第426話大旦那のお屋敷にて(2)

史が、少し難しい顔になってしまったので、マスターが話題を変えた。

「ところで、今日の夜は、カフェ・ルミエールでどうだい?」

「もちろん、未成年者には酒は出さないけれど」


すると愛華と加奈子は、すぐにOK。

愛華

「うん!その前に洋子さんのケーキを食べる」

加奈子も

「確かに美味しいし、可愛いケーキが多い」


史と由紀は、少し考えている。

「その竜の親って人が来るのかなあ、家にいないとまずいのかな」

由紀

「そうだね、さっさと片付けないと、気が晴れない」


そんな史と由紀に、大旦那

「ああ、そんなことは気にしなくていい」

「謝りに来られる方が、来る人の都合なんて考える必要はない」

「だから、一緒にマスターの店に行こう」

「晃と美智子さんにも、俺から連絡する」

と、どんどん決めてしまう。


史は

「そういうものなんですか、でも、それもそうだね」

由紀も

「こっちが低姿勢になる必要もなく、時間を縛られることもないんだ」

「早く片付けたいのは、そう思うけれど」

と、一応納得。


マスターは

「そうなると、ステーキでも焼くかな」

「それと、フルコース風にするよ」

と、ニッコリ。


史の顔が輝いた。

「わ!食べたかった!マスターのステーキ!」

由紀も

「ほーーー!これはこれは・・・・フムフム」

と、うれしそうな顔。

愛華も、

「そうやねえ、こっちにきて、マスターの料理を食べないなんて、それはあかんし」

加奈子も顔を輝かせた。

「そや、もんじゃ焼きはともかくなあ、マスターのステーキなんて、滅多に食べられへん」


ただ、その「もんじゃ焼き」が、大旦那の耳に入ってしまった。

大旦那

「ああ、俺も食べたかったなあ、その、もんじゃ焼きというものを」

とにかく、口惜しそうな顔。


奥様が、そんな大旦那をたしなめる。

「もうね、もんじゃ焼きでも、大騒ぎでね、子供っぽいって、叱ったんです」


奥様の「たしなめ」で、大旦那は頭をかき、マスターと子供たちは、ニコニコと笑っている。

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