!!」
「いやそれはまずいでしょう……」
「お前どっちの味方だ? そもそもさっきからロクでもない
「プレジデント落ち着いてください……」
―――そこへ、緊急回線を通して一報が入った。
「プレジデント! 急襲部隊が地下核施設を押さえたそうです! 史上最大の作戦は見事成功です!」
「ああ、あったね!」
直後、世界が真っ白な光に包まれた。
密かにタイムトラベルの研究を行っていたとある博士のミスで、時空間に発生した歪みがリトルビックバンとでも言うべき反応を起こし太陽系を呑みこんだのだ。
広大な宇宙から一つの天体が消滅した。
文明世界のトップ最後の言葉は「ああ、あったね!」だった。
THE END.
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