第717話加奈子と里奈(6)
加奈子が京都へ戻る、その見送りには、結局、由紀も加わることになった。
家の中では、
由紀
「私が一番年上でお姉さんなの、それをないがしろにして、ハヤシライスって何事?」
史は、面倒そう。
「ハヤシライスが食べたいの?お見送りしたいの?」
由紀
「ハヤシライス・・・いや、両方・・・」
ついつい本音の反応をする由紀になる。
それでも女子三人は、顔を合わせればハイタッチ。
由紀
「いいなーー!マスターのパエリャなんて、食べたかったなあ!」
加奈子
「だって、由紀ちゃん、昨日は練習でコンパでしょ?彼氏できた?」
由紀
「あはは!無理無理、食べる専門だもの」
里奈
「何のお料理だったんですか?」
由紀
「ドイツ料理、面白かったなあ、ソーセージ、ステーキ、ビール」
「とにかく飲んで歌って大騒ぎ」
・・・・・・ずっと女子トークが続くので、史は気楽な顔。
元祖ハヤシライスを食べながらも、女子トークは続くけれど、史は黙々と食べるだけ。
「ステーキ付にしたけれど、ハヤシのルーとステーキ肉とご飯が一緒に口に入ると、すごく美味しい」
「量は多めになるけれど、飽きが来ない」
由紀は、人目をはばかってステーキなしのハヤシライスにしたけれど、史がステーキを食べているのが、我慢ができなかった。
「問答無用」と言い張り、二切れ自分の皿へと強奪してしまう。
史は、呆れた。
「マジ?昨日もステーキ食べたんでしょ?」
「ビールも飲んで、ドイツ料理だからジャガイモ食べたんでしょ?」
「マジ、太る」
加奈子と里奈はハラハラ。
ただ、由紀もステーキ肉を頬張っているので、すぐには反撃ができない。
そこで史は気を利かせた。
「姉貴、もう一切れ食べる?」
由紀は、少し迷った。
そして二切れ取り、加奈子と里奈の取り皿に一切れずつわける。
「これで問題なし」
史は、自分の頼んだステーキは二切れだけしか食べられなかった。
加奈子と里奈は、「はぁ・・・」とほっとした様子。
その後、書店内を散策してから、東京駅新幹線改札口で、加奈子をお見送り。
加奈子
「三月中旬には越してくるから、よろしく!」
里奈
「一緒に料理講座に通いましょう!」
加奈子
「うん!もちろん!」
加奈子は大きく手を振って、姿を消した。
里奈はにこにこ。
「加奈子ちゃんと話していると、飽きない」
史
「そうだね、素直で、楽しい」
由紀は、また一言。
「史!私が素直じゃないってこと?」
史はヘキエキ顔、里奈は頭を抱えている。
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