第508話マスターと清

マスターと清は、朝からカフェ・ルミエールに野菜を提供してくれている産直市の大石農家の畑で、枝豆を収穫している。


マスター

「ふう、いい枝豆だなあ、しっかり肥えている」

「そうですね、土もなかなかです、この土なら美味しいものが期待できる」

マスター

「それでさ、朝に収穫した枝豆をお昼に茹でて食べるのが美味しいのさ」

「それはそうですね、一日置くよりいいかなあ」

マスター

「これがまさに地産地消だなあ」

「それでビールがあると、最高ですね」


マスターは、そこでニヤリ。

「それでさ、清さん、清さんみたいな懐石の人は食べないかもしれないけれどさ」

清は、マスターの言葉の意味がわからない。

「え・・・マスター・・・何でしょうか?」

少しキョトンとすると

マスターは、またニヤリ。

「ビールに合うのは枝豆ばかりじゃなくてさ」


清は、焦れて来てしまった・

「マスター、そこまで言ったら、言いましょう」

マスターは、フフッと笑う。

「それは、揚げたてのアジフライ、あれは冷えたビールと合う」

清の目が点になった。

「あーーー!アジフライかあ・・・それは美味そう、合いそう」

ついでに、喉がゴクリと鳴っている。


マスターは、そこでまたニヤリ。

「それと、大汗をかいておくこと」

清も乗って来た。

「そうですね、余分に水分をとらないこと」

マスター

「じゃあ、枝豆をもう少し取っていこう」

「アジフライは?」

マスター

「うん、帰りに魚屋に寄る」

「ほーーーー!で、どこで?」

マスター

「うん、カフェ・ルミエールの二階の休憩室兼キッチン、その前にシャワーかな」


マスターと清は、そんな感じで、たっぷりと畑仕事で汗をかき、枝豆を大量に収穫、その後は老舗の魚屋に寄り、新鮮なアジを購入。

そして、ルミエールのビルの二階のシャワーできれいさっぱりした後、休憩室兼キッチンで、新鮮枝豆を茹で、揚げたてのアジフライとキンキンに冷えたビールで、至福の時を過ごした。


マスター

「ああ、労働の後の、こういう美味しさは禁断の味」

「さすがに懐石では、アジフライは難しいなあ、でも、美味しい、本当にビールに合う」


二人が至福の時を過ごしていると、涼子がやってきた。


涼子

「こら!昼間からビール?本当に悪だくみオヤジだ」

そう言いながら、アジフライと枝豆をパクパクと。


マスター

「どうだい?」


涼子

「マジで美味しい、私がノンアルコールビールなのが残念」

そう言いながら、口が止まらない。


枝豆も大量に茹で、アジフライも多く揚げたので、カフェ・ルミエールの洋子以下店員、それと史の家にも届けられた。


ただ、大旦那の屋敷には届け忘れたので、マスターと清は、後日、大旦那から大目玉をくらうことになった。








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