🐈🐈🐈にゃんこの異世界ぴくにっく大作戦!
作戦1 立案
「無理ですよ」
三郎にすげなく却下されて、群れの
あちゃあ。
二人を交互に眺めながら小太郎は内心で溜息を
この頃、というか、あっちとこっちを行き来し始めてから、銀二はちょっと我儘になった。うん。我か儘っていうのとは違うかな? あいつのことが好きすぎて、少し周りが見えなくなった。
だから、今日もまた無茶なことを言い出して三郎に怒られている。
「何が無理なのだ。私等が難無く出来るのだ。あ奴が少々間抜けでも出来んことはなかろう」
あいつのことが大好きなのに、銀二の物言いはひどい。
「はああ? 何言ってるんですか、隊長。奴を見くびり過ぎじゃないですか? こちらの言葉も分からないような奴にどうやって意向を伝えるんですか」
三郎は冷ややかな視線を銀二に向けて、それから部屋の真ん中でテレビを見て笑っている男を顎でしゃくった。
「大体、あれのどこが『少々間抜け』なんですか。『相当』の間違いじゃないですか? 隊長。馬鹿が
銀二のことが大好きなのに、三郎の物言いもひどい。
「なっ……。三郎。何が何でもそれは言いすぎだぞ」
銀二がしゅんとすると三郎は少し慌てる。群のなかで三郎を動揺させることが出来るのは銀二だけだ。
すらりと伸びた尻尾を少ぅしだけ揺らして、三郎は背筋を伸ばした。三郎の被毛は濃いめの銀灰色で、他の猫たちに比べて毛足が短い。艶やかで、美しくて、小太郎は憧れている。自分はつまらない黒斑で、美しくもなんともないのだ。
「分かりました」
コホンと咳払いをして三郎は言った。
「出来ない理由ではなくて、出来る方法を考えましょう」
銀二の顔がぱあっと輝く。鯖トラの尻尾をぶんぶん振って喜んでいる。銀二の背中には大きな傷がある。鴉に抉られた爪痕が、きれいな鯖柄を歪めている。その傷はとてもかっこいいと小太郎は思う。小太郎を守ってくれたときのものなのだ。
「楽しみだね!」
小太郎が言うと、
「そうだな」
銀二が笑う。
三郎が呆れたようにひとつ息を吐いた。
「まだ行けると決まった訳じゃありませんよ」
でも、三郎が考えると言ったのだから、もちろん叶うのだ。
こちらでしたときも楽しかったが、あちらだとまた格別だろう。
「あー。早く行きたいなぁ」
小太郎は二人の間で跳ねまわった。
「ぴくにっく!!」
異世界ぴくにっく大作戦! ここに開幕。
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