ぐんまーちほーであーそぼ!7

 一方その頃――

「はぁ……ここは一体どこなのでしょうか」

 カバンが道なき道を、息を切らしながら歩いている。

「さばんなちほーで野宿をしていたはずなのに、目覚めたらこんな場所に来てしまいました……」

 息を切らしながら、同時にため息を吐く器用な技術で「はぁ〜」とカバンが重い空気を吐き出す。

「最近の私は、記憶がなくなってばかりで困ったものです」

 両手を組んで、困り顔で言う。

 そんな困った言動を見せているカバンへ、とある人影が近づいて――

「お嬢さん、お困りのようで?」

「……えっ、あ、はい。困っていますけど――」

 カバンは思わず本音を反射神経で話してしまう。

 目の前には、黒い羽を背中に生やしている、黒髪の長い女の子だ。

「――あなた、どちら様でしょうか?」

「あたし? あたしはレイブン。カラスよ」

「カラス……ですか?」

「そう、カラス。闇夜に紛れる暗黒の姿よ」

「は、はぁ……」

 変なのに見つかってしまった。

 カバンは純粋にそう思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る