ショート・カット(Etsuko)

永悦虎*Etsuko

#01 妖精のプレゼント


 僕が木陰で昼寝をしていたら、耳元で妖精が囁いたんだ。


「一緒に来て」


 って言われてさ。


 ふわりと体が軽くなったかと思うと、僕は木の上に浮いていて、真下に眠っている自分の体があるから、そりゃあもうビックリしたよ。


「うわあっ」ってね。


「大丈夫よ、ほんの少しの間、体から離れるだけ。向こうの泉に行きましょう。見てもらいたいものがあるの」


 って妖精が言うんだ。


 手のひらに乗るほど小さかった妖精に手を引かれた僕は、彼女と同じくらいの小人になっていたから二度ビックリだ。




 泉に着くと、蛇が眠っていてさ、また妖精が囁いたんだ。


「しーっ、彼は守り神よ。彼が昼寝している間に、宝物を拾って」って。


 そうっと泉を覗くと、赤く光るものがあった。

 ドキドキしたよ。蛇が目を覚したらガブリとやられそうだったし。


 でも勇気を出して、えい、と水に潜った。拾ってくると、それは一抱えもある真っ赤なルビーだった。


 そしたら妖精がこう言ったんだ。


「それをあなたにあげる。あなたの大事な人に渡してね」って。


 そこで目を覚めて、自分は元の体に戻って木陰にいた。

 手には一粒のルビーが握られていたよ。





    *



「……で、これがそのルビーなんだけど、ぜひ君にね」


「前置きの長いプロポーズね」

 

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