想戯紙

仙花

 けしごむ 


 押しつけられて

 ぼくは自分を削った。


 敷かれた紙の上に散らされた鉛筆の粉

 ぼくと一緒に死んでいく。


 千切れてく体は痛くなんてないけれど

 ぼくにさらわれていく文字たちはどうなんだろう。

 声は聴かせてくれない。

 だってぼくがその声を失わせていくんだから。


 黒だったきみと

 白だったぼくが

 混ざりあって灰色になり

 ノートの上からも指先からも捨てられてしまう。


 手のひらに掃われて落ちていく。

 吹きかけられた息で飛んでいく。

 もう終わり。

 ぼくの存在理由はほんの一瞬だけだった。


 遠ざかっていく机を見ながら、ぼくは思う。

 ぼくの命を削って作ったその白い場所に

 新しい何かが生まれるんだと。

 それはきっと

 今度こそ素敵な何かなんだと。


 あの人の手に鉛筆が持ちかえられる。

 願いを込めて

 ぼくは床に散った。

 

 

 

 

 

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