ここにも温暖化の影響が

 皆さんは海の幸はお好きですか? 島国である日本は海の幸が豊富で、その上、江戸時代までは基本的に肉食は禁じられていた事もあって、身近なタンパク源と言えば主に魚介類でした。

 そんな歴史的背景もあってお魚は日本人にとってとても身近な食材ですよね。日本食の代表であるお寿司はお魚があってのものですしおすし。


 そんなお魚の中で昔から高級魚の名をほしいままにしているのが、当たると怖いフグではないかと思います。日本人はこの毒のある厄介な魚を長年の経験と技術の末に美味しい食材にしてしまいました。

 中にはなぜその処置をすれば毒が無害になるのが原理が分かっていないものもあったりします。人の知恵と経験ってすごいですね。後はどうやってでもフグを食べたいと言う執念……ですかねぇ。


 そんな高級魚のフグなのですが、最近とある異変が起こっているのだそうです。


 地球温暖化の影響で、食用の「ゴマフグ」と「ショウサイフグ」の交配による雑種のフグが太平洋沖で増加している事が水産研究・教育機構水産大学校の高橋洋准教授の調査で分かったのだそうです。


 現在、そう言う雑種のフグは体のどこに毒があるかはっきりしていないため、市場では模様などの外見で手作業で選別して廃棄しています。

 ですが、外見では「純正」との区別が難しい個体もあり、雑種が今後増えれば市場に紛れ込むリスクも増える恐れがあるとの事。


 交配出来る程種が近いのに雑種になるだけで毒の位置が分からなくなるんですね、フグって。そんなデリケートな魚だったなんて知りませんでした。


 准教授らが2012年から3年間、東日本の太平洋沖で水揚げした252匹を遺伝子解析した結果、ゴマフグとショウサイフグの雑種が半分以上の149匹もいたそうです。


 自然界でフグの雑種が見つかるのは1%以下とされています。両種はトラフグの仲間ですが、今まで両種は海域によって住み分けられていました。その中で主に日本海側に生息しているのがゴマフグです。

 このゴマフグが温暖化による海水温上昇の影響を受けて生息域を北上させていき、ついには津軽海峡を越え、ショウサイフグの住む太平洋側にまで進出し始めた為に両種の雑種が増えたとみられると准教授は推測しています。


 おのれ温暖化! 我々からフグまで奪おうと言うのか! なんて粋がっても仕方のない話なのですが、まさか温暖化の影響がフグにも及んでいたなんて、全く想像もしていませんでした。こんな事ってあるんですね。


 今のところ、漁業関係者らは体の模様やとげの有無などの特徴で種類を判別しており、雑種は「種類不明フグ」として廃棄しているのだそうです。

 しかし、雑種が純正と交雑して出来た個体の区別は特に困難で、厚生労働省が示す判別方法でも難しいと言われているのだとか。


 これは厄介な話ですよね。見分けがつかないと言う事は毒の残ったままのフグを食べてしまう可能性もあると言う事ですよ。熟練のプロですら見逃しかねない個体の登場は脅威でしかありません。


 最近の調査でも外見は純正そのものなのに遺伝子解析で雑種だと分かったフグが4匹いたそうです。この雑種が市場経由で消費者の手に渡る恐れもあり、准教授は「これまでは熟練者が見分けていたが、今後は科学的な選別方法を早急に開発する必要がある」と指摘しています。


 何か事故後起こってからでは遅いので、本当に対策を急いで欲しいですね。そうでなくてもフグって危険な魚です。捌くには専門の免許だって必要です。

 日本人の食に対する執念がこの新たな自然の脅威に打ち勝つ事を願ってやみません。


 とは言うものの、貧乏人の私には全く縁のない話なんですけどね……(遠い目)。

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