第458話神田神保町散策(1)

神田神保町は、明治時代からの歴史を持つ世界有数の古書店街。

御茶ノ水駿河台の坂を下ったこの街には、東西に走る靖国通りと南北に走る白山通りが交差する神保町交差点を中心に、約180店舗の古書店や新刊書を扱う大型書店などが林立した「本の聖地」となっている。


また、医学、建築、古典文学や仏教、中国書籍、美術、映画や演劇専門、アイドル関係、江戸時代の和本や浮世絵、洋書の専門店もあるという具合に、それぞれの古書店により扱っている書籍も異なる。

つまり、あらゆるジャンルの書店が軒を連ねている状態である。

この街を歩くだけで、あらゆる種類の本にめぐり合えるといっても、間違いではない。

さらに、大手出版社がある一ツ橋が近くにあるし、神保町にも数多くの出版社がある。


さて、「本の聖地」である神保町は、もう一つの顔がある。

和食、洋食、中華、カレー等の個性豊かなお店、それも比較的安価で量の多い食事を提供するお店が数多くあるレストラン街でもある。

やはり、国内外から多くの文化人が訪れ、近隣には、明治大学をはじめ数々の大学や専門学校がある日本でも有数の学生街。

だからこそ、そのニーズにしっかりと応えているのが、神保町なのである。


史が、愛華と加奈子に声をかけた。

「とにかく、本は見だすと、キリがないかも知れない」

「値段もピンからキリまで、重たくなったら宅配便もできる」


しかし、愛華と加奈子は、最初に入った古書店から興奮状態。

愛華

「あかん、漱石全集もあるし、モーパッサンもある、それもメチャ安やなあ」

加奈子

「なあ、この洋書100円やて、これはローマ教皇辞典?それも1,000円かあ・・・」

愛華

「ここの文庫本もいろいろやなあ、新書も面白そうや」

加奈子

「とにかくジャンルを絞らんとあかん、決まらんって・・・これほどの量やと・・・」

愛華

「え?廃刊の方が定価より高い場合もあるんや」

加奈子

「いや、値段云々よりは、読みたい本が多すぎや」

・・・・・

とにかく、興奮してしまって、まとまりがつかない状態。


そんな二人の様子を見ている由紀は

「ああ、面白いなあ、今までで一番目が輝いている」

と、面白がっていたけれど、結局は自分でも本を探し出す。


史も探し出して、さっそく買ったのが新書を三冊。

「中世音楽史」「西欧中世庶民史」「フランス菓子の歴史」

どうやら、三冊で1,000円以内におさまったらしい。

それで、ニコニコとしている。


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