ロリっ娘女子高生の性癖は直せるのか

高校生編「賭け」

　――十五歳。私立鶴岡学園高等部入学。

　エスカレーター式という便利なシステムにより特段苦労せずに進学し、晴れて女子高生という煌びやかなステータスを手に入れた訳だが私は素直に喜べなかった。

　今の学園に居続けるには相当量の札束が必要。しかし借金返済の毎日をトタン屋根のボロ家で過ごすような家庭状況では収入に対しての学費の負担が余りにも大きすぎる。

　私は費用の補助が受けられる公立の高校へ進学しようと母に相談したが「今の友達を大切にしなさい」と言われ私の意見に賛同してくれなかった。

　母は私を気遣っている。金銭面の都合で娘の進路に影響を与えたくないのだろう。そのくらいは分かっているけれど、私が鶴岡学園から離れたい理由は学費の他にもう一つあるのだ。

　自分を変えたい。

　私を知る人が誰もいない環境で新たに学生生活をスタートさせたい。

　要するにかつての父が起こした事件によってクラスからハブられている現状から早く抜け出したいのだ。でもそんな本音を母に言えるわけなくて……。

　高校進学から約一ヶ月が経った頃。唯一の友好関係にあった桜が突然転校してしまった。理由は教えてくれなかったけど私には分かる。だって彼女が転校した先は瑛美と晴流がいる東羽高校なのだから。

　桜は想いを伝えようと行動に移している。でも私は何も動けていない。母が心配するかもしれないなんて理由で自分を犠牲にするのはもうやめよう。本音が言えないのなら言えるように自分が変われば良いじゃないか。

　この頃から私はとある調査を始めていた。

　◆

「うむ……。思ったより健全な学校なのじゃろうか……」

　スマホのブラウザアプリを開き『東羽高校　評判』と入力して検索する。私は気掛かりな事が二つあったのだ。

　それは瑛美の近況について。小学生の時の喧嘩以来、彼女とは音信不通になっている。桜からの情報で東羽高校に通っているのは分かっているのだが、瑛美がクラスに馴染めているかどうかは気になるところ。

　二度と口を聞かないなんて言ってしまったが、今でも私は一番の親友だと思っている。お節介かもしれないけれど心配くらいはさせてほしい。

　もう一つは単純に東羽高がどんな学校なのか知りたかったのだ。なんせ私の転校先の第一候補だからね。

　様々なサイトを見て回ったが、学校に関する悪い噂を見つけることはできなかった。学校裏サイトのような掲示板も無さそうだし、特定の生徒の陰口を叩くようなやり取りも見受けられなかった。

　だがこれで安心はできない。瑛美のロリコンがバレていないかどうか。仮にバレていた場合、周囲からの視線は非常に冷たいものになるだろう。ハブられる辛さは私も長らく経験しているからよく分かる。だから瑛美にも同じ思いをさせたくはない。ならば私が打つ手は……。

　一枚のコピー用紙にとある一言を書いた。それと瑛美が写っている写真数枚を茶封筒に入れる。

　宛先は東羽高校新聞部にしておいた。理由はこの手紙の内容を瑛美本人に伝えるため。新聞部であれば手に入れたスクープを放っておくなんてしないだろうし、本人に直撃する可能性は高いと考えられる。

　因みに新聞部というのはスマホで調べて手に入れた情報だ。

　住所を書いて切手も貼り付けて準備は完了。早速近所のポストまで赴いて投函した。

　これは非常にリスクの高い一か八かの大きな賭けだった。下手すれば瑛美の学校生活は最悪になってしまうかもしれない。だが今の瑛美には頼れる相手がいる。彼女が話してくれた彼の情報が真実である限り、この作戦は間違いなく成功するだろう。

　それから一週間。事態は大きく動いた。

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ここから先は本編2章の修善寺視点となります。

※次話は2/1(金)投稿予定です。