いつか世界が壊れたら

幽谷澪埼〔Yukoku Reiki〕

第一節、第一話『さよなら日常』

──或る日、唐突に世界が滅んだ。


第一節、第一話『さよなら日常』


『…………──次のニュースです。今日北関東で大規模抗争が──』

どうでも良い下らないニュースが流れる。正直俺達『最期の世代』にとっては関係の無い、不必要な情報。それが毎朝毎朝同じ時刻に必要無いらない情報を伝えてくる。

「…………はァ……面倒くせ」

俺、狂威杉伊純くるいすぎいすみはTVを消しながら溜め息を吐いた。

毎朝同じ事の繰り返し。『最期の世代』である俺にとっては、途轍も無く下らない不必要な情報モノ

世界が滅んだ後でも、以前と同じ様な日常を繰り返そうとする、無様な生き物モノたち。それが例えもう戻らないモノであったとしても。

「…………馬鹿な事してる、っていい加減気付けば良いのに」

そんなに大事なモノだったのだろうか、『日常』というモノは?

伊純には到底解らない思考だ。……否、解りたくも無い。

「…………………………行ってきます」

無機質な空間があるだけの家に向かってそう言うと、玄関の戸を開けて外に出た。

…………外は今日も瓦礫の山が街を支配している。辺りに人の気配がチラホラと散らばっているが、誰一人として俺に興味を示す奴は居ない。いや──正しくは示せない▪▪▪▪のだ。或る日突然世界が滅んだのだ。誰も彼も自分の事で手一杯なのだろう。

「…………まぁ関係無いけどな」

そう、関係無い。気にする必要も無い。そもそも気にしているのなら初めから壊しなどしない。

「…………………………はァ……面倒臭ェ…………」

そうして今日も青年は考える。

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