第253話 傷心者と小心者07


 書類は整った。


 かしまし娘は団子茶屋を自主リストラ。


 場所を和の国の西部に移す。


 四人で丁度良い部屋を宛がわれ、早速荷解き。


 温泉も湧き、何時でも入浴可能とのこと。


 気付けばいつも通りの風景。


 かしまし娘が水着姿で一義に寄りそう。


「浮世の垢が取れないんだけど」


 不満げな一義だった。


「自業自得」


 とは正にコレを指す。


「解除して良いかな?」


 考えるが、


「駄目」


「だよ」


「だね」


 三国同盟で批判される。


 南無八幡大菩薩。


「しかし講師か~」


 湯船に浸かりながら一義が言う。


「トラウマでは?」


 案じる姫々。


「だよね!」


 音々も同意見。


「ま、業だね」


 一人皮肉気な花々。


 そういう風に設定したため、


「因果のブーメラン」


 ではあるが、実のところ心地よい。


「一義の心情を斟酌しない」


 は優しさの逆説だ。


 慰められればそれだけ思い出を想起させられる。


 それを断ちきるための花々であるのだから。


「ま、一番働くのは音々だろうけどね」


 それもまた事実。


「にゃ~よ~」


 当人は不満らしい。


 然もあらんが。


 他の人材がピーキーすぎるだけとも言う。


「とりあえずは明日から……か」


「四人纏めて?」


「のはずですけど」


「んだんだ」


 座学庵。


 その異国部。


 和の国はどちらかと云えば閉鎖的。


 唯一交流があるのが禅の国くらいだ。


 結果異国人は目立つ。


 黒い神に黄色い肌。


 音々を基準に加齢すればだいたい大人の倭人となる。


 可愛らしさを度外視すれば。


 そう注釈は付けれども。


「魔術講師と言われても」


 そんな一同。


 元より、


「歩くにはどうすればいいか?」


 と問われているような物だ。


「知らんがな」


 で済んでしまう。


 脳内でイメージを固定。


 それを脳外に投射。


 結果として現象を引き起こす。


 魔術の基礎で奥義だ。


 トランス状態の維持が必要だが、そこさえ無事に済めば後は世界の方が勝手に起動してくれる。


 マジカルカウンターのデメリットもあるが、


「むしろそれだろう」


 とが一義の意見。


 座学庵の魔術講義でマジカルカウンターが発生した場合に対処する人材。


 ゼルダが一義に求めるところだ。


「給料分は働きますが」


 といけしゃあしゃあな一義ではあった。


「面倒事は無視して流す」


 が信条だ。


「どこまで抑止力になれるか?」


 座学庵側は一義の良心に期待すること大だろうが、


「過大評価痛み入ります」


 とだけ返す一義であったから。


「ところでいい加減離れない?」


 水着美少女三人に纏わり付かれて辟易する一義だったが、


「そもそも論で考えると」


 と言われれば口も閉じるという物。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る